"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

建具職人・田中清八さんとBCXSYの共同制作

2010年06月30日 18時28分51秒 | 季節のおはなし

 旧五月十九日。6月30日は一年のちょうど半分です。

 神
社の神前には藁で作られた茅の輪が置かれ【夏越(なごし)の祓え】が行われます。0630namiyoke今年前半の悪事や罪、穢れを除くための神事で、12月31日の大晦日には【年越の祓え】をやります。私も今朝、築地波除神社にある茅の輪をくぐってお参りしてきました。時間が経つのは本当に早いものです。明日からは今年の後半戦がスタートします。


 波除神社に行くと思い出す二人のアーティストがいます。イスラエル出身のBoaz Cohenさんと山本紗弥加さん。現在オランダで活動する二人はそれぞれの頭文字をとって『BCXSY』というアーティスト・ユニットで活動しています。その作品は造形でありオブジェであり
道具。一言では言い表すことが難しいほど様々な感情や主張がある作品ばかりです。暮らしの空間にBCXSYの作品がポッと置いてあることで、心が有機的であることを意識できるような、そんな作品なのでしょう。
 Boazさんと紗弥加さんが、足立区の伝統工芸士で建具職人の田中清八さんを訪ね、
共同作業で作品作りに取り組むことになったのが、今年早々のことで0630tanakasanした。このblogを見て田中さんの仕事ぶりに目が留まり、コンタクトしてきてくれたのですから、嬉しい出来事でした。すぐに田中さんのご自宅で打ち合わせをされるところにお邪魔しお二人と初めて対面しました。そのお人柄に触れ、制作に向けた田中さんとの対話を外野から見ているうちに、きっと素晴らしい作品が生まれるだろう、と確信しました。
 お二人とはすぐに意気投合し、数日後に築地市場で朝ご飯を食べる約束をしました。定宿の浅草からはレンタル自転車で来る、というので待ち合わせをしたのが築地波除神社の前でした。ところが簡単には会えなかったのです。ちょっと笑えるアクシデントがあって、そんなことで、波除神社の前に行くと二人を思い出します。半年ほど前の楽しい出来事でした。

 季節は二つ進み、梅雨から夏を感じるこの頃です。今日は盛夏のような空が広がりました。 先週Boazさんと紗弥加さんから嬉しいメールが届きましたので、ご紹介します。
0630bcxsy
 その後田中清八さんとBCXSYの共同作業は順調に進み、江戸指物の手法と技術を凝らした作品が三点完成しました。その作品が右の写真。イタリアのミラノで多くの人の関心を集めた展示会での写真です。日本らしい清楚で凛とした建具の表情と、ユーモラスでウィットなデザインの融合は、見ているだけで楽しくなるように思えます。ぜひたくさんの人の目に触れて欲しい作品です。
 Boazさん・紗弥加さんと再会できる日が楽しみでなりません。

【BCXSY】のホームページはこちらです。
サイドバーの[collections]の[Orijin part I : join]をご覧ください。
作品と制作風景の写真がたくさん見られます。
[join]に関する日本語訳のpdfファイルは以下です。

「BCXSY-Origin-part-I-Join-JP.pdf」をダウンロード

田中清八さんに関してはこちらもぜひご覧下さい。
2008年2月20日『伝統工芸、指物師・田中清八さんを再び訪ねて』

2007年6月17日『職人技に触れる。指物師・田中清八さんとの再会』
2006年7月2日『指物建具工芸師、田中清八さんを訪ねる』


満員御礼!『居酒屋寄席~五月雨の会』

2010年06月20日 18時34分52秒 | 主催する催し

 旧五月九日。明日は二十四節気の【夏至です

    陽熱至極し、また日の長さのいたりなるを以てなり
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 今年の夏はなんだか蒸し暑い日が多いです。梅雨寒という半袖では肌寒い陽気がありませんね。適度に五月晴れの日もあるので、夏野菜が美味しくなるかも知れません。

 昨日は『居酒屋寄席~五月雨の会』。お陰様をもちまして、満員となりました。
0620danshuお運び頂いた皆様には感謝致します。ありがとうございました。
 今回のご出演は、2003年11月に初めて開催した“暮らしのリズム”落語会にも登場した立川談修さん(写真右)。当時は二つ目への昇進を果たしたばかりで、初々しい羽織姿を亡き文都師匠に冷やかされていたのが懐かしいです。それから六年半。確実に成長し、今や風格がにじみ出て来ています。「そろそろ真打ち昇進」という声もよく聞くようになりました。三年半ぶりの『居酒屋寄席』登場です。この夜の噺は『木乃伊取り』でした。

0620rakuji そしてもう一人は『居酒屋寄席」初登場の立川らく次さん(写真左)。 立川志らく師匠の一門です。とても軽妙な語り口が見事で、スルスルっと噺の世界に引込まれてしまいます。これから先がとても楽しみな逸材だということをあらためて実感しました。この夜の噺は『紙入れ』と『三方一両損』の二席でした。
 らく次さんは美術の教員免許を持っているという、ちょっとユニークな経歴があります。似顔絵がお得意で、志らく一門会のチラシはいつもらく次さんの似顔絵で出来ています。瞬時に特徴を捉えてシンプルなタッチで書き上げる似顔絵は、
0620nigaoe_2 落語会の余興でもよくされるそうです。この夜の最も若いお客様は小学二年生、七歳の男の子龍一くん。お母さんと浴衣で聞きに来てくれました。 高座の前に龍一君を呼ぶと、色紙にペンでササッと似顔絵を書き上げます。見ているとあっという間でしたが、お見事な出来映えでした。

 落語のあとは、恒例の第二部、酒宴です。談修さん・らく次のご発声で乾杯し、スタートしました。
0620kanpai居酒屋ニュー信州からのお振る舞い。乾杯のお酒は珍しい越後の銘酒、越の寒梅特別純米酒「無垢」です。スッキリとした口当たりながら味わいのしっかりしたお酒です。食欲が湧いてきます。 季節の味覚のお振る舞いは今シーズンほぼ最後の山菜。北津軽から届いたわらびのお浸しでした。
0620kanbai_3  『居酒屋寄席』の酒宴はどういうわけか、いつも盛り上がり、お酒や肴も進むようです。落語を聞いて脳を刺激し、大いに笑ったあとは噺も弾み、食欲も増すのかも知れません。お開きとなるまで、会話は尽きませんでした。

 次回『居酒屋寄席』は師走に行う予定です。決定しましたらこのblogにて最初にお知らせ致します。どうぞお楽しみに。


旧暦端午は五月晴れ

2010年06月16日 21時39分40秒 | 主催する催し

6月19日(土)開催『居酒屋寄席~五月雨の会』(出演:立川談修・ 立川らく次)お陰様をもちまして、満席となりました。ありがとうございます。

 旧五月五日。端午の節句です。

 関東地方では月曜日(6月14日)に梅雨入りしました。平年より一週間ほど遅い梅雨入りでしたが、一日中梅雨空はこの日だけで、今日は昼頃から抜けるような青空が広がり、絵に描いたような五月晴れとなりました。日が沈む頃には、五日目の細い月が西の空高くに輝いていました。湿度と気温が高く、陽射しが眩しい今日の晴れは、梅雨明けの頃を思わせる陽気ではないでしょうか。金曜日あたりからは梅雨空が戻って、雨の日々になりそうです。

 今週土曜日、6月19日に開催する『居酒屋寄席~五月雨の会』はサッカー、ワールドカップの日本対オランダ戦と見事にバッティングしてしまいました。そんな中ですが、たくさんのお客様にご予約を頂き、お陰様で満席となりました。ありがとうございます。
 “暮らしのリズム”イベントと日本代表との相性の良さ、というちょっと自慢できる話が過去にありました。2006年3月20日。第一回ワールド・ベースボール・クラシックス決勝戦。日本がキューバに10対6で下した日です。すっかり恒例化した『手前味噌仕込みの会』の第一回目の日でした。さて、今回はいかがでしょうか。日本代表の健闘を祈りましょう。


梅雨入り直前、初夏の風景

2010年06月09日 11時50分29秒 | まち歩き

6月19日(土)開催『居酒屋寄席~五月雨の会』(出演:立川談修・ 立川らく次)お陰様をもちまして、満席となりました。ありがとうございます。

 旧四月二十七日。月はますます薄くなり、一週間後は旧暦端午の節句です。菖蒲の葉は厚みを増して、花も咲きそろってきました。柏の若葉でくるんだ柏餅もこの季節ならではの味覚。やっぱり節句は旧暦で祝うのがいいものです。

 二十四節気では6月6日の【芒種】から三日が
経ちました。

    芒(のぎ)ある穀類。稼種する時なればなり
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 5月から6月初旬にかけては、とても爽やかで清々しい晴天に恵まれる日が多く、0609choujagasaki初夏の風情を満喫することが出来ました。一週間ほど前、久しぶりに海辺の町に出掛けてきました。 午後3時を過ぎて少し傾き始めた陽射しがまだ眩しく、空気は乾いていて風も心地良いです。海水浴場になる砂浜では早くも海の家を造る準備が始まっています。写真は葉山町の長者ヶ崎の風景です。賑わう季節にやってくる出番を待って手漕ぎボートが整然と並んでいました。0609hirugao浜辺に降りる土手沿いでは、春の花のムラサキハナナに変わって、桜貝のような淡いピンク色のハマヒルガオが咲きそろっています。 残暑が去ったあとの秋の頃と同じように、一年で最も過ごしやすいありがたい季節です。

 数日前、八重桜の頃以来の浜離宮恩賜公園に行ってみました。汐入の池にはボラやスズキの稚魚が群れをなして泳いでいます。水底には3センチほどのハゼの姿も見えます。海水温が上がって水中も本格的な夏に向けて賑やかになってきました。
0609shoubu  菖蒲の花も咲き始めています。深い緑とのコントラストが美しく、凛とした咲きっぷりが清楚な気持ちにさせてくれます。紫陽花もちらほらと花を開き始めて来たので、もうすぐ梅雨入りでしょうか。ジメジメとして鬱陶しい陽気がだいたいひと月半ほど続きますが、めげずに楽しんで暮らしたいものです。