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"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

夏本番“佃祭”の準備も始まり

2008年07月07日 12時12分54秒 | 催しごと

 旧六月五日。二十四節気の【小暑(しょうしょ)】です。

大暑来れる前なればなり
        『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 酷暑の夏本番が忍び寄ってくる感じが伝わってきますね。さて今日は新暦で七夕。あいにく星は望めそうにありませんが、ご安心ください。旧暦の七夕は今年8月7日(木)です。きっと夜空は晴れ渡ることでしょう。梅雨も後半に入ってじめじめ蒸し蒸しとした陽気になってきました。急に夏の暑さがやって来て、早くも少々夏バテ気味です。

0707nobori1  わが町の氏神、佃住吉神社の例大祭、通称“佃祭”は、今年三年に一度の本祭りです。大祭の日程は8/1(金)~4(月)の四日間。住吉神社が鎮座する佃島を中心に佃、月島、勝どき、晴海の氏子地域全体が祭り一色に染まります。佃祭りのシンボルと言えば、八角形をした宮神輿の「八角神輿」、若衆が担いで町内を渡御する一対の「獅子頭」、軽快で粋な響きの「佃囃子」、そして住吉神社を守るように立てられる六本の「大幟」です。高さ20メートル、川を渡る夏の風になびく姿は勇壮そのものです。
(歌川広重の名所江戸百景より「佃しま住吉の祭」)


 7/6日曜日。「大幟」の柱や柱を固定するための抱木(だき)が、佃堀から掘り出されました。
0707nobori住吉神社の祭礼や行事を司る佃住吉講の人々が朝から集まり、この日潮位が最も低くなる13時頃を中心に手順よく掘り出して行きます。木は空気や雨風に触れるよりも、堀の底に埋めておく方が劣化が少ないので、祭りが始まった江戸の頃から伝統的に、この手法がとられているそうです。
(写真左:佃堀の底から姿を現し工事用クレーンで吊り上げられる柱/佃堀に浸かって柱から泥を洗い落とす/柱を固定するための抱木)

0707poster  これから佃島周辺では詰所、獅子小屋、山車小屋、囃子殿などが建てられ、大幟の柱は7/27(日)に立ち、祭り初日の8/1(金)の朝10時、一斉に幟旗が揚げられて祭り本番を迎えます。三年に一度、いつもより暑く熱い夏がいよいよやってきました。
(写真は今回のポスター。クリックすると大きくなります。左側に日程が書いてありますのでご覧ください。佃住吉講のホームページから頂きました。)

住吉神社例大祭「佃祭」に関する過去のエントリーは
2005.7.27「住吉神社例大祭~其の壱~御神輿の準備」
2005.8.11「住吉神社例大祭~其の弐~祭始まる」
2005.8.12「住吉神社例大祭~其の参~神輿上がる」
2005.8.15「住吉神社例大祭~番外編~夢見心地な祭りの夜」
です。ぜひご覧ください。


山伏の息吹を伝える山形の芸能公演

2008年02月03日 12時58分43秒 | 催しごと

 旧十二月二十七日。今日は節分。寒の締めです。東京は早朝から雪がちらつき始めすっかり雪景色となりました。
 節分といえばいろいろな風習がありますね。煎った大豆を撒いたり、歳の数、あるいは歳の数に一つ加えて食べたり、その年の吉方を向いて太巻きを一気に食べる恵方巻だったり、鰯の頭を柊の枝に刺して玄関に飾り邪気を祓ったり・・・と、その地その地で様々です。節分は二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前日で、年に4回あります。季節を分ける日、と言う意味があります。中でもこの立春前日の節分がとても一般的なのは、季節の最初、年の始め、長い冬の終わりを予感させる春の訪れに因ることなのでしょうね。皆さんの暮らしの近くにはどんな風習がありますか。

 いつも催しの事後レポートばかりになってしまい、面白そうな催しは事前に教えてください、という声も届くようになったので、今日は一つご紹介しましょう。

 国立小劇場で3月1日(土)に開催される『山形 出羽の芸能』です。詳しくは国立劇場のHPこちらをご覧下さい。
0202yamagataa公演は午前の部「山伏が伝えた芸能」と午後の部「山形を彩る芸能」の入替性二部構成になっています。中でも私が興味を抱いてチケットを入手したのが「山伏が伝えた芸能」です。
 山形の出羽三山(月山、羽黒山、湯殿山)は、山伏修業のメッカとして全国から山伏が集まって、修検と情報交換がされていました。やがて山伏らは東北の各地に散って民俗信仰に影響を与え、豊富民俗芸能のルーツを伝搬していったとされています。今回はそのルーツの一つと言っていい、山形県内で行われている神事と芸能「冬の峰 松例祭神事」出羽三山神社(鶴岡市)、「稲沢番楽」(獅子舞/三人太刀/金巻)稲沢番楽保存会(最上郡金山町)、「杉沢比山」(翁/鳥舞/景政)杉沢比山保存会(飽海郡遊佐町)
を東京の舞台で披露する貴重な公演で、とても興味深いです。
 午後の部「山形を彩る芸能」では
「花笠音頭」東京花笠連合会、「日和田弥重郎花笠田植踊」日和田弥重郎花笠田植踊保存会(寒河江市)、「梓山獅子踊」(道行/梵天舞)梓山上組獅子踊保存会(米沢市)、「黒川能」(羅生門)黒川能上座(鶴岡市)
が上演されます。
 また、ロビーでは民話語りの実演が行われます。

 きっと山形の、それぞれの芸能が伝承されている土地を訪れたような感覚になることでしょう。非日常的で素朴で躍動感ある山伏伝来の芸能をぜひご覧下さい。


 


古民家に暖かいイラスト展を観に行く

2007年10月03日 18時24分41秒 | 催しごと

 旧八月二十三日。八月下弦の月です。そういえば東京では月はおろか、太陽も拝めない日が続いていますね。スッキリと晴れた秋の青空が恋しいこの頃です。

 友人のイラストレーター/エッセイスト、
103harumin1浅生ハルミンさんのイラスト展に行ってきました。 彼女のイラストは一目見ただけで心を和ませてくれるような、暖かみのある空気を伝えてくれます。自称“猫ストーカー”の彼女は、町にいる猫を追跡する達人でもあります。以前、何人かで鎌倉散策に出掛けた折、103haruminhon_2毛並みの良い野良猫が集う光明寺に立ち寄り、 その模様を女性誌のエッセイに書いてくれたことがありました。 彼女の著書『私は猫ストーカー』(2005/洋泉社)はジワジワと売上を伸ばし、支持者を集めている、密かなヒット作なのだそうです。どこか哲学的な視線を送り、なぜか眉毛のある彼女のペンによる猫は、常に脳裏にペタッと張り付いてしまっています。

 今回のイラスト展が行われたのは、郊外の町田市。小田急線鶴川駅から少し歩いたところにある古民家のサロン。
木の温もりを感じる家を造る鈴木工務店の敷地にある【可喜庵】と名付けられたこのスペースは築150年。103harumin2_22年前までは社長さんが住まわれていたそうです。最近発刊された鈴木工務店のコンセプト・ブック『温故知新の家づくり』のイラストをハルミンさんが担当されたご縁で、今回の展示が実現した、とのことです。額装したイラストに加え、古民家の雰囲気を活かして、襖や掛け軸も彼女のイラストになっていて楽しい空間になっています。

 【可喜庵】のことをもう少しご紹介しましょう。103kakian1 物心着く前から最近まで小田急線を利用していたわたしは、車窓から牧歌的な沿線の田園風景が徐々に開発されて住宅に変わってゆくさまを、ずーっと眺めてきました。子供の頃は茅葺屋根家も珍しくはなく、いつの頃からかそれが一ずつ消えてゆくのを寂しく感じたものです。そんな中で「一件だけ残っているな」と思って見ていたのが【可喜庵】でした。
 そんなわけで、なんとなく愛着を持って眺めていた建物に初めて足を踏み入れるのは、103kakian2 ちょっと心躍らされる瞬間でした。土間に入っただけで古民家特有の良い香りがぷーんとしてきます。つい最近まで実際に生活の場として使われてきただけに、動態保存がうまく為されていて、とても居心地がよい家でした。【可喜庵】ではギャラリー、演奏会、講演会、もの作り・・・多目的なサロンとして活用されてます。とても魅力的なスペースなので【暮らしのリズム】でもぜひいつかイベントを企画したいな、と思いました。

<ハルミンさんのblog【浅生ハルミンの『私は猫ストーカー』passage】>はこちら
<【可喜庵】のホームページ>はこちら
<鈴木工務店のホームページ>はこちら 


佃島盆踊り と 初めての浴衣

2007年07月22日 12時38分53秒 | 催しごと

 旧六月九日。なかなかすっきり梅雨明けとはいかない関東地方です。もう二、三日はっきりしない空模様が続きそうですね。明日は二十四節気の【大暑(たいしょ)】。夏本番はもう間もなくです。

 三日間、一日も開催できないのでは、と心配だった佃島盆踊りですが、722bon 初日の7/13(金)は雨の降り出しが予報よりも大幅に遅れて、無事できました。二日目の14(土)は台風接近に伴い朝からまとまった雨で早々に中止を発表。台風情報との睨めっこになった最終日の15(日)は、台風4号が関東の南沖合を足早に進んでくれたお陰で、なんとかぎりぎり開催することが出来ました。皆さん台風で家に籠もっていたからか、あるいは三連休に重なったお陰か、最終日はここ何年かの中で一番盛り上がった印象でした。
(写真左上より時計回り:初日17時には築地本願寺による無縁仏供養の法要が行われ、盆踊りの幕が開きます/73年振りに太鼓を新調しました。100年は頑張ってくれるそうです/保存会による踊りのレッスン。簡単な踊りなのでマスターすると癖になります/初日の夕焼けの風景)

 「毎年、今年こそ」と思っていた念願を叶えて初めて浴衣を仕立てました。大きく背中を押してくれたのは、722yukata2 6/16(土)に行った「足立区伝統工芸展」でのこと。そこに出展していた東京本染めゆかたの旭染工(株)さんの浴衣地を拝見して、ぜひ着てみたい、という思いが膨らんだのでした。旭染工さんでは最近大人気の本染め手拭いもたくさん手がけていて、展示品にはお店などでよく見る手拭いが勢揃いしています。
 この東京で、百年以上の伝統の技法「注染」で染めている浴衣地で仕立ててみたいな、と思いが募り、722yukata1 旭染工さんの社長阿部さんに問屋さんをご紹介いただきました。浴衣が仕立て上がったのは佃島盆踊りの翌日。今年は間に合いませんでしたが、この夏は夕方の散歩に、野球観戦に、花火大会に・・・なにかと浴衣を着て出掛けてみようと思っています。粋に着こなせるようになるには場数を踏まなければ。


準備完了。もうすぐ佃島盆踊り

2007年07月11日 15時52分51秒 | 催しごと

 旧五月二十七日。二十四節気の【小暑(しょうしょ)】が7月7日でした。いよいよ梅雨も後半戦。シトシト降る雨から周期的にザーッと降る雨に変わってきます。九州では大雨による災害が相次いでいます。大きな台風4号も近づいてきました。天気予報などには十分に注意しましょう。

 本来お盆は、旧暦の七月十三日に迎え火でご先祖様をお迎えして、十五日が盆、十六日は送り火でご先祖様をお送りする行事です。今はだいたい旧暦の頃、ということでひと月遅い8月に行うのが一般的なようです。沖縄などでは変動的な旧暦に則って行う習慣が根強く残っていますね。東京の古い町では、明治以降カレンダーの7月13日から16日にお盆を行う風習がよく見られます。東京都無形民俗文化財の“佃島盆踊り”もこの時期、毎年7月13日から15日までの三夜に渡って行われます。
711junbi  開催を翌々日に控えて、今日は早朝から準備です。明け方までの激しい雨も止み、強い陽差しも無く良い日和です。櫓を組み上げ、提灯を飾り、精霊棚を組み立てるなど、午前中をかけて会場の準備を行いました。
(写真上段:まずは櫓の土台から。基本的には金物を使わずに組み上げます。下段:昨年新調した精霊棚は、伝統に則って備中檜の節のない木材をで出来ています)
 今年は週間予報では天気が悪そうで、台風の影響もあるかも知れません。なんとか一晩でも踊りの輪ができれば有り難いですね。
719tsukuda_1  太鼓と唄だけによる盆踊り唄は神秘的で引き込まれていきます。踊りもゆったりとシンプルな振りですが、10分も輪に加わっていれば体が熱くなって、気持もスッキリしてしまいます。素朴で不思議で魅力的な盆踊りをぜひ体験してみてください。(写真は昨年の模様です)

◆◆佃島盆踊り(佃島念仏踊り)◆◆
日程:7月13日(金)~15日(日)
時間:19時頃から21時過ぎまで(雨天の場合は中止です)
  ※前半は子どもの踊り、名音頭取り飯田恒雄さんは20時過ぎに登場します。
場所:中央区佃一丁目(地図はこちら)
注意:佃島盆踊りは、この地に上がった無縁仏を供養するための行事です。必ず精霊棚でお線香を上げてから踊りの輪に入りましょう。

過去の関連エントリーは
2005.7.14「佃島盆踊り」
2006.7.12「佃島の夏景色」
2006.7.22「『遙かなる佃』昭和の東京を見る」
です。ぜひご覧下さい。