ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ラップランドのキャンディーズ

2009-07-26 04:00:22 | ヨーロッパ

 ”Giitu”by Angelin Tytot

 健康のためのウォーキングを日課としているのだけれど、この暑さじゃもう歩けやしないよ。もちろん、灼熱の日差しを避けて夜になってから歩いているのだが、もうこうなっては同じ事だ。すぐに暑さでヘトヘトになってしまい、予定の行程を半分も歩かずに消耗し切って家に帰る羽目になる。
 「まったく酷い夏だ。こんなにハードな夏は今年が初めてじゃないか」と、汗びっしょりのTシャツを脱ぎ捨てながらぼやくのだが、この何年もそうぼやいているというのは、これは毎年、こちらの体力が落ち続けていると言うことではないか。パッとしない話だなあ。

 そんな夜に、まるで季節感の逆なというべきか、凍りつくような北国の音楽を引っ張り出してしまったのは、ネット上の知り合いのピノ作さんが突然にヨーデル・ファンと化して、ヨーデル歌唱の画像などガンガン日記に張り始めた事へのリアクションがきっかけだった。
 あんまり素っ頓狂なヨーデルへの愛情吐露に敬意を表し、こちらもかねてよりヨーデルに対して抱いていた仮説と言うか妄想のようなものを書き込ませていただいた。下のようなものである。

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 あっとすみません、サーミはラップ人のことです。ラップランドに住んでいる北欧先住民を彼らの言葉で呼ぶと”サーミ”となるのです。
 で、太古は北ヨーロッパ全域に住んでいたサーミ人が侵入して来たゲルマン人に追われ、スカンジナビア北端で少数民族として生き残ったわけですが、彼らが古くから持っているのが、謎の音楽として音楽学者連中を悩ませている”ヨイク”なる民俗音楽なのです。
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 こいつが征服者であるゲルマン人の文化のうちに潜り込み、ヨーデルへと進化したのではあるまいかと、これは私の勝手な想像ですが。
 
 ヨーデルの構造、地声と裏声との行ったり来たりというより、もしかしたらコブシの一種ではあるまいか、なんて気もします。
 その方向で考えると、日本の演歌歌手なら、亡くなった”骨まで愛して”の城卓也とか、あるいは前川清なんかが上手いのかも?ああいう、なんというか”肩で歌う”って感じのパワフルな歌い方の人に向いているような。

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 まあ、単なる思いつき、それ以上のものでもないのだが。

 この北欧先住民、ラップランドのサーミ人の音楽には一時、相当に入れ込んでいたものだった。この場にも書いた記憶があるが、彼らの行なう不可思議なボーカリゼーション、”ヨイク”の、太古より伝わるエキゾティックにしてシャーマニスティックな独特の神秘的な響きを、取り付かれたように聴き込んでいたものだ。

 で、ここに挙げたのは、そんなラップ地方出身の女の子三人組のコーラスグループのアルバムである。彼女らは何枚かのアルバムを出していて、民俗音楽そのままのコーラスを聴かせるものから電子音楽を取り入れたものまで、さまざまな形で、サーミ民族の伝承音楽を聴かせてくれている。
 この種の地味な民俗音楽が若い女の子のグループによって歌われると言うのが、何しろアイドル好きの当方としては嬉しくて、彼女らを”ラップランドのキャンディーズ”などとあだ名して、あちこちで無理やり話題にしていたのだが、特に彼女らの名が世に広がるのに寄与出来ることもなかったようだ。そりゃそうだな。

 その後、私の音楽の好みも若干の角度が変わり、彼女らの音楽からも遠のいてしまったのだが、こうして彼女らの動画など見直してみると、やはりその野生の神秘を秘めた音楽は魅力的であり、もう一度その音楽を追いかけてみたくもなってくるのだった。まあでも、この気候はいくらなんでも合わないんで、冬になッたらと言う事で、ね。




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