"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

麦味噌仕込完了『手前味噌仕込みの会』

2012年03月25日 13時08分04秒 | 主催する催し

  旧三月四日。「暑さ寒さも彼岸まで」はどこへやら。一昨日の3月23日に彼岸明けとなりましたが、なんとなく気温の低い日が続いています。そして昨日(3月24日)は五節句の一つ【上巳(じょうし)】旧暦のひな祭りでした。今年の場合は新暦より三週間遅いひな祭りですが、寒いと感じていても春は進んでいるのでしょう。花桃の蕾もおおきく膨らんで来ています。3月最後の週となる今週。火曜日あたりからはぐっと気温が高くなってくるようです。桜開花の便りもいよいよでしょう。

 今年で七回目を迎えた『手前味噌仕込みの会』。渋谷の居酒屋ニュー信州にて3月20日(火曜日・春分の日)に開催し、麦こうじの味噌を仕込みました。ご参加頂いたのは25名。初めてご参加される方が5名いらっしゃいました。皆さんお疲れさま。ありがとうございました。
 昨年末くらいからこうじや甘酒が健康に良い、と評判になり始めました。特に塩とこうじと水を混ぜて一週間ほど熟成させるだけで、美味しく、素材を柔らかくする「塩麹」は空前のブームになっていると言っていいでしょう。
今年に入ってからはスーパーや食材店には、瓶詰めやパック詰めの塩麹が並び、こうじそのものも大人気です。『手前味噌仕込み会』でお世話になっている静岡のこうじ屋さん、鈴木こうじ店でもこうじの生産が追いつかず、今年はいつもより大分早めにこうじの発注をしなければ間に合わない状況でした。こうじにスポットライトが当てられることで、その魅力が広く知られるようになり、塩麹はもちろん、こうじ菌が活きている手づくり味噌への関心も高まっているようです。とても価値あることだと思います。そんな中、今回は麦こうじの手前味噌仕込に加えて、こうじのことや、塩麹の活用術などの情報交換をメンバーとさせて頂きました。
 右の写真は、作業プロセスの一部です。前夜23時に水に浸けた大豆を14時間浸水して火にかけます。B0325process_3 沸騰してくると大量の泡が出てきます。大豆を捨ててしまわないように泡をすくいとるのが結構難しいです(左上)。今年は微粒の海水塩を使いました。こうじとよくまざるように固まりを粉状にするのがこれまた一苦労。右では麦こうじの固まったところをほぐしています(右上)。塩とこうじが細かくなったら両者をしっかり混ぜ合わせます。これを塩切りと言うのですが、前夜にやっておくように、という説もありますが時間の関係で、当日皆でやりました(右下)。2時間近く煮て柔らかくなった大豆を潰してゆきます。ボウルにポテトマッシャーというやり方がいいのですが、ポリ袋に入れてビール瓶で潰すなど、いろいろです(左下)。以降写真はありませんが、大豆をすべて潰して人肌に温度を冷ましてから、すべての材料を混ぜ合わせてゆきます。この時、適当な柔らかさになるまで大豆の茹で汁を加えてゆきます。よく混ざったら、各自の一升瓶におよそ2kgの味噌を仕込んで終了です。
 味噌仕込みが終わったら、待望の打ち上げ。軽く上腕筋を使う力仕事で乾いたのどをビールで潤しスタートです。
B0325nuta_2 酒宴には味噌とこうじを使った三品の料理がスターターとしてセットされています。

 まずは西伊豆特産の高足蟹の脚肉を手前味噌の酢みそで和えたぬた(写真左)。手前味噌は旨味が十分にあるので、酢と少しの砂糖と練り合わせるだけで美味しいぬたの味噌になります。

 続いて二品(写真右)は、岩手県のブランド豚、岩中豚バラ肉の味噌漬け焼き。
B0325nabanapork濃厚な味噌の味と香りがしつこくない豚の脂にマッチして、ご飯が欲しくなってしまいます。そして菜の花の塩麹和え。塩麹で茹でたり蒸した野菜を和えると、野菜の甘みと旨味がぐっと増すから不思議です。簡単なのでぜひお試しを。

『手前味噌仕込みの会』にご参加されるメンバーの皆さんは、食べること、料理することが大好きな人たちばかりです。安全なものを美味しく食べることにとても意識が高いです。秋には各自のご自宅でじっくり熟成させた手前味噌を持ち寄って『手前味噌自慢の会』という名の宴も行います。その日の再会を楽しみにしてます。




沈丁花もほころびいよいよ三寒四温へ

2012年03月05日 17時04分19秒 | 主催する催し

  旧二月十三日。二十四節気の【啓蟄(けいちつ)】に入りました

陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ずればなり。
               『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 目に見えるように長く、日中は高くなってきた日の光のおかげで、晴れた日には陽射しの暖かさを感じることができるようになってきました。B0305jinchouge 日当りの良いところでは、地面の草が緑鮮やかに生気を取り戻し、ところどころでは春の花もほころび始めています。春の訪れを象徴する芳香こそまだ感じることはできませんが、先日道路脇の植え込みにある沈丁花がほころび始めていました。啓蟄に入るといよいよ三寒四温の季節。今日のように冷たい雨の日もあれば、明日は汗ばむほどの温かさになるそうです。体調管理も難しい頃ですが、気分が高揚してくるのか、活動的になるような気がしてしまいます。いかがでしょうか。

 “暮らしのリズム”が主催する食のイベント『手前味噌仕込みの会』。3月20日(火曜日・春分の日)に開催します。
 ご参加者の受付を2/29(水)に締切り、本来であればご参加人数が確定してから麹や大豆などの材料を発注するのですが、今年はいつもと勝手が違うようでした。世の中が今空前の塩麹ブームに沸いているようで、麹屋さんはフル回転で生産しても注文に追いつかないそうです。そこで、今回は、締切を前に少し多めに麹を確保してもらいました。そのため、あと3人様分ほど余裕があり定員に達するまでお申し込みを受付けております。ご参加希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひお早めにお申し込みください。お待ちしております。
→お陰様をもちまして3/15に満員となりお申し込みを締め切りました。
 今年の
『手前味噌仕込みの会』は、麦麹だけの麦味噌を仕込みます。米麹に比べると早めに熟成が進むので、梅雨明け頃には色白の若い味噌で、秋頃まで熟成を重ねると田舎味噌のような濃厚な風味の味噌になっていってくれます。なのでわたしは二つの瓶で麦味噌を毎年、米味噌を二年に一度仕込むようにしています。
 手前味噌仕込み作業の他、話題の塩麹活用術、自宅で麹を作るには、といったことにも触れてみたいと思い、今準備を進めています。どうぞ、お楽しみに。