仮刑律的例 28&29-1〈兵庫県〉 関係者の役職への処分等
※本件は仮刑律的例 27の事案において、被害者の一人である三浦行蔵(重傷)及び同行していた杉浦英之進(被害無し)の役職への処分に関する伺いです。詳細な事案は仮刑律的例 27(過去記事)をご参照下さい。
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【兵庫県からの伺】明治二年正月
三浦行蔵からの申出
「昨日6日、私(三浦行蔵)と柘植重次郎は、杉浦英之進と共に喜多村慶二判事宅に赴き、酒肴を求めました。酒が進み、泥酔状態となり、その後のことは全く覚えておりません。手疵を受けたことにつきましては、恐縮するほかございません。処分につきお伺い致します。」
【返答】
正月晦日に付紙で返答。
「この者は、同僚である柘植重次郎及び杉浦英之進と一緒に喜多村慶二方に赴き、酔って同人に対して乱暴な行為に及び、慶二の従者に怪我を負わされた。この始末は不埒であり、役職を免ずる。」
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杉浦英之進からの申出
「昨日6日の午後7時すぎに、同役(船改役)
の柘植重次郎と三浦行蔵と一緒に、喜多村慶二殿宅に赴き、すぐに帰る予定であったのですが、行蔵が慶二殿に酒肴を求め、もともと酒気を帯びていたので、さらに大酔してしまい、重次郎と行蔵が不作法なことを起こしてしまいました。心配となり、両人を制していたのですが、隣の部屋から名前を承知していない人が
重次郎と行蔵に手疵を逐わせてしまいました。私の不行届きにつきましてはお詫び申し上げます。その後、旅館で謹慎をして過ごしています。処分につきお伺い致します。」
【返答】
正月晦日に付紙で返答。
この者は、同役(船改役)の者と喜多村慶二方に行き、同役両名が慶二に対して乱暴な振る舞いをしたのであるから、取り鎮めなければならないところ、取り鎮め方に不行届きがあったものである。よって、謹慎30日とする。
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(コメント)
本件は仮刑律的例 27の事案の関係者の役職への処分に関するものです。
仮刑律的例 27の事案というのは次のようなものでした。
* 明治2年1月6日、喜多村判事の下男友次郎が、運上所船改役の柘植重次郎と三浦行蔵に手疵を負わせた。重次郎と行蔵が酔狂に乗じて判事に対し不作法な行為を行ったため、友次郎は怒りにかられ脇差で両名に切り付けた。重次郎は余病を発して7日に死亡、行蔵は重傷を負ったが快復。
今回の伺いは、被害者の一人である三浦行蔵(重傷)及び同行していた杉浦英之進(被害無し)の役職への処分に関するものです。
三浦行蔵⇒免職
杉浦英之進⇒謹慎30日
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