"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

旧暦“端午の節句”は真夏の陽気

2007年06月20日 09時34分54秒 | 季節のおはなし

620syoubu 旧五月六日。昨日は五節句の一つ、旧暦の“端午”でした。梅雨入りして早々に空梅雨を予感させる今年ですが、この日も真夏の陽差しが降り注ぎ、気温もぐんぐん上昇して30度以上となりました。いつもは雨露にあたって色鮮やかさを増す花菖蒲も、ちょっとくたびれてしまっているように見えます。早くも夏ばて?のこんあ時こそ、菖蒲湯に浸かって熱った肌をサッパリとさせたいですね。
(写真は鎌倉の近影。左上より時計回りに:盛りを少し過ぎた海蔵寺の花菖蒲。後ろは松葉菊/東慶寺の花菖蒲/東慶寺のいわたばこ/花菖蒲の時期限定でオープンする東慶寺の茶室から)

620ajisai  梅雨の花の代表といえば、紫陽花でしょう。この花も雨に濡れて鮮明に咲く姿が美しいのですが、満開の時期、陽差しを受けて力強さを感じる咲きっぷりもまたお見事です。
 鎌倉の紫陽花の名所は、長谷寺や成就院が有名ですね。満開のこの頃は平日でも参道に長蛇の列が出来るほどの賑わいです。それでも、鎌倉を歩くと町中から丘の上に至まで各所にたくさんの紫陽花が咲いていることに気づきます。そして、紫陽花にはとてもたくさんの種類があることに驚かされます。印象に残った紫陽花の風景をいくつかご覧下さい。明日あたりからは梅雨らしい陽気になってくるようです。
(写真左上から時計回りに:風が心地良い源氏山公園の奥、葛原岡神社境内にて/海蔵寺の紅額紫陽花/海蔵寺の門前、鎌倉十井の一つ「底脱ノ井」に浮かぶ額紫陽花の花。おたまじゃくしもたくさん/葛原岡神社に咲く色とりどりの紫陽花)


職人技に触れる・指物師、田中清八さんとの再会

2007年06月17日 00時14分25秒 | まち歩き

 旧五月三日。梅雨入りが発表された途端に、それをあざ笑うかのような好天が続いている東京。爽やかな風と夏の元気な陽差しは嬉しいのですが、夏場の水瓶となる水源が気になりませんか。今年の夏は暑くなりそうです。普段より意識を高めて水は大切に使いたいものですね。

 北千住で行われている「足立区伝統工芸品展」を見に行ってきました。区内の伝統工芸師が集まり、工芸品の展示、実演、即売を行うこのイベントには、初めて行ったちょうど一年前の前回以来です。その時にお話しをしたご縁で、江戸指物・建具工芸師の田中清八さんの工房を訪ねたのがついこの間のことのようです。その時の模様はぜひこちらをご覧下さい。
616sashimono  今回、田中さんは会場での実演は行わず、漆塗りの行灯と、衝立障子を出展しておられました。工房を訪ねたときに見せていただいた衝立障子には、写真の通り色が着けられています。「漆のような朱色に塗って貰おうとおもったのだけど、まっ赤になってしまって・・・。黒にすればよかったかな」とちょっと照れくさそうに残念がっています。この一年、田中さんは故郷、青森県六戸で、
616nabeshiki中学生に指物について教える機会があったそうです。 その際に六戸の中学三年生を一緒に作ったという、鍋敷きになる工芸品をプレゼントして頂きました。ありがとうございます。精巧で美しく檜のとても良い香りがします。小さくても手作りの価値を感じる工芸品を実際に作ってみることで、故郷から指物をやってみようという若者が出てくるといいですね。
 田中さんは、今一つの夢を持っています。「江戸時代に殿様が乗っていた駕籠を作ってみたい」とのことです。以前、江戸時代の駕籠の修繕と漆塗りを頼まれた際に、パーツの採寸とそれぞれの素材を調べたそうです。これは楽しみですね。ぜひ作業中のところも含めて見せていただきたいと思います。受注した仕事だけでなく、納得のいく作品を作り上げたいという探求心は、これぞ職人魂というものなのでしょうか。とても感銘を受けます。

 まだまだ陽差しが残り空が高い夕方の宿場町。616kappoukuzusi一歩路地に足を踏み入れると、そこここに歴史を感じさせる風景があります。喉が渇いたのでビールでも一杯。料亭の割烹料理を気軽に、と立ち飲みスタイルで提供する“割烹崩し”のお店に立ち寄りました。ここもまた、ひと仕事、ふた手間の技が素晴らしいです。写真が本日のメニュー。この肴がこの値段で頂ける、千住の名店です。古い町は細い道までもが侮れません。


風薫る初夏のスナップ

2007年06月05日 15時44分04秒 | まち歩き

 旧四月二十日。一年の中で最も爽快で過ごしやすい陽気が続いてきましたが、天気図では梅雨前線が東西に伸びてきて、忍び寄る梅雨の足音がしっかり感じられます。
 明日6月5日は二十四節気の【芒種(ぼうしゅ)】
(昨年のこの頃の様子はこちら)。米や麦のように“芒(のぎ)”のある穀物も植える時期であることをあらわしているこの頃。梅雨が迫り、雨が多くなってきて、昔はこの頃に田植えが行われていました。里山の清流では蛍が飛び交い、八百屋さんには梅の実がたくさん並ぶ季節です。

 良い季節を満喫しようと、週末海辺の町まで出掛けました。何となくランダムに撮ってきた写真で初夏の空気をお伝えしたいと思います。

605hayama_1  毎年感じるのですが、6月上旬の太陽は思っているよりもずっと高く、梅雨入り前の澄んだ空で午前中から眩しく照らします。いつもはしっとりと湿り気を感じる葉山町一色の山肌を縫う細い路地も、この時期ばかりは隅々まで明るく、石垣の苔も陽光を受けて鮮明な緑色を放っていました。

605kotsubo_1 これはなんという名の花でしょうか。藤の一種のようにも、 ジャスミンの仲間のようにも見えます。初夏の花は鮮やかな紫系が美しいですね。抜けるような青空との微妙なコントラストが、ちょっと南国を感じさせます。逗子市小坪、海岸線の民家で咲いていた花です。



605koumyouji_1  鎌倉市材木座の光明寺は大好きで良く訪れます。鎌倉にしては境内が広々していて、地元の人たちが思い思いに散歩をしたり、子供がボール遊びをしたり、人々の暮らしに溶け込んでいます。本堂の両側にある庭も奥行きがあって魅力的です。その一つ“三尊五祖来迎の庭”は、枯山水のように白い玉砂利が敷かれ、さつきの植栽に三尊五祖に見立てた岩が配してあります。そのさつきが見頃となる、特にこの季節が見事です。

605zaimokuza  光明寺から大町方面に少し歩くと、良い雰囲気の路地がたくさんあります。こういうところでは、コンクリートやアルミのフェンスというより、写真のような竹の枝と幹を組み合わせた塀がいいですね。路地を吹き抜ける風も心地よさを増しているように感じます。