南斗屋のブログ

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「改訂版 解説森林法」

2021年02月03日 | 地方自治体と法律
森林法を勉強する必要があったので、近くの図書館で本を借りてきました。

森林・林業基本政策研究会の「改訂版 解説森林法」という本。大成出版社から出ています。

森林法は、私の中では印象が薄い法律でした。例えば最高裁判決で違憲判決があったのは森林法だったなぁとか、三公社五現業の中で国有林事業というのがあったなぁとか、国有林といえば営林署というのが管理してるんだよなぁとか、そういえば三浦綾子さんの夫が営林署勤務だったなとか、そんな程度の認識(最高裁違憲判決以外は森林法と直接関係ありませんが)しかありませんでした。

いつのまにか三公社五現業もなくなってしまっていたんですね。三公社は事業全てが特殊会社に移り、五現業は国有林野事業を除き独立行政法人及び特殊会社に移管されてしまっておりました。国有林野事業だけは国の事業として残っているようではありますが。しかし、様相は五原業時代とは変わってしまっておりまして、営林署も今や「森林管理署」と名称が変更になっています。


森林法が気になったのは、小規模林地開発について調べたかったからです。森林法には林地の開発制度についての規定があります。1ヘクタール以上の林地の開発については都道府県知事の許可が必要という規定です。1ヘクタール未満の林地開発については、この許可は法律上は不要です。この1ヘクタール未満の林地開発を小規模林地と言います。
小規模林地については法律の適用の範囲外なので、「改訂版 解説森林法」でも触れられていませんでした。

もともと調べたかったものは調べられなかったのですが、完全な空振りかといえばそうでもありません。

行政法規を勉強して思うのは、解釈など判例で決まっていないことは山ほどあるわけでして、そういう時はやはり法の趣旨から演繹して考えると言うことが大事です。そこで法の趣旨について書いてあるもの、これが解説本になるわけでありますが、その趣旨を教えてくれるものは解説本になります。この「改訂版 解説森林法」は法改正について丁寧に説明されており、また分かりやすい文章ですので勉強になりました。

どうも市町村レベルの自治体では小規模林地開発については届出をするようにという運用がされているようなんですよ。要綱レベルでの運用という自治体もあるようですし、要綱の設置すらしていない自治体もある。
私は千葉県とは縁が深いので、いつも千葉県に関して調べちゃうんですが、千葉県では小規模林地開発について条例を制定していて、ちゃんと法的な裏付けがある。「千葉県林地開発行為等の適正化に関する条例」(平成22年3月26日条例第4号)という条例です。
県の条例なので、小規模林地開発の届出は千葉県知事に対して行うように規定されている。
どうも小規模林地開発は、都道府県によって運用が異なるようです。
なぜこういうことが起こるのかも知りたかったのですが、法律の解説本って、そういう点は書いてないことが多いですよね。







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