"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

【手前味噌自慢の会】で味噌三昧

2007年09月30日 17時37分28秒 | 主催する催し

 旧八月二十日。夏が戻ってきてしまったかと、錯覚させられるような陽気から一夜明けると、震えてしまうほど肌寒く、どんよりとしたお天気の土曜日。うっかりしていると風邪をひいてしまいそうです。この時期は日ごとの温度差、昼夜の温度差に気をつけなければいけないですね。

930misojiman2_2  今年の春分の日、3/21に開催した第2回【手前味噌仕込みの会】(その時の様子は→こちらをご覧下さい)。みんなで一緒に材料を混ぜ、それぞれの瓶に仕込んで自宅に持ち帰って熟成すること半年。同じ材料でも熟成する環境で、味噌の仕上がりはずいぶん違うものです。ということで、今年も参加メンバーが再び集まって味噌自慢の宴を開きました。
 仕込みでもお世話になった渋谷の居酒屋ニュー信州の座敷に会したメンバーは、少しずつ味噌を持ち寄りました。
930misojiman3四角い大皿にお灸のように味噌を並べてゆくと(写真左のような感じです)、やっぱり微妙に色味が違うことに気がつきます。今年の味噌仕込みでは、米糀と麦麹を半々ブレンドしたオリジナルな味噌です。 昨年の米糀だけで仕込んだ味噌に比べれば、個人差は少ないようですが、それでも味を比べてみても塩の立ち方がわずかに違ったり、特徴的な香りがある味噌ががあったりと、それぞれがそれぞれでとても興味深いです。特に色の濃い(=熟成の進んだ)味噌を持ってきたメンバーには、瓶を置いておいた場所は?手入れは?木造?鉄筋?と質問が飛びます。自然な流れで味噌談議に花が咲きます。これが【手前味噌仕込み会の醍醐味なのかも知れませんね。
 宴の料理は、居酒屋ニュー信州特製の味噌を使った料理が中心です。930misojiman1 鮪のぬた、小茄子と里芋の味噌田楽、蕪の柚子味噌ふろふき、鮭と野菜の味噌汁、鮭の味噌漬け焼、鶏の味噌漬け焼
(写真右)・・・締めはメンバーが持ち寄った味噌をブレンドした味噌汁で締めくくりです。秋の気配がぐっと増したこの夜。体が芯から暖まる具だくさんの味噌汁と、香りがいい旨口の日本酒がとっても贅沢に感じました。
 ご参加いただいたメンバーの皆様。宴には参加できなくとも味噌を託してくださったメンバーの方、奥深い味噌の魅力を感じさせる料理を揃えてくれた居酒屋ニュー信州の皆様。ありがとうございました。来年もまたトライしましょう。


【手前味噌仕込み会】に関する過去のエントリーです。
2007.4.11『手前味噌仕込み会』写真集
2007.3.22春分の日にはみんなで味噌仕込み
2007.2.6第2回「手前味噌仕込みの会」開催のお知らせ
2006.11.13“手前味噌仕込みの会”自慢の宴
2006.3.26“春分のこの佳き午後に味噌仕込み”
2006.2.8“手前味噌仕込みの会”やりますっ!
2005.10.31手前味噌の蔵出しです~発酵食品万歳!


名月を出迎える彼岸花の艶

2007年09月25日 15時17分59秒 | まち歩き

925meigetsu 旧八月十五日。十五夜“中秋の名月です。別名“芋名月”とも呼ばれる特別の月。 収穫されたばかりの里芋に見立てたお団子をお供えして、お月見を楽しみましょう。今宵は東京でも雲の切れ間から名月を臨むことが出来そうですね。今年の“中秋の名月は、満月(9/27木曜日)にはまだちょっと早いのですが、それだけにここしばらくは綺麗な月夜が続きそうです。
(写真は渋谷駅前の歩道橋で明治通り越しにぽっかりと昇ってきた中秋の名月。一点の曇りもない綺麗な月でしたね)

 今年の暦ではお彼岸と中秋の名月が重なりました。
秋のお彼岸というと、神秘的な彼岸花が咲く頃ですね。925higanbana別名、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という仏教の梵語を由来とする名前があるように、どこか儚げで、神秘的な花です。毎年正確にお彼岸の頃花を咲かせるのは、陽気の変動に関わらず太陽の動きにのみ影響しているのでしょう。名月を迎えるように咲きそろう今年の彼岸花は、ますます神秘的に見えてしまいます。
(写真は秋分の日、葉山・一色海岸の公園に群生する彼岸花。早朝の軟らかい陽光に照らされてますます色鮮やかでした)


 

巨匠F.L.ライトの粋~明日館を訪れて

2007年09月14日 15時30分01秒 | まち歩き

 旧八月四日。夏と秋、二つの高気圧の凌ぎ合い。その間の秋雨前線も少し南下して、秋らしい爽やかな空気に包まれる日が多くなってきました。

 薄日が漏れる初秋のある日、かねてから行ってみたかった池袋の自由学園明日館(みょうにちかん)を訪れました。
914myounitikan2_1近代建築の巨匠、アメリカの天才フランク・ロイド・ライトが、弟子の遠藤新と共に設計した建物です。私的なことですが、父がライトの流れをくむ建築家で、自宅にもそこここにライトに通じる意匠が採り入れられていて、長年愛着を持っていました。それだけに、修復・保全が素晴らしい明日館を訪れるのは、とても楽しみであり、感慨深いひとときになりました。

 自由学園は羽仁吉一・もと子夫妻によって、大正10年(1921年)に創立され、明日館は学園誕生の校舎でした。
914myounitikan1校舎を建てるのにあたって限られたわずかな予算しかない中で、ライトは夫妻が目指す理想の教育理念に強く共感して設計を引き受けたそうです。それだけに、室内の建具や、家具、照明器具など細部に至るまで、そこに学ぶ生徒達への深い愛情を感じます。洋風の建築でありながら、木やお得意の大谷石がふんだんに使われていて、日本人の心に通じる落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
(写真左上より時計回りに:明日館のシンボルとも言える幾何学模様の窓/創立当時から使われているホールの椅子。高さ背もたれの角度などびっくりするほど座り心地がよい/吹き抜けの2階から臨むホールの窓/中二階に位置する食堂)

 都会の中にぽっかりと現れる癒しの空間。明日館は平成9年に国指定重要有形文化財に指定され、大規模な復元・修復がなされ、平成13年から動態保存というかたちで一般に公開されています。各部屋やスペースは一般に貸し出されていますので、事前にホームページのカレンダーで見学可能かどうか確認されてから訪問されることをおすすめします。見学料は、見学のみ400円と、ホールでの喫茶(コーヒーor紅茶と手作りクッキーorケーキ)がセットされた600円があります。ホールの優しい意匠の椅子に腰を下ろして、ゆったり流れる時間を楽しめる喫茶つきが断然お薦めです。

自由学園明日館→http://www.jiyu.jp


イベント『秋の夜長に民の謡(うたい)を』木津茂理ライヴ開催します

2007年09月04日 16時16分13秒 | 主催する催し

 旧七月二十三日。本格的な台風シーズンを表す、立春から数えて210日目の「二百十日」が先週の土曜日(9/1)でした。小笠原諸島付近では大きな台風9号が西から北へ方向を90度曲げて関東地方を睨んでいます。影響は金曜日頃でしょうか。

 “暮らしのリズム”が歩調を合わせてその魅力をお伝えしている、日本民謡のユニット『つるとかめ』。5月19日には主催イベントとして、渋谷の居酒屋ニュー信州で彼らの生音による唄と演奏をお聴き頂きました
(その時の模様はこちらをご覧ください)。至近距離で味わう澤田勝秋師匠の津軽三味線と味わい深い唄。木津茂理さんによるききての魂を揺さぶる太鼓と優しい唄。生民謡初体験のお客さまもとても感動し、楽しんで頂けたようで主催した私にとっても嬉しいひとときでした。
 現代の都会で暮らす人たちにとって、民謡はなかなか日常的なエンタテインメントではないかもしれません。でも、たまには和楽器の響き、日本特有のグルーヴ、いにしへの心を描いた詞の世界に身を委ねると、母の胎内に戻ったかのような安らぎを得られるのではないでしょうか。そう考えた時。どうも【民謡】ということばに、様々な先入観やイメージが染みついていて、近寄りがたい臭気を醸し出しているように思えてなりません。彼らがやっているような民謡を表現する良い言葉はないだろうか。沖縄や奄美の民謡が「島唄」と呼ばれるように。最近そんなことをずーっと考えています。何か名案ございましたらぜひコメントでお寄せください。
(これはっ!というネーミングをお寄せいただいた方には暮らしのリズムのTシャツをプレゼントいたします)

72ef_1  さて晩秋の頃11月3日(土・文化の日)に『秋の夜長に民の謡(うたい)を』と題して『つるとかめ』の木津茂理さん(唄・太鼓・三味線)をお迎えしたイベントを開催します。女性ならではの視点から、いにしへの女心や、働く強い女性像を歌詞から読み解き、子守歌、労働歌、彼女に所縁がある越後の唄を中心に、各地の唄をお届けします。時にはじっくり、時には腰を浮かして楽しく手拍子を打ちながらお楽しみください。「日本人はなんて格好良かったのだろう。日本の女性は素晴らしいんだなぁ」きっとそんな思いが湧いてくることでしょう。季節は収穫の秋、食欲の秋です。新米に新酒、山海の恵み。居酒屋ニュー信州からの季節の贈り物もご用意しています。日本の心、民の謡に身を委ね、秋の夜長をゆっくり楽しみましょう。皆様のお越しをお待ちしています。
(写真は右:木津茂理さん、左:木津かおりさん、6/27gallarey-efでのライヴ)

『秋の夜長に民の謡を』木津茂理ライヴ
出演 : 木津茂理(唄・太鼓・三味線)、木津かおり(唄・三味線)
日時 : 平成19年11月3日土曜日・文化の日
18:30開場 19:00開演
会場 : 居酒屋ニュー信州
(渋谷区渋谷3-20-16 tel.03-3797-6966)
料金 : 4000円(先ずの1杯とお楽しみつき)
30席限定、要予約

“つるとかめ”に関する過去のエントリー
2007.7.3梅雨半ば民謡三昧の日々
2007.5.20ご来場感謝“つるとかめ”ライヴ
2007.5.13日本の民謡「つるとかめ」のこと
2007.4.20民謡を聴いてみませんか“つるとかめ"ライヴです
2006.12.26蔵で舞うつるとかめの暖かい民謡