"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

古都・鎌倉に春を求めて

2010年03月20日 16時03分22秒 | まち歩き

 旧二月五日。しばらく更新を怠っている間に季節が二段階ほど進んでしまったようです。よく「暑さ寒さも彼岸まで」と申します。一昨日3月18日木曜日が彼岸の入りでしたが、今年は冬と春の攻防が激しく、暖かくなったり寒くなったり、行ったり来たりの三寒四温がもうしばらく続きそうです。
 その彼岸入りの前日3月17日水曜日、ここしばらくの間東京に居っぱなしだったので、緑が恋しくなり鎌倉に行ってきました。
 梅は盛りを過ぎ、桜はまだもう少し先、という端唄の一節が思わず浮かんでしまう時期です。春か冬かと言えば冬のような肌寒い一日、観光客もまばらでした。0319kamakura_2 そんな静かな鎌倉でひと際存在感を表す花がコブシです。新緑には早く色彩感の乏しい野山に真っ白いアクセントのように咲き誇るコブシはなんとも爽快です(写真右上・北鎌倉付近の谷戸にて)。
 庭木のボケは、決して目立ったり華やかではありませんが、どこか気持ちをホッとさせてくれる魅力があります(写真左上・鎌倉駅から最も近いお寺、大巧寺境内にて)。
 大巧寺の境内には珍しい草花がたくさん植えられていて、いつも丁寧に手入れがされています。写真右下の花もコブシあるいはモクレンの類いですが、盆栽仕立てに小さく管理されているので花を間近に見ることが出来ます。こうして見ると結構大きなな花なのですね。
 北鎌倉から葛原岡神社に向かって真っすぐ伸びる道からちょっと逸れたところに、小さな棚田を見つけました。
冬期堪水でしょう。山から染み出す自然の水が張られたて、栄養たっぷりの田んぼにはおたまじゃくしがたくさん泳いでいます。折に触れ米造りの様子をそっと見に行ってみたいです(写真左下)。

 日当りの良い野原に目を移すと、土筆がたくさん顔を出しています。
0319tsukushi子供の頃にはよく採ってきて佃煮のように甘辛く煮てもらったものですが、ただ苦いだけで美味しいと感じたことはありませんでした。いつしか口にすることもなくなってしまいましたが、今食べたらどう感じるのだろうか、とふと思ってしまいました。ふきのとうと同じようにあの苦みやえぐ味が春を感じるのでしょうか。機会があったら久しぶりにトライしてみたいものです。子供は時間を忘れて土筆採りに夢中になるのが楽しいのでしょうね。この日もおじいちゃんに連れられてきた小さな女の子が集めていました。

 おしまいも春の味覚です。道沿いの土手や山肌にはカンゾウの若芽がたくさん生えています(写真上)。ヤブカンゾウなのでしょうかノカンゾウなのでしょうか。花が咲かなければはっきりわからないのですが、真夏の里山をオレンジ色の花で彩ってくれます。
こちらのカンゾウは漢方になるマメ科の甘草とはまったく別のものです。15cmくらいまで伸びたカンゾウの芽は食べても美味しいのです。0319kanzouseri天ぷらにしたり、さっと塩ゆでして冷水に晒して搾り酢みそを掛けるのが美味しいです。少しだけ摘んできて今シーズンの手前麦味噌を酢みそにして頂きました。ほのかに甘みがあってキュッキュッという歯ごたえがとても新鮮でした。
 下の写真は田んぼにびっしり生えていた田ぜり。これは見るだけ、ですが、お浸しにしたらきっと美味しいでしょう。春の野山はおいしい恵みに満ちあふれていますが、くれぐれもひとさまの土地に無断で足を踏み入れて採ったり、根こそぎ収穫したり、しないようにしましょう。