鳥海秀七代言人の業務日誌シリーズは、下記参考文献をもとに、気になった一部の大意を記したものです。
5月12日 晴 その1
被告太九老の期日である。
着御届を差出して待っていたところ。午前11時ころに原告被告ともに呼び込みとなったので、聴訟に入る。午後1時からお呼び立てとなる。
御掛様「被告太九老は参っているか。」
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5月12日 その2
私「どうでしょうか。見かけてはおりませんが。」
御掛様「代言から答書が提出されている。」とのことで、代言人の羽原利三郎をお呼び立てになる。
御掛様「明日は判事公のお調べの日となるので、両名そのように心得て出頭せよ。」
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5月12日 その3
御掛様「次に、被告清四郎の件であるが、被告が返済をしないのであるから、身代限りの手続きをすすめるほかないのではないか。」
私「金30円ばかりの債権なのですから、身代限りになどなさらなくても、示談をしていただければこちらは良いのですが、どうしてもというならば仕方ありません。」
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5月12日 その4
御掛様「被告太九老の件は判事の御席調べとなったことでもあるから、その件がはっきりしてから、清四郎の身代限りも行うこととする。」
午後2時ころ、原告被告とも宿に下がる。
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(参考文献)
橋本誠一著「ある代言人の業務日誌-千葉県立中央図書館所蔵『市原郡村々民事々件諸用留』」(同著『明治初年の裁判』所収)