"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

初冬の彩りに映える重厚な古民家

2008年11月13日 16時14分09秒 | まち歩き

 旧十月十六日。すっかりblogの更新を怠っていたら、季節が二段階ほど進んでしまいました。二十四節気の【立冬】から六日が経ち、晩秋から初冬へと季節が移ろっています。1112hoshigaki1 東京ではここしばらく暑い雲にべったりと蓋をされてしまっていましたが、今日は早朝から雲一つない青空に恵まれました。今宵は満月。明るい月夜になりそうです。

 「古民家」というとついウキウキしてしまう質です。インターネットで探して、出掛ける先の近くに古民家が保存されていたりすると、立ち寄ってしまいます。9月の雨の日に横浜市栄区にある旧小岩井家という古民家を訪ねました。この古民家は素晴らしく、とても感動的な佇まいです。細かい雨を静かに受け止める茅葺き屋根。そこから玉砂利の軒下に落ちる雫の音。下座敷の縁台(正しくは式台)から眺める風景と音、空気を感じていると、時間の経つのを忘れてしまうほどでした。
1112koiwaike  その旧小岩井家に、今度は雨上がりの晴れた日に訪れました。まさに立冬の日、翌日には敷地である『本郷ふじやま公園』のイベント、収穫祭を控え、ボランティアのスタッフが楽しそうに急がしそうに準備に追われています。軒下には柿が吊るされ、一幅の絵のような情景が季節を感じさせます。
(写真左上から時計回りに:重厚な佇まいの主屋/柔らかい日差しを浴びる吊るし柿/主屋の縁側から眺める長屋門/門の外から色づく柿と済んだ青空のコントラストは見事)

 旧小岩井家は鎌倉街道に面した鍛冶ヶ谷村の名主で、主屋は江戸末期の弘化四年(1847)、長屋門もだいたい同じ頃に創建されたそうです。主屋には身分の高い人が使用する公式の出入り口「式台」を備え、農家などとは違う格式があります。式台から入ると下座敷、中座敷、上座敷と続き、上座式には重厚な床柱に特に職人の技が光る違い棚や附書院が見事です。この旧小岩井家の素敵なところは、自由に座敷に上がって中を見学でき、他にもイベントや会合などで利用されている、ということ。これはいいですね。動態保存ということなのでしょう。畳に腰を下ろして古の人々の気分に浸れるのは、古民家ファンとしてたまらないものです。お近くにお越しの際に訪れてみてはいかがでしょうか。

旧小岩井家
(横浜市指定有形文化財)
本郷ふじやま公園(横浜市栄区鍛冶ヶ谷1-20)
古民家ゾーン開館時間=9:00~17:00
休館日=毎月第一水曜日(祝日の場合はその翌日)・12/29~1/3
入館料=無料