"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

早、秋の気配でしょうか

2011年07月26日 16時23分28秒 | まち歩き

 旧六月二十六日。この前の土曜日(7月23日)に二十四節気の【大暑】を迎え、本来であれば最も暑さが厳しくなる頃です。東京では、先週やってきてとても不思議な動き方をした台風6号の影響か、ずっと涼しい空気に包まれています。ちょっと油断すると風邪をひいてしまいそうな陽気が続いていますが、省電力が叫ばれる今年、過ごしやすいのはやはり歓迎です。

 盛夏の風情が大好きである私にとっては、ちょっと物足りない感じもします。日曜日(7月24日)の昼に、浜離宮恩賜庭園に行ってきましたが、平年ではちょっと考えにくいようなことが起っていました。0726cosmos ニイニイゼミとツクツクホウシが一緒に鳴いているのです。ニイニイゼミはだいたい梅雨明けの頃、先陣を切って鳴き始め、アブラゼミやミンミンゼミが元気になって来ると次第に鳴き声を聞くことがなくなってきます。一方のツクツクホウシは、だいたい月遅れのお盆、8月中旬頃から声が聞こえて来るので、この両者の鳴き声が被ることは、ほとんど記憶に無いように思います。どうやらこの陽気。蝉も季節感を読み間違っているようで、混乱しているのかもしれません。
 浜離宮恩賜庭園の名物、花畑では、すでに秋の花、コスモスが咲き始めています。いろいろな種類のコスモスの種を時間差で咲くように撒いてあるようですが、今この時期は写真のような深い橙色の花が美しいです。俊敏な瑠璃色の羽の蝶、アオスジアゲハが花の蜜を求めてたくさん飛び交っています。
 梅雨明けがとっても早かったためか、秋の足音も早くにやってくるのかもしれません。少々寂しいですが・・・。


月夜の舞『佃島盆踊り』

2011年07月17日 11時13分07秒 | 季節のおはなし

 旧六月十七日。十六夜の美しい月が早朝西の空に浮かび、その姿をゆっくり淡くさせながら沈んでゆくさまは、たまらなく美しかったです。いつもは東へと向かうジョギングのコースを、今朝は月に向かって西にスタートしました。
 梅雨明けをした7月9日から一週間。連日見事な青空が広がっています。省電力の呼びかけが功を奏しているのか、普段の夏よりもすこし空気が澄んでいるように感じるのですが、いかがでしょうか。

 東京、特に山手線沿線から東側で色濃く残るお盆の風習は、7月13日から15日。送り火が16日となっています。
0717chouchin月遅れ(新暦の8月)でも旧暦七月でもなく、毎年梅雨明け前後のこの頃がお盆です。 江戸の頃から脈々と続いてきたお盆の風習を色濃く残している盆踊りが『佃島盆踊り』です。今年も7月13日~15日の三夜行われました。

 隅田川上流で起る大火や災害で流れて来た遺体を、この地で陸に揚げ弔い、その無縁仏の精霊をお盆に迎えて供養する、というのが『佃島盆踊り』の志です。例年は無縁仏の精霊棚が隅田川を背に設けられるだけですが、
0717kuyoudana_2今年はその左にもう一つの供養棚が設置されました。3月11日の東日本大震災。15573人(警察庁発表7/16現在)の方が犠牲になり、なお5076人(前出同)もの方の行方がわかっていません。 犠牲になられた方にとっては初盆にあたることから、御霊を供養する意味から特別に供養棚が設けられました。盆踊りが終わっても、二つの供養棚に手を合わせる人の列が長く続いていていたのが、印象的です。

 今月は、旧暦と新暦の日付が一致する珍しい月です。前回はと調べてみたら三年前、2008年8月が旧暦七月と日付がシンクロしていました。
0717tsunesanということで、日付がほぼ月齢と一致しています。『佃島盆踊り』は、十三夜、十四夜、十五夜です。 三日間共に快晴に恵まれたため、明るく大きな月に照らし出されての開催となりました。月のパワーを感じながらの盆踊りもまた格別。大人の踊りで、踊りの所作と下駄や草履の擦れる音、合の手がぴたっと揃ってくると、何か特別なエネルギーのようなものが生まれているように実感します。いろいろなことがあって、今年の盆踊りは心に染みるものとなりました。

過去の関連エントリーは
2005.7.14「佃島盆踊」
2006.7.12「佃島の夏景色」
2006.7.22「『遙かなる佃』 昭和の東京を見る」
2007.7.11「準備完了。もうすぐ佃島盆踊」
2007.7.22「佃島盆踊り と 初めての浴衣」
2008.7.01「今年も半分、もうすぐ盆踊り」
2009.7.13「お盆です。今日から佃島盆踊り」
2009.7.25「盛夏雑観」
2009.11.07「佃島盆踊りat国立劇場」
2010.7.08「夏本番間近!もうすぐ【佃島盆踊り】」
2010.7.18「【佃島盆踊り】ありがとうございます」

です。ぜひご覧下さい。


まさに梅雨明け『居酒屋寄席~梅雨明けの会』ご来場感謝

2011年07月10日 16時22分20秒 | 主催する催し

 旧六月十日。なんと澄み切った青空でしょうか。これぞ待ち望んでいた夏の空です。関東地方は昨日(7月9日)に平年より12日、昨年より8日も早く梅雨明け致しました。
 
『居酒屋寄席』の開催を7/9と決め、さて「何の会」と題したらよいかと頭を悩ませていたのが三月の頃。0710houzuki本来であれば、梅雨の後半。シトシト降る五月雨からまとまった勇ましい雨の季節となっているはず。みなさん梅雨明けの澄み切った青空が恋しくなっているだろうな、と思い願望を込めて『梅雨明けの会』としたのですが、それがまさかドンピシャその日に梅雨が明けるとは、ニュースを聞いて耳を疑いました。

 今回の『居酒屋寄席~梅雨明けの会』は、立川志の春さんの初登場にして一人会。
ということになりました。今年のお正月に晴れて二つ目昇進を果たしたばかり、立川志の輔師匠の三番目のお弟子さんです。0710shinoharu前座修行から解放され、これからは自分の芸とある意味孤独に向かい合って行かなければなりません。そして十分に力を蓄えて、何年後かに次のステップ、真打ちに上がるためにはしっかり御贔屓さんについてもらって、人気面でも右肩上がりになって行かなければならない大切な段階が幕を開けたばかりです。会場の居酒屋ニュー信州には満員のお客様。すでに志の春さんの御贔屓さんから初めての方まで、落語を聞き盃を交わす頃には、志の春さんを応援して行こうという想いを膨らませたことでしょう。
 そんな志の春さんがこの夜聞かせてくれたのは三席の噺。まずは、言葉巧に
おねだりをする子供の所作が滑稽な「初天神」。続いて、ドジな泥棒と貧乏で姑息な長屋の住人が登場する「出来心」。盗まれたもの何でも「裏には花色木綿」と大家に報告する八五郎。この花色とは露草の花の色のことだそうで、高座の背景に飾られた蛍と露草の手拭とさりげなくマッチしていました。少しの休憩を挟んで三席目は、旦那がへたくそな義太夫を語る月に一度の会。聞かずに済ませるためにあの手この手で逃げるご近所さんと店のものたちのやりとりが面白い「寝床」でした。
0710sakehouzuki  ご自分の人となりや身の回りの出来事をまくらで聞かせつつ、その話の流れですーっと噺に入って行く技量は師匠譲りです。落語そのものと同じくらいまくらの組み立てに苦労される落語家さんは多い、と聞いていますが、志の春さんのまくらはとてもセンスが良く、惹き付けられます。もっと聞いていたいな、と感じさせられました。

 落語のあとはこれまた楽しみの一つ、酒宴です。まずは志の春さんの発声で乾杯。 居酒屋ニュー信州からのお振舞酒は、新潟市内野にある樋木酒造が醸す銘酒「鶴の友」の非売品大吟醸です。
皆さんで分けるとほんの一口になってしまいますが、旨味・香り・酸味のバランスが抜群なフルボディの大吟醸は全身を駆け巡ります。そして季節の味覚のお楽しみ。夏と言えば枝豆。これも新潟の名産地、黒埼から届いた甘み抜群の枝豆でした。0710kanpai酒宴にはシーズン最後の山菜や、稚鮎、トマトなど季節の味が並び、お酒も進み、志の春さんはテーブル一つ一つを回って、お客様との話に花を咲かせていました。
 楽しい時間は瞬く間に過ぎ、〆は志の春さんの前途を祝して三本締めでお開きとなりました。皆さんどうもありがとうございました。

立川志の春さんのブログ「一進一退の日常」
月例独演会『Tueseday Night Live』巣鴨studio FOUR
   第三回は7月12日(火)、第四回は8月16日(火)
   以降第二金曜日の次の火曜日に開催。

(写真提供は水野稔さんです。ありがとうございました。)