南斗屋のブログ

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検察審査会の議決に将来的には拘束力が生まれます

2007年04月27日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 前回は、検察審査会の議決の内容について説明しました。
 最後の方で、「不起訴不当」と「起訴相当」という、検察官の処分に反対する決議ですが、全国で年間約125件されており、そのうち、検察官が、起訴をしたというのが年間約30件です。
ということをお話ししました。

 これを結構、検察官も反省して起訴しているんだなあと見るのか、3件に2件も検察審査会のいうことは聞かないんだから、検察官もかなり慎重なんだなあと見るかは見解のわかれるところでしょうが、ここからおわかりのとおり、
  検察官は検察審査会の議決を聞く義務がありません

 検察審査会が「起訴相当だ」といったところで、検察官が「いや、改めて捜査をしてみましたが、これを起訴するのは無理です。裁判所に起訴したとしても、無罪になってしまう可能性がある。だから、起訴しません」と考えて、起訴しないということは法律上オーケーなのです。

 つまり、検察官は検察審査会の議決に拘束されません。
 拘束されずに、自由に(といっても、検察庁内部の問題はありますが)起訴、不起訴ができるということになっています。

 このようなことでは、検察審査会という市民の考えが反映されないではないか!ということで、法律が改正されまして、2009年5月までには検察審査会の議決に拘束力を生じさせる、つまり、検察審査会が起訴すべきだと議決したときは起訴をする効力をもたせるということになりました。 
 ただ、これは2009年という再来年の話ですので、それまでは現在同様、議決には拘束力がなく、検察審査会の議決はいわば「参考」扱いになります。

 2009年5月までというのは、裁判員制度が始まるときなのですが、裁判員制度は大々的に宣伝されておりますし、それなりに関心が払われておりますが、この検察審査会の制度改正については全くといっていいほど知られておりません。

 弁護士ですら、この制度改正を知らない人もいるぐらいですから、一般の方が知らないのも無理もありませんが、被害者側としては非常に重要な制度改正ですので、記憶の片隅にでもとどめておいていただけるとよいのではないかと思います。
 
コメント (1)
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