ロンドンだよりー子どもらの素質花開く世界こそ
英首相に五輪選手が書簡 G8 飢餓対策を
英国のキャメロン首相は12日、ロンドン五輪閉会式の前に首相府で、世界的な飢餓対策の会合を開きました。
これに先だって英国のメダリスト、ルイス・スミス氏ら五輪選手が首相あて公開書簡を発表。英国が2013年議長国となる主要8カ国(G8)の最優先課題に飢餓問題を位置付けるよう要請しました。書簡は「世界がロンドン五輪に注目している。競技が残せる最良の遺産は、たくましく元気で栄養も十分な子どもたちが素質を花開かせる世界だ」と述べています。
書簡を組織した慈善団体セーブ・ザ・チルドレンなどは今月初め、西アフリカのサハラ砂漠隣接地域で100万人以上の子どもたちが深刻な栄養失調の危険に直面すると警告。包括的な対策が必要だと主張しました。
会合には、次回五輪開催国ブラジルのほか、ケニア、バングラデシュ、インドなどの政府高官が参加。1万メートルなどロンドン五輪の陸上競技2種目で英国代表として優勝したモハメド・ファラ氏らも招かれました。同氏はソマリア出身で、自身の慈善団体がソマリアの子どもたちを支援する意向を表明しました。
キャメロン首相は、2016年の次期五輪開催までに地球規模で2500万人の5歳未満児を栄養不足による発育障害から守ろうと、諸政府や企業の関与を希望。英国は干ばつに強い作物の研究などに1億2000万ポンド(約150億円)を投資し、飢餓対策を多国籍企業に求める方針です。(ロンドン=「赤旗」特派員小玉純一)