"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

五月雨続き【夏至】を迎え

2013年06月21日 18時06分25秒 | 季節のおはなし

 旧五月十三日。二十四節気の【夏至】です。

陽熱至極し、また日の長さのいたりなるを以てなり。
         『暦便覧』(天明八年/1788年発行)

  大変残念ながら、今日を境に、日一日と日中の時間が短くなってゆくのです。長い梅雨があることで、実感する夏はまだまだこれから、という日本ですが、これからはゆっくりと秋~冬に向かって行くわけです。0621hamarikyu 二十四節気には【二分二至】があります。春分、秋分、夏至、冬至のことを言いますが、それぞれの季節の中間点ということです。ま、これは、天文学的に太陽の通り道によって決まることで、実際の季節感より、先んじているわけで、それぞれの季節の盛りを感じるのは、だいたい一月後と言っていいでしょう。
 このところは梅雨らしく五月雨が続いていますが、一年で最も勢力が強い陽光が降り注ぐ、五月晴れの日を待ち望みたいと思います。(写真は旧浜離宮恩賜庭園。花菖蒲も紫陽花もだいたい夏至の頃でおしまいのようです)

 もう一つ注目したいのは、明後日6月23日は満月です。しかも地球と月の距離が最も近くなる近地点を迎えるため、【スーパームーン】と呼ばれる特別の満月になります。最も遠い距離にある時と比べて約14%大きく見え、約30%明るくなるのだそうです。日曜日の夜8時32分が、最も大きく見えるとのことですので、晴天に恵まれたら夜空を眺めてみましょう。
 よく「スーパームーンの時には、事件や自然災害、暴動などが
起る」ということを耳にしますが、化学的根拠はあまり無いのだそうです。都市伝説に惑わされること無く、お月見を楽しみましょう。


五月雨に煙る旧端午の節句です

2013年06月13日 11時42分21秒 | 季節のおはなし

 旧五月五日。本来の意味合いをもつ旧暦の【端午の節句です。
 「
空梅雨?」「梅雨入り宣言早過ぎ?」と、いろいろ言われていますが、週明け三日ほど前から台風3号の影響もあって、いよいよ梅雨らしい陽気になってきました。きっと忘れた頃にでも、「今年の梅雨入りは6月10日頃でした」という発表がされるのでは、という気がします。

 さて、旧暦端午の節句といえば、
雨が続き雑菌などの繁殖が著しくなるこの鬱陶しい頃のことです。【梅雨】という言葉は梅の実が熟す頃の雨」という意味と、ものが黴(か)びる、ということから【黴(ばい)雨】と言われたというがあります。
0613shoubu  古来中国では、雑菌などに起因する病魔や、邪気を払う意味を込めて、薬草を摘んだり、蓬や菖蒲の葉で作った飾りを戸口に掲げたり、草に包んだ粽を食べたりしますが、その風習が、日本の民間にも伝わって、菖蒲湯や柏餅という風物詩になっているようです。
 また、日本では旧五月を「さつき忌み」と呼んで、田植をする「早乙女」は、家で
穢れを払い身を清め、田の神を迎えるという行事が各地にあったとされています。今では、三月三日の【上巳の節句】がひな祭りで、端午の節句は男の子の成長を祝う行事、となっていますが、古くはこちらも女性の節句だったようです。

 ひと月遅れの静かな【端午の節句】。スーパーにも、花屋さんにも菖蒲の葉は
売っていません。商店街の和菓子屋さんでも「柏餅はもう時期が終わり!」と一刀両断されてしまいました。何か薬になるものは?と探してみると、山椒の葉や実が出始めています。青しそもしっかりしてきました。谷中生姜もいいかもしれません。あるいは洋風に、エスニックに、ハーブやスパイスの利いた料理で穢れを払うのもいいでしょう。【五月雨】を楽しみましょう。
(花菖蒲は、五月雨を浴びて葉も花も色艶よく鮮やかになりました。旧浜離宮恩賜庭園にて)


宣言されても梅雨はまだ来ず、芒種です

2013年06月05日 10時41分24秒 | まち歩き

 旧四月二十七日。二十四節気の【芒種(ぼうしゅ)】に入りました。た。

(のぎ)ある穀物、稼種する時なればなり。
     『暦便覧』(天明八年/1788年発行)

  「芒」とは、稲や麦など、イネ科の植物の実の先端にある針状の突起のことを言います。例年だと梅雨入り間近となるこの頃に、麦の収穫、あるいは田植のピークを迎えます。
 関東甲信では、5月29日水曜日の11時に「梅雨入りした」と気象庁が発表しました。
それから一週間が経ちましたが、数日ちょっと愚図ついただけで、初夏らしい爽やかな晴天の日が続いています。0605syoubu_2早くも「空梅雨?」「水不足?」という声が聞こえてきますが、本格的な梅雨のシーズンはまだまだこれからでしょう。
 気象庁に
よる、昭和26年(1951年)以降の梅雨入りのデータを見ると、関東甲信は、平年が6月8日ごろとされています。実際に63年分のデータから、梅雨入り6月7日ごろから9日ごろと三日間の巾を持たせて見ても、意外と少なく18回しかありません。五日間の巾でも27回ですから、いかに梅雨入りの日はばらつきがあるか、ということなのでしょう。
 今年はすでに「梅雨入り宣言」されていますが、平年の8日過ぎてからが本格的な梅雨
空になるのでしょう。

 梅雨と言えば、「五月雨」「五月晴れ」。今年の旧暦五月朔
は奇遇にも6月8日です。五月雨を浴びて菖蒲の花がより鮮やかに、葉がより色濃くなるのは、旧端午の節句の頃(今年は6月13日木曜日)になるのでは、という気がします。(写真は、旧浜離宮恩賜庭園の菖蒲。まだ三分咲きくらいといった感じでした。)