旧六月十日。明日は二十四節気の【小暑(しょうしょ)】。この日から【立秋】前日、8月6日までのことを【暑中】と言います。
大暑来れる前なればなり。
『暦便覧』(天明八年/1788年発行)
大きな台風が日本列島に向かってきそうです。梅雨も終盤戦に突入でしょうか。今年はエルニーニョ現象で、冷夏との予想も聞こえてきますが、どんな夏になるのでしょう。
昨日、7月5日は“暮らしのリズム”主催のイベント【可喜庵で...猫と落語の宵噺(よいはなし)】を開催しました。お足元の悪い中、たくさんの皆さんにお運び頂き、ありがとうございました。
この会は、昨年10月に渋谷のスペース「光塾」で初めて開催し、今年の2月22日(猫の日)に、第2回目を開催。第3回目となる今回は、都会を少し離れ、町田市の鶴川駅近くの古民家スペース【可喜庵】を舞台にしました。ここは、地域に根ざし、良質の木造住宅を提案・設計・施工している鈴木工務店の、かつての隠居小屋。江戸の末期に建てられた重厚な民家です。
数年前に多目的スペース/サロンとしてリノベーションされました。
この会の出演は、二匹の愛猫と暮らす立川志の春さんと、「わたしは猫ストーカー」や「猫のパラパラブックス」でお馴染み、エッセイスト/イラストレーターの浅生ハルミンさんの二人です。2007年に、鈴木工務店の家づくりを紹介した本「温故知新の家づくり」にハルミンさんが挿絵を書き下ろし、さらには、可喜庵の4枚の襖にイラストを書きました。そんなご縁があって、今回の開催が実現した経緯がありました。
毎回、志の春さんは、猫が登場する古典落語を一席と、お楽しみの一席を聞かせてくれます。そこで、今回の一席目は「猫の皿」。旅先で掘り出し物の収穫がなかった古物商が、ふと立ち寄った茶店で猫が絵高麗の梅鉢でエサを食べているのを見つけ、猫を三両で買おうとするが...という滑稽噺です。猫が苦手な古物商の目線を通した猫の描写が実に可笑しいです。
一席目に続いては、志の春さん、ハルミンさんによるユル~いトークタイム。襖のイラストの話から、なぜか神出鬼没の「裏切らない焼き芋屋」の話に。場はなんともホンワカした雰囲気に包まれました。
休憩後の二席目は、今回の企画にピッタリとはまる噺。衝立の絵から雀が抜けて飛び出すという定番の古典落語「抜け雀」。噺の中には、ハルミンさんもチラリと登場する創作を挟んだ、特別バージョンでした。
夏の夕方は永いもの。お客様を送り出す頃には、雲が切れて青空も覗くほどに回復。雨露に濡れた緑が香る中、この日の回は、無事お開きとなりました。可喜庵での落語のイベント、ぜひまた企画したいと思います。