"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

梅ほころぶ春の予感

2006年01月27日 13時22分52秒 | 季節のおはなし

 旧十二月二十八日。寒い日が続いていますが、風のない日は日差しの暖かさを感じることができるようになってきました。太陽が通る軌道も少し高くなったようで、洗濯物も良く乾きますね。まだもう少し寒中ですが、少しずつ春の気配を感じることができるようになってきました。

 旧暦ではもうすぐ新年、今年の場合は1/29が旧暦の元日になります。江戸の頃は十分に春を実感できる、少し気分が開放的になった頃がお正月だったのでしょう。

127ume_2 さて、今日湯島天神の境内を横切りました。学問の神様、菅原道真を祀った天満宮ということですから、受験シーズンを控えたこの時期は結構遠くからお参りに来られる方がたくさんいらっしゃいます。平日の今日もたくさんの参拝人で賑わっていました。合格祈願の絵馬も日増しに増え、たわわに大きな山のようになっています。ふと見上げると、抜けるような青空をバックに梅の花がちらほら咲き始めています。江戸の頃から梅の名所として知られる湯島の御山。品種によって順々に花を咲かせ、これからだいたいふた月の間、梅の香りに包まれるのでしょう。春の気配を身近に感じると、少し背筋が伸びた気分になるものですね。


文化財指定のニュース

2006年01月21日 12時20分54秒 | 日々のことなど

 旧十二月二十二日。昨日は二十四節気の【大寒】でした。

冷えゆることの至りて甚だしきときなればなり
天明八年(1788年)出版の『暦便覧』より

 この冬は十二月の初旬から厳しい寒さが続いているため、この時期が寒さのピーク、と言われてもどうもピンと来ませんね。まだもうしばらく寒さが続くそうです。大雪に悩まされている地方の皆様には重ね重ねお見舞い申し上げます。

 今朝の新聞報道に文化財指定のニュースがありました。これは文化審議会が検討して文部科学大臣に、この文化財を指定してくださいと答申するものです。特に重要なもの、建造物などの重要有形文化財が1件、民俗芸能や風習などの重要無形民俗文化財が9件、新たに指定されました。今回の指定で大変興味深いのは、昨年4月に改正された文化財保護法で「民俗技術」が保護対象として追加され、初めて指定されたことです。その3件が以下の伝統技術です。

  • 津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術(津軽海峡周辺地域)
  • 上総掘りの技術(千葉県上総地方)
  • 別府明礬(みょうばん)温泉の湯の花製造技術(大分県別府市)

 継承される地域の近くで暮らしていても、あるいはこのような伝統技術に興味を持っても、なかなか実態をつかむことができなかったのですが、このように“冠”がつくと、日本の素晴らしさが少しずつ見えてくるものですね。更新頻度が少し遅いのですが、ご興味ある方は文化庁が公開している国指定文化財等データベースをご覧下さい。旅先の文化財を下調べしたりするのに便利だと思いますよ。

因みに、その他に重要無形民俗文化財は
黒森神楽(岩手県宮古市)
月浜のえんずのわり(宮城県東松島市)
上総掘りの技術(千葉県上総地方)
下平井の鳳凰の舞(東京都日の出町)
犬山祭の車山行事(愛知県犬山市)
亀崎潮干祭の山車行事(愛知県半田市)
東光寺の鬼会(兵庫県加西市)

重要有形民俗文化財は
糸魚川木地屋の製作用具と製品コレクション(新潟県糸魚川市)
でした。
 


七草粥の追記(北国では)

2006年01月13日 15時27分29秒 | インポート

 旧十二月十四日。寒の真っ只中。まだまだ寒い日続く日本列島です。明日は十五夜ですが、久しぶりに暖かい空気に包まれ、雨模様になるところが多いようですね。
 さて、前回、前々回は『七草粥』のご紹介をしました。「雪に覆われて七草が芽生えていない寒いところでは、どんな七草粥を食べていたのでしょうか」と疑問が沸いてきたのですが、こんな記述が本にありましたので、参考までにご紹介します。場所は岩手県中部、盛岡の少し南に位置する紫波町周辺の模様です。

正月七日に食べる七草がゆは、この地方ではかゆの中に七草を入れるのではなく、白米でつくった白いかゆと、別に数種類の野菜を入れた醤油汁をつくって、お歳神さまに供えてたべる。野菜は、にんじん、ごぼう、干し大根、いもがら(里芋の茎)、それにせりと高菜を入れる。せりや高菜は雪の下で凍っているものを掘って使う。冬に野菜を食べると、心なしか精がつくように思われるものである。「日本の食生活全書3『聞書 岩手の食事』」(農文協刊)

 この本は12/22にアップした「ひときわ寒い“冬至”ですね」でも引用させていただきました。1980年頃に土地土地に暮らす明治・大正時代生まれの方から取材してまとめられています。今となっては貴重になりつつある、郷土食に関する知恵がぎっしり詰まっています。全国各都道府県版がありますので、ご自分の出身地や、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんが暮らしていた土地を調べてみると興味深いと思います。自分の味覚のルーツが見えて来たりします。大きな本屋さんや図書館などにありますよ。


七草粥です

2006年01月07日 15時31分05秒 | 食と呑

 旧十二月八日。月は上弦の月です。今日は1月7日ですから、七草です。一昨日ご紹介しました七草粥、今朝作って食べました。(↓こんな感じです)
0107kayu パックの野草と小さな大根、蕪は水で洗っいます。沸騰したお湯に塩を入れてサッと湯がきます。冷水に晒して軽く絞って細かく刻みます。お粥が炊けて火を止めたところに七草を入れて軽くかき混ぜて5分ほど蒸らせば出来上がり。味は昆布一切れの出汁とお塩だけ。
 なんだか修行僧になった気分です。いつもより背筋を伸ばして頂きま
す。これで一年間病気知らず・・・、になると良いのですが。
 一昨日も書きましたが、本来は旧暦の一月七日“
人日”の節句に食べていた七草粥です。時期としては1月下旬から2月下旬頃でしょうか。南北に長い日本ですから、その時期身近に息吹く野草には随分違いがあったことでしょう。本屋さんに行ってみると「食べることができる野草」に関する図鑑のような本が結構あるようです。そんな本を片手に旧暦の七草(今年は2月4日です)にお近くを散策してみるのはいかがでしょうか。すみません。豪雪に見舞われてしまっている方は難しいですよね。でも雪国の七草粥はどのようにしていたのでしょうか。緑のある季節に摘んでおいた野草を塩漬けや、乾燥させて保存していたのでしょうか。

三浦半島で七草を栽培して出荷している農家【はねっ娘会】です。


春はまだかな“寒の入り”小寒です

2006年01月05日 20時33分26秒 | 季節のおはなし

0105gongen 旧十二月六日。今日は二十四節気の小寒です。今日をもって“寒の入り”「寒中お見舞い」も今日からとなりますが、この冬の厳しさはどうも極端な様子です。北日本、日本海側、山間部では暮らしにも影響を及ぼす豪雪が続いています。東京も今日のように日差しの弱い日は、部屋の中にいても底冷えがするものですね。今日から始まる“寒の内”は節分(2月3日)までの30日間。まだまだ厳しい冬が続きそうです。築地の市場も今日が初競り。この寒さが影響してか、野菜、特に葉物の高騰が目立っているとのこと。寒い季節には欠かすことができない鍋料理も、葱、白菜、春菊が最も高価な具材になりそうですね。
0106nanakusa2 さて、お昼過ぎに築地場外市場の横を通りがかりましたが、パックに詰められた七草が売られていました。明後日1月7日(土)は七草です。この日の朝に七草粥を食べると「邪気を払い万病を除く」とされているのです。
(←これは1/6にスーパーで買ったものです。ちなみに298円なり)
0106nanakusa1_1七草は五節句の一つ『人日(じんじつ)』、伝統的な行事として今でも各地に独特な風習が伝承されています。節句であるからには本来旧暦で行われていた行事です。今年の場合旧一月七日は2月4日(金)、立春の日と重なります。この頃になれば寒さも少しは和らぎ、雪のないところでは野の草花が息吹き始めているのかもしれませんね。春の七草には地域などによって諸説あるようですが、代表的なのは『芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎょう)・蘩蔞(はこべら)・仏の座・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)』
(↑の写真。左上から時計回りにこの順序で五草、下は見ての通り左すずなで、右すずしろ)。なずなはペンペン草、ごぎょうは母子草、はこべらははこべ、ほとけのざは田平子、すずなは蕪、すずしろは大根です。この通りにとはいかないかもしれませんが、いつか野に息吹く野草を摘んで七草粥を楽しむイベントでもできたら楽しいかな、と思います。
 人日までが松の内ですが、お正月気分もようやく一段落です。どうか今年も“暮らしのリズム”とこのブログをよろしくお願いします。ご覧頂いている皆様にとって良い一年になりますことを願っております。