ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ベルリンの明けない夜

2012-04-23 05:09:40 | アンビエント、その他

 ”No Sudden Movements”by Gaiser presents ; Void

 このところ、メリハリもなくダラダラと降り続ける雨ばかりの日々を送っている気がする。冬が終わり春がやって来た気配もなく。どうやら季節は冬の後の春を廃して梅雨に直結するつもりでいるのではないか。そんな気がする。冬、終わらぬまま梅雨、その後、突然の猛暑の日々。そんな嫌がらせのもてなしが用意されている今年の風向気配である。
 当方、毎度の癖で、しのつく雨の音を聞いているとテクノやシンセがメインのプログレなど、電子音楽を聴き込みたくなるヘキがある。どういう仕組みか知らないが。
 という訳で、ドイツはベルリンの街角より、のエレクトリック・ミュージック。

 素っ気ない紺色の紙ジャケの中にCDは放り込まれ、ジャケを開けてみても、”fng”とか”frz”とか”snw”とか、意味を伝える気が初めからないような理解不能の収録曲名が小さな字で並んでいるばかりだ。むしろジャケを収めたビニール袋に貼られた小さな小さなステッカーにある、”Made in Germany”の一言が、収められた音の含むスピリットを伝えているようだ。
 音数を極度に抑えた闇の空間に、雨の雫が鉄管を叩くような音色の信号音もどきがインド音楽の民俗パーカッション風ととれないこともないリズムを織り成す。実際のサウンドはもちろん、零度以下の温度まで垂れ下がりつつ、青白い火花をあげているのだが。

 4曲目、”mlt”あたりになるとラジオの発信音やら工事現場の騒音など加わりはじめ、空間がダブ的揺らぎで妖しく脈打ち始める。オバケ屋敷のホームパーティもさぞかしの、ブラック・ユーモアに満ちた闇の祝祭がリズミックに蠢く。
 これは凄い。ベルリンの街は今、どんな気候なのだろうか。以前、降り積もる雪に覆われたメインストリートの報道写真に、「ドイツって、そこまで”北国”だったのか」と呆れたものだった。
 このアルバムの音を聴く限り、永遠に春など来るとは思えなかったりもするのだ。





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