レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-「飾られなかったクリスマス・ツリー」-楽しい読書331号

2022-12-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2022(令和4)年11月30日号(No.331)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-
「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年11月30日号(No.331)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-
「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー」
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 今年もはやクリスマス・ストーリーの紹介の季節となりました。

 昨年は現代編でしたので、今回は古典編です。
 クリスマスらしいハート・ウォーミングな短編を紹介しましょう。


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-クリスマス・ストーリーをあなたに (12)- 2022
  ~ 売れ残ったクリスマス・ツリーの運命は……? ~
 「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー

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 ●過去の ~クリスマス・ストーリーをあなたに~

1◆2011(平成23)年11月30日号(No.70)-111130-善意の季節
『あるクリスマス』カポーティ
善意の季節『あるクリスマス』カポーティ
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/11/post-2b5f.html

2◆2012(平成24)年11月30日号(No.94)-121130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 アガサ・クリスティー『ベツレヘムの星』から
クリスマス・ストーリーをあなたに ―第94号
「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/11/post-4575.html
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11415827315.html

3◆2013(平成25)年11月30日号(No.117)-131130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム
・クリスマス・ストーリーをあなたに~
『サンタクロースの冒険』ボーム
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11713521094.html
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2013/11/post-2e56.html

4◆2014(平成26)年11月30日号(No.140)-141130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』コニー・ウィリス」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~
『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』コニー・ウィリス ―第140号
「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11958011368.html
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/11/post-e7fb.html

5◆2015(平成27)年11月30日号(No.164)-151130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
『まれびとこぞりて』コニー・ウィリス」
・クリスマス・ストーリーをあなたに―
「まれびとこぞりて」コニー・ウィリス ―第164号
「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-12101006584.html
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2015/11/post-108a.html

6◆2016(平成28)年11月30日号(No.188)-161130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
ディケンズ『クリスマス・ブックス』から『鐘の音』」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~
ディケンズ『クリスマス・ブックス』から『鐘の音』 ―第188号
「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-12224275324.html
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2016/11/post-2cc0.html

7◆2017(平成29)年11月30日号(No.212)-171130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)
「クリスマス・プレゼント」梶尾真治」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)
「クリスマス・プレゼント」梶尾真治
―第212号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-12332325526.html
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2017/11/7-eb88.html

8◆2018(平成30)年11月30日号(No.236)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(8)
『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~(8)
『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング
―第236号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/11/8-9bc1.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3a5c8cbafc52eca791e8a99a100b9644

9◆2019(令和元)年11月30日号(No.260)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(9)
『その雪と血を』ジョー・ネスボ」
・クリスマス・ストーリーをあなたに(9)『その雪と血を』ジョー・ネスボ
―第260号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2019/11/post-2d509d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e0b43669289d5be0dd6bc01509240c60

10◆2020(令和2)年11月30日号(No.283)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)
「ファンダーハーフェン老人の遺言状」メアリー・E・ペン」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)
「ファンダーハーフェン老人の遺言状」ペン-楽しい読書283号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/11/post-b1f27c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/32ad800de583f407aaa4dab7f8b3c849

11◆2021(令和3)年11月30日号(No.307)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-
「パーティー族」ドナルド・E・ウェストレイク」
・クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-「パーティー族」
-楽しい読書307号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/11/post-89135b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/18c776f043925c645747d63c43d02f2c

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

一回毎、一年ごとに【古典編】と【現代編】を交互に紹介してきました。

【古典編】
 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』『鐘の音』
 ワシントン・アーヴィング『昔なつかしいクリスマス』
 ライマン・フランク・ボーム『サンタクロースの冒険』
メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」

【現代編】
 トルーマン・カポーティ「あるクリスマス」「クリスマスの思い出」
 アガサ・クリスティー「水上バス」
 コニー・ウィリス「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」「まれびとこぞりて」
 梶尾真治「クリスマス・プレゼント」、ジョー・ネスボ『その雪と血を』
 ドナルド・E・ウェストレイク「パーティー族」


 ●『ミステリ・マガジン』<クリスマス・ストーリー集>より

今年の【古典編】は、今から100年近く前に発表された小品です。

2020(令和2)年、第10回<クリスマス・ストーリーをあなたに~>の
メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」に続き、
<クリスマス・ストーリー>の存在を教えてくれた
文芸雑誌(かつては長年、海外ミステリ専門誌として知られ、
海外の文化――主に英米の――を知らしめる役割も負っていた)
『ミステリ・マガジン』掲載作を紹介します。

アメリカの作家・エッセイストの
クリストファー・モーリー(Christopher Morley、1890~1957)が
1925年に発表した短編「飾られなかったクリスマス・ツリー」です。

売れ残ったクリスマス・ツリーの悲しいけれど、暖かい物語です。

クリストファー・モーリーは、Amazonによりますと、
『取り憑かれた本屋』(2020/1/28)
『ロジャーミフリンの旅する本屋パルナッソス』(2021/12/3)
の2冊の邦訳があります(Kindle版 (電子書籍)もあり)。


 ●クリストファー・モーリー「飾られなかったクリスマス・ツリー」

*「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー
浅倉久志/訳
 『ミステリ・マガジン』1997年12月号(no.501)
   <クリスマス・ストーリイ集>より




 《(略)年老いた高木は――とりわけモミの木は――
  なにかをささやいている。彼らは若木たちに
  “飾られなかったクリスマス・ツリー”の話を
  してやっているところなのだ。
  それは悲しい物語のように聞こえるし、
  古木たちの声にも心なしか厳粛なひびきがある。
  しかし、それは若木たちを励ます物語だ。(略)
  おおぜいの若い常緑樹はこの物語で勇気づけられる。》


そのお話とは――?
今まで誰も書かなかった物語だというのですけれど……。


 ●ストーリー~ 山から切り出されたツリー

この物語の主役をつとめるツリーは、
そもそも切られたのが間違いでした。
普通なら切られずにすむはずの木だったのですが、
夕暮れ近く、斧を持った男は、斧の切れ味に酔い、
ついつい多くの木を切りたくなってしまい、
その木も切ってしまったのです。

その木は、すくすく育った若木だったのですが、
年齢の割に背が高く、枝も不揃いでした。
もしそのままそこに残されていたら、立派な大木になったことでしょう。

今は、中途半端な年齢で、人々がクリスマス・ツリーに求める、
先細りの形に枝葉もむらなく密生していない、
まっすぐすらりとした円錐形ではなく、いくぶん横に傾き、
梢がふたまたに分かれていました。

運び込まれた大勢の仲間たちと青物屋の壁にもたれていると、
そんなことも分からなかったのです。
寒い12月の日々、やがて訪れるお祭りを夢に描いて、
彼はとても幸せでした。

クリスマス・イヴの楽しさは、ふだんから話にきいていました。

ピカピカ光る玉や星、色とりどりのおもちゃ、ねじり飴、
ロウソク代わりの電球などなど。

 《きっとぼくはとても見栄えがするぞ。
  感心してくれる子供たちがいるといいけど、
  その子供たちが靴下をぼくの枝に吊るすときは、
  すごくいい気分だろうな!》

当初彼は、
買い手が付いて運び去れるモミの木たちを気の毒に思っていました。
クリスマス・イヴまでここに残っていた方がいい。
きらびやかな夜が来れば誰かに選ばれて、
大きな家のギフトの包みの山がの中に颯爽と立つ彼をみて、誰からいう。
「ああ、なんて美しいツリー!」


 ●売れ残るツリー

しかし、何日かが過ぎ、次々と買われていくと、
彼も心中穏やかではいられません。

どのお客も彼には厳しい言葉をかけます。

「背が高すぎるわ」
「この木はダメ、枝が貧弱」

青物屋は「てっぺんをちょん切りましょうか」といい、
何本かの枝をねじ曲げましたので、彼は痛くてたまりません。

店の前には10セント・ストアがあり、
飾り窓にはツリーを飾る様々な品物が置かれ、
人々のにぎやかな話し声が聞こえてきます。
クリスマスが近づくにつれ、見てくれのいいツリーが前列に並べられ、
仲間たちが次々に買われていきます。
さすがに、街の賑わいが身にしみて感じられました。

ツリーを安く手に入れたい婦人の前に引き出され、
「このツリーなら1ドルにおまけしますよ」と青物屋がいますが、
その値段は当初の三分の一でした。
それでも婦人には売れませんでした。
青物屋が乱暴の押し戻したため、彼は横倒しになってしまいました。


とうとうクリスマス・イヴの日がやってきました。

店の横の道は積もった雪が人々に踏み荒らされぬかるみになり、
壊れた空き箱やヒイラギの切れっ端と共に、
彼はそこに横倒しになったまま、自己憐憫と腹立ちに身震いしました。
「ぼくにはおもちゃも靴下もない」

その晩、
青物屋の主人は売れ残った二、三のツリーを地下室の放り込みます。

クリスマスの翌日、墓地のお飾りに緑の枝を求める客に、
青物屋は、斧を持ってツリーの枝をちょん切って運び去りました。

こうして我々のツリー、いやツリーのなれの果ては、
たっぷり考える時間ができました。


 ●売れ残ったツリーの行き先は

さて、売れ残ったツリーがどうなるのか、といいますと、
実は、期以降の農夫たちが、豆の支柱やブドウ棚の支柱にするため、
一本5セントで買っていくのでした。

ですから、最後には、このツリーたちの方が、
サンタクロースのために飾り付けられたツリーたちより幸せだ、
といえるかもしれません。

なぜなら、新鮮で湿った春の土の上に戻され、
太陽が暑く照りつけるころには、蔓が幹を這い上り、
クリスマスの飾り付けにも劣らぬ
美しい赤い豆の花やブドウの青く小さな粒に飾られるのですから。

枝葉のなくなった彼もまた、
ほかのモミの木と共にトラックの荷台に乗せられ田舎へ。

農家の奥さんがこの木を見て、「そういうのが欲しかったのよ」と。
物干し用の柱に、というわけです。

われらの我らのツリーが初めて褒められたのです。

クリスマスの星を飾るには不向きな二股の梢も
物干しにはおあつらえ向き。

農家の奥さんは、そこに色とりどりの子供のたちの靴下を干しました。

クリスマスには飾られなかったモミの木でしたが、
明るい色の小さな衣類が風をはらむのを、
ウキウキしながら見つめていました。

ある日、この柱を移そうとした奥さんは、
「この柱は動かせないわ」といいました。
なんと朝顔の蔓が巻き付いていたのです。
程なく、われらのはだかの柱には、美しい青や赤の花に彩られました。

 《飾られなかったツリーにはなにかすばらしいことが起きる、
  とモミの古木たちは信じている。
  そして、豆の木をよじ登った少年が巨人を倒した
  というおとぎ話にあるように、
  いつかはクリスマス・ツリーから作られた豆の支柱が、
  新しい魔法の豆の木の出発点になると信じている。
  もしもそうなったときには、
  そこから新しいおとぎ話がふたたびはじまることだろう。》


 ●飾られなかたツリーにもセカンド・チャンスがある

売れ残った、飾られなかったツリーにも、
また違った生き方(活かし方)があるものなのですね。

人も同じ、華やかな一生をすごす人もいれば、
隠れた場所で、それなりの花を咲かす人もいるのです。

人それぞれに魅力があり、価値があり、活躍の場があるものなのです。

腐らず、チャンスを待ち、来たるべき時には飛躍できるように、
準備を怠らないことが大事でしょうね。

セカンド・チャンスは必ずある、と信じて!

「待て、そして希望せよ」というのは、
『モンテ・クリスト伯』の言葉でした。

必ず報われるときがあるものです。

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 ★創刊300号への道のり はお休みです

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本誌では、「クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー」と題して、今回も全文転載紹介です。

クリスマスのために切られたモミの木でも、見栄えのよいものから売れてゆき、最後に売れ残ってしまったモミの木はどうなるのでしょうか。
そのお話が今回の作品です。

モミの木に限らず、人間の場合も、見場のいい人悪い人、運のいい人悪い人がいます。
能力があっても、活かされる機会のないままに腐ってしまう場合もあります。

しかし、本文にも書きましたように、人それぞれに価値があり、また、そのそれぞれの価値を求める人がいる、というのが現実です。
あとはただマッチングだけです。

大切なのは、本文にも書きましたように、「待て、そして希望せよ」ですね。

生きていれば何かが起こるもの、だと思います。
諦めると、その時点で終わりです。

先日のワールドカップの日本代表も、ドイツ戦では見事な逆転勝利でした。
果敢に攻めた結果でしたよね。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-「飾られなかったクリスマス・ツリー」-楽しい読書331号
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