"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

スク☆ハジ・プロデュースの長唄ライヴのお知らせ

2008年08月19日 12時53分42秒 | 芸能の催しごと

 旧七月十九日。今月は旧暦の日付と、今のカレンダーの日付が一致しています。旧暦のお盆と、月遅れのお盆も同じ日程でした。そして月齢と日付も同じなので、今日がどんな月なのかもすぐにわかります。いつも旧暦の日付を頭に入れておくと、月の移ろいと一緒に楽しく暮らせるような気がします。

 一つお薦めのイベントをご紹介します。6/14(土)に開催した『噺と三味線~五月雨のたはむれ』(こちらこちらをぜひご覧ください)に出演して下さいました長唄三味線の女性ユニット、スクイーズ☆ハジキーズの松永鉄駒さん、松永鉄六さんがプロデュースするライヴです。
9_5彼女たちの師匠、松永鉄九郎さんを中心としたその名も『テツクロの会 in 庚申塚』。
 楽しいトークを交え、わかりやすく、楽しく、奥深く。長唄というちょっと敷居の高い伝統音楽を必ず興味深いものへと誘ってくれます。2006年の暮れに鉄九郎さんが主催する会(こちらをご覧ください)を観に行って「いつかこんな会をやりたいな」と思い、先日のイベント実現に結びついた経緯があり、今回のライヴは自信を持ってお薦めいたします。ぜひお誘い合わせの上、お運び頂ければ幸いです。

『テツクロの会 in 庚申塚 第一回』
日時 : 9月5日(金)19時半開演
場所 : studio Four (豊島区巣鴨4-42-4) 電話 : 03-3918-5944
料金 : 3,000円(税込/全席自由)
出演 : 松永鉄九郎, 杵屋三七郎, 東音阪本剛二郎, 松永鉄文智, 松永鉄駒, 松永鉄六
チケット予約 : スク☆ハジオフィス sukuhaji_office@yahoo.co.jp
         松永鉄九郎事務所  fe9@jcom.home.ne.jp


浴衣で聴きたいライヴを二つ

2007年08月07日 10時55分28秒 | 芸能の催しごと

 旧六月二十五日。遅い梅雨明け(東京は8/1でした)の後は茹だるように暑い日が続いていますね。夕立が空気を洗ってくれるまで、ムワっとした熱気に街は覆われています。今日あたり東京でもゴロゴロっと来てくれればいいのですが。暑さはまだまだこれからですが、暦は着々と進み、明日は二十四節気の【立秋】です。秋といってもピンと来ないのですが、夏至の頃と比べて日の出がだいたい30分遅く、日の入りはだいたい20分早くなってきています。明日からは“残暑お見舞い”ですね。
 そんな熱帯夜の東京。涼を求めて浴衣を着て聴きに行きたいライヴを二つお知らせします。“暮らしのリズム”ではお馴染みの二組です。

 まずは澤田勝秋(唄・津軽三味線)と木津茂理(唄・太鼓)からなる民謡のデュオ・ユニット『つるとかめ』です。087tsurukame_1 二人だけの生音ライヴは東京で三ヶ月ぶり。目を閉じて耳を傾けると、ききてそれぞれが大切にしている日本の原風景が浮かんできます。過ぎゆく夏への郷愁を噛みしめ、きたる秋の素晴らしさを予感させてくれるライヴになるでしょう。
日時 :2007.8.27(月)
18:00open, 19:30start
場所 :november eleventh
(港区赤坂3-17-8都ビル2F 03-3588-8104)
料金 :3150円
予約/問 :november eleventh (HPに予約フォームがあります)

 もうひと組は、松永鉄駒、松永鉄六からなる長唄三味線の女性デュオ・ユニット『スクイーズ☆ハジキーズ』です。087sukuhaji 長唄合方集の古典を中心に、洋楽曲や童謡、さらには童話を芝居仕立てアレンジした物語まで、三味線音楽を身近に感じることができるとても楽しく魅力的なライヴです。毎月第三火曜日に西麻布にある木の温もりを感じる小さなホールでやっているライヴシリーズ。今回は納涼をイメージにするそうで、浴衣での来場には何か特典があるそうですよ。
日時 :2007.8.21(火)
19:00open, 19:30start
場所 :ホールDOZ(東洋医学
松柏堂医院2F)
   (港区西麻布1-5-11 03-3479-5890)
問(前日まで):スク☆ハジオフィス(→mail)
047-353-8434/0465-36-9055

 皆さんぜひ浴衣でお出掛けしましょう。和楽器の響きがいつもより心地良く感じられることでしょう。

“つるとかめ
に関する過去のエントリー
2007.7.3梅雨半ば民謡三昧の日々
2007.5.20ご来場感謝“つるとかめ”ライヴ
2007.5.13日本の民謡「つるとかめ」のこと
2007.4.20民謡を聴いてみませんか“つるとかめ"ライヴです
2006.12.26蔵で舞うつるとかめの暖かい民謡

“スクイーズ☆ハジキーズ”に関する過去のエントリー
2007.5.16“スクってハジく”長唄三味線の愉しみ
2007.4.15満員御礼“居酒屋寄席~春爛漫の会”
2006.12.1長唄三味線にうっとり~邦楽は楽しい!

 


“スクってハジく”長唄三味線の愉しみ

2007年05月16日 10時54分46秒 | 芸能の催しごと

 旧三月三十日。旧暦三月の晦日(みそか)です。

 4/14(土)に開催した【居酒屋寄席~春爛漫の会】で、飛び入り参加で長唄三味線の素敵な音色を聴かせてくれたスクイーズ☆ハジキーズのライヴを観にいってきました。
515sukuhaji1  スクイーズ☆ハジキーズは松永鉄駒さん(左)、松永鉄六さん(右)の才色兼備な二人からなる長唄三味線のユニットです。松永鉄九郎さんに師事し、ちょうど4年前からより親しみの持てる三味線音楽を、とユニットを結成して様々な場所で活躍しています。昨年11月に行われた鉄九郎さん主宰のライヴイベント(その時の模様はこちらを)で初めて観て、その後、鉄九郎さんと親交が厚い立川志の輔師匠の会などでお話しをする機会を得ました。ユニット名は三味線の代表的な奏法、スクイとハジキによるものです。

 この夜のライヴは、西麻布の大通りから少し入った閑静な住宅街にある東洋医学の松柏堂医院に併設されたスペース、ホールDOZで行われました。天井と床が無垢の檜で出来ていて、とても暖かみがあって落ち着く空間です。

415sukuhaji2  親しみを込め略してスク☆ハジのライヴは、なんと言っても愉しさが魅力です。そしてとってもチャーミングです。長唄の間に演奏される合方というインストゥルメンタルの部分をを緊張感たっぷりに聴かせたかと思うと、洋楽スタンダードをユニークな二丁三味線のアンサンブルでさらりと演ってのけ、果てには芝居タッチの創作組曲を笑いを交えて披露します。曲間のトークも飾らず楽しく、いつのまにか二人のペースで空間が暖かい雰囲気になってゆきました。わずかに1時間ほどの演奏ですが、難しくて渋いと思いこんでいた三味線音楽が少し楽しく親しみを持てるようになることは間違いありません。

 スク☆ハジDOZライヴは、これから毎月第三火曜日に開催されるそうです。ぜひ聴きに行ってみてください。おすすめです。


蔵で舞うつるとかめの暖かい民謡

2006年12月26日 17時37分18秒 | 芸能の催しごと

 旧十一月七日。今年もあと5日とちょっと。クリスマスムード一色の街がその装飾をはずせば年の瀬は駆け足でやってきます。

 浅草の雷門近くに、慶応四年(1868年)に建てられた土蔵造りの蔵をギャラリーにしたスペースがあります。Gallery efというとっても雰囲気の良い空間で日本の民謡を聴かせるライヴがあるので、行ってきました。
1226tsurukame  今宵の主役【つるとかめ】は、津軽民謡一筋に常に唄に寄り添う三味線を聴かせてきた巨匠澤田勝秋さんと、鳴り物(民謡太鼓)と唄の木津茂理さんによるユニットです。日本の民謡では珍しい楽器を演奏しながら唄うというスタイルですが、世界に目を向けてみると『弦(絃)を奏で、太鼓を打ち鳴らし、唄う』というシンプルなスタイルの伝統民衆音楽はあらゆる地域で継承されていると言っていいでしょう。その日本代表こそ【つるとかめ】が表現する日本の民謡なのでしょう。大いなる母の胎内のような歴史を感じる蔵に響く、太棹の三味線と太鼓、唄は、無条件に日本人のDNAが刺激され、心を委ねていってしまうものでした。
 「梅か、桜か、蓮華の花か~、そこへ行きゃるは皆殿様~
       桃か、桜か、林檎の花か~、そこさ行くのは皆殿様~」
門付け唄が心地良く響けばもうこの空間は日本の原風景、どこか農山漁村へと飛んでいってしまいます。二部構成の第一部では、1枚目のアルバム『つるとかめ』でとりあげたテーマ、北前船で運ばれた「ハイヤ節~おけさ~あいや節」を、第二部では2枚目のアルバム『あいのかぜ』のテーマ「追分」を中心に、来春発売される待望の3作目よりたっぷり聴かせます。
 思えばあっという間のライヴでしたが、脳裏には今までに見てきた日本の様々な風景や出会った人たちの顔、感じてきたもの、思い出が浮かんできます。もっぱらいわゆる洋楽指向だった自分にとって、これまでに感じたことの無いような感情の揺さぶりを体験するライヴでした。日本の民謡に抱かれるように聴けるライヴ、というのはまだまだ少ないですが、この心地良い感覚をぜひたくさんの人たちに味わってもらいたいものです。【つるとかめ】新作が待ち遠しいです。

【つるとかめ
のアルバムです1226tsuru 

  つるとかめ 
2002年発表のファーストアルバム。田助ハイヤ(長崎)、鹿児島はんや、加賀ハイヤ、佐渡おけさ、あいや節(津軽)、を中心に、江差追分(北海道)、黒石よされ(津軽)、じょんがら節(津軽)、南部粉挽唄などが収められています。民謡のイメージを一新させる画期的な作品でした。


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あいのかぜ
2003年に発表。民謡の重要なテーマである「追分」の代表曲、江差追分(北海道)、松前三下がり(北海道)、津軽三下がり、越後追分、本荘追分(秋田)を中心に、木津さんの真骨頂、八丈太鼓囃子や、ホーハイ節(津軽)、津軽山唄、秋田荷方節が聴けます。英文の歌詞対訳と説明が掲載されているのも画期的です。

Gallery ef・・・浅草駅からほど近いところにあるスペース。通り側のフロントスペースはカフェになっており、夜はお酒とイタリアン系のお料理(旨いです!)も楽しめます。蔵でのライヴは不定期ですがギャラリーとして様々なアートの展示などは常に行っているとのことです。とても居心地が良いので、浅草にお越しの際にはお薦めスポットです。台東区雷門2-19-18 tel:03-3841-0442


長唄三味線にうっとり~邦楽は楽しい!

2006年12月01日 17時18分18秒 | 芸能の催しごと

 旧十月十一日。冷え込んできました。東京ではここしばらく冬晴れの日が続くようです。日が沈みあっという間に夕闇に包まれる頃、いつの間にかぽっかりと浮かんだ月が存在感を増してゆきます。121hazenoki今宵十一日目の月を“宵月”とはよく言ったものですね。 関東の平野部では紅葉が見頃を迎えています。銀杏やいろはもみじが色づき始める中、ハッとさせられるほどひときわ朱に輝いているのがハゼノキです。この木の名前がわからずにずっともやもやしていたのですが、たまたま近所で作業をしていた植木屋さんが教えてくれました。美しいからといって触れては大変。ウルシ科なのでかぶれてしまうそうです。

 普段は落語や講談といった演芸を楽しむ寄席、上野広小路亭で珍しく長唄を中心とした音楽のライヴをやるというので観に行ってきました。このところ日本舞踊や歌舞伎を通じて、生で聴く三味線音楽の魅力にはまってゆく真っ只中なので、とてもタイムリーなライヴでした。
 ライヴを主宰する松永鉄九郎さんは、長唄の三味線方であることはもちろん、映画やテレビドラマの音楽制作や、若手の指導、オリジナル曲の創作活動などなど、さまざまな場面で活躍されています。杵屋邦寿さんとの三味線デュオ・ユニット【伝の会】でもお馴染みです。

121tetsukurou この夜のライヴは鉄九郎さんのお弟子さんユニット『スクイーズ☆ハジキーズ』(松永鉄駒・松永鉄六)で始まり、囃子方小鼓の川島佑介さんと長唄三味線の奥様(お名前失念)のユニット『かわしま夫妻(表記?)』、長唄の杵屋三七郎さんが登場。中入り後はインプロヴィゼーションによるフリーセッション、そして最後は鉄九郎さん(三味線)、鉄六さん(三味線と鳴り物?)、三七郎さん(唄)、川島佑介さん(囃子と鳴り物)による「たぬき」でした(写真上の四人です)
 彼らのような邦楽の担い手は、普段歌舞伎や舞踊の後ろで雛壇に座り、121kawashima 神妙な面持ちで音を紡ぎ出しているのですが、この日ばかりは自分たちが主役。膝元にはいつもはないマイクが置いてあり、曲の解説や楽器の説明から、世間話、邦楽界の裏話など愉しいお話しが次から次へと飛び出してきます。ちょっと長唄や邦楽は敷居が高いな、と思う人にとってもこういうスタイルのライヴは自然にひきこまれ、楽しめてしまうでしょう。こういう場がどんどん広がってゆくと邦楽はますます面白くなってくるでしょうね。
(写真は舞台で小鼓を組み立てながら独特な間のトークで場内を沸かせる川島さん)