ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

海熊の遠き呼び声

2011-02-04 01:56:55 | ヨーロッパ

 ”The Ghost That Carried Us Away”by Seabear

 まだまだ寒いですね~。という事で、またもヤケクソでアイスランドの音楽です。こちらも2ndアルバムを発表したばかりの新人バンド。とはいえ、私はまだ今回取り上げる2006年のデビュー盤しか聴いていませんが。

 それにしても、この妙なバンド名はどういう意味だろうな、何かこの言い回しによる深遠な意味でもあるんだろうか?と思ったけれど、ジャケ裏には表ジャケの児童画みたいなタッチの絵の延長で、川で魚を取る熊が描いてある。これは”海熊”でいいんだろうか?
 サウンドは、あくまでも淡い感じの田園調フォークロック。バンドの中心人物、Sindri Mar Sigfussonがまるで無防備にかき鳴らす生ギターに率いられ、ドラムスとバイオリンが、そしてトコトコとのどかに響くバンジョーやトイピアノが、寄り添うように音を重ねて行く。

 Sindri のボーカルはあくまで淡く決して激することはない。自身の紡いだちょっぴり切なく内省的なメロディを、独り言を呟くみたいに物語る。
 田園調、と言ったけど、私はあのキンクスの田園調ロックの傑作盤、”ヴィレッジ・グリーン”なんかを思い出してしまった。歌詞のほうは分析できるほど聞き取れてもいないんだけど、裏ジャケに下手くそな手書き文字で書かれた、”おはよう、カカシさん””猫のピアノ””フクロウワルツ”なんて曲名から、こいつもレイ・デイビスばりに相当ひねくれていると読んだが、どうなのかな?このアルバム・タイトルだって決してまともじゃないものね。

 などといろいろ空想を広げつつ、新録音なんだけどどこか過ぎた時間から響いてくるみたいな、時代の流れから一回降りてみた感じのノリで鳴り渡る彼らの音楽に身を任せていたら、”遠くから呼びかけてくる淡い哀しみ”なんてアダ名をSeaBearのサウンドにつけてしまっていた。この夜風の向こうの、シベリア気団さえ飛び越えた先の小島、アイスランドから。




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