脳萎縮・脳室拡大の画像所見がなくても高次脳機能障害を認めた裁判例をみかけましたので、紹介します。
(神戸地裁平成20年10月14日判決 自保ジャーナル1801号19頁)
このケースでは、被害者は高次脳機能障害の後遺障害が2級であると主張して訴え提起しました。
自賠責の等級認定が事前になされたのかどうかは、よくわかりません(少なくとも判決文からは)。
加害者側は高次脳機能障害の後遺障害が残っていることを争いましたが、地裁判決では、高次脳機能障害の後遺障害があることは認め、ただし等級は5級であるとしています(控訴されています)。
このケースでは、脳萎縮や脳室拡大といった画像所見はなかったのですが
①本件事故により、脳挫傷、くも膜下出血の傷害を被害者が負ったことは明らか
②SPECTにより広範囲にわたって血流低下が認められており、外傷による脳損傷がその原因であると、最も考えやすいとの医師の意見書がある。
③意識障害も軽度ではあるが、1週間以上継続している(救急搬入時にJCS10程度、その後JCS1程度)ということを理由に、高次脳機能障害を認めています。
意識障害の程度が高いものではなく、また脳萎縮、脳室拡大の画像がないことから、争いとなったものですが、当初から脳損傷、くも膜下出血が存在していたのであれば、それにより高次脳機能障害となる可能性は十分にあるはずです。
脳萎縮やくも膜下出血について、画像所見があり、また自賠責の認定を受けていればそれほど問題がこじれなかったと思うのですが、なぜ、自賠責の等級を受けていないのかは、判決文からはよくわかりません。
地裁判決も、脳萎縮、脳室拡大は高次脳機能障害があるか否かの認定を左右しないとしながら、等級を5級と認定するにあたっては、そのことを理由として、被害者側の主張(2級)よりも低めに認定しており、一貫していない印象を受けます。
なお、この地裁判決は、症状固定後の付添費は日額3500円としており、5級としては、高めの付添費を認めています。
(神戸地裁平成20年10月14日判決 自保ジャーナル1801号19頁)
このケースでは、被害者は高次脳機能障害の後遺障害が2級であると主張して訴え提起しました。
自賠責の等級認定が事前になされたのかどうかは、よくわかりません(少なくとも判決文からは)。
加害者側は高次脳機能障害の後遺障害が残っていることを争いましたが、地裁判決では、高次脳機能障害の後遺障害があることは認め、ただし等級は5級であるとしています(控訴されています)。
このケースでは、脳萎縮や脳室拡大といった画像所見はなかったのですが
①本件事故により、脳挫傷、くも膜下出血の傷害を被害者が負ったことは明らか
②SPECTにより広範囲にわたって血流低下が認められており、外傷による脳損傷がその原因であると、最も考えやすいとの医師の意見書がある。
③意識障害も軽度ではあるが、1週間以上継続している(救急搬入時にJCS10程度、その後JCS1程度)ということを理由に、高次脳機能障害を認めています。
意識障害の程度が高いものではなく、また脳萎縮、脳室拡大の画像がないことから、争いとなったものですが、当初から脳損傷、くも膜下出血が存在していたのであれば、それにより高次脳機能障害となる可能性は十分にあるはずです。
脳萎縮やくも膜下出血について、画像所見があり、また自賠責の認定を受けていればそれほど問題がこじれなかったと思うのですが、なぜ、自賠責の等級を受けていないのかは、判決文からはよくわかりません。
地裁判決も、脳萎縮、脳室拡大は高次脳機能障害があるか否かの認定を左右しないとしながら、等級を5級と認定するにあたっては、そのことを理由として、被害者側の主張(2級)よりも低めに認定しており、一貫していない印象を受けます。
なお、この地裁判決は、症状固定後の付添費は日額3500円としており、5級としては、高めの付添費を認めています。