南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

ひきにげ行為は刑法上どのような罪となるか

2008年04月22日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
交通事故をおこして、そのまま加害者が逃走したというような場合、加害者には、逃走したという点では
救護義務違反
という犯罪が成立します(厳密にいうと、報告義務違反という犯罪も成立するのですが、今回は割愛します)

救護義務というのは、車両の運転手がその車両の交通によって、人が死亡したり、怪我を負ったりした場合に、救護しなければいけない義務をいいます。
これをしないで逃げてしまった場合は
救護義務違反
ということになります

平成19年の道交法改正前は、この救護義務違反の法定刑は
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
となっていました

詳しくいうとこんな条文になっています。
「車両等(中略)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、第72条(交通事故の場合の措置第1項前段の規定)に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
この条文(道交法117条)自体は、現在でもありますが
2項として
救護義務違反をしたときに
「人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるとき」
は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金にする
との条文が付け加わりました(道交法117条2項)

これにより
人の死傷が運転者の運転に起因→10年以下の懲役(又は罰金)
そうでない場合→5年以下の懲役(又は罰金)
というように、救護義務違反がわけられました(平成19年9月19日から施行)

例えば、信号のある交差点で、Aさんが赤、相手が青で、Aさんが突っ込んで相手方が怪我をした場合、Aさんが無免許運転がばれるのが嫌で逃走してしまったという場合
Aさんには過失がありますから、相手方の怪我はAさんの運転に起因するものといえるので、重い方の規定が適用され
逆に、Aさんが青、相手方が赤の場合はAさんは救護義務違反となりますが、軽い方の規定が適用されることになります


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする