"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

『Witchenkare vol.2』に寄稿しました

2011年04月20日 16時16分22秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧三月十八日。二十四節気の【穀雨】です。

春雨降りて百穀を生化すればなり。
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 本来であれば水稲作付けの準備が忙しくなる頃。被災され田畑に向かい合えなくなってしまった農家の方には、心よりお見舞い申し上げます。完全に復興するまでは数年単位の時間が掛かると言われています。生活保障はもちろんですが、田畑整備のために国は積極的に支援の手を差し伸べて欲しいです。東北の旨い米を再び!

 毎朝5時前に家を出て、自転車で勝鬨橋を渡るのが日課なのですが、今朝西の空に浮かぶ月は大きく美しく、とても印象的でした。
0420izayoi十七夜の月が夜明けを迎え、街が目を覚ます前に沈んで行くのですが、月例にすれば16と少し、真円が少し歪んだ姿で、まだ薄暗い西の空に大きくくっきりと映えています。エネルギーに満ちているのか、気分も高揚します。早起きのわたしは、朝西の空にに望む満月以降二十日くらいまでの月は、エールを送られているようでとても好きです。

 移りゆく月の姿を愛でながら暮らす。「ときどき旧暦な暮らし」と題した短いエッセイのような文章を、リトルプレス『Witchenkare vol.2』に寄稿し4月1日に正式発刊されました。0420wtk2 昨年4月に刊行された創刊号に続いての掲載です。リトルプレスとは、表紙のキャッチコピーによる「すすめ、インディーズ文芸創作誌!」というとわかりやすいと思います。執筆家でありながら、今回は十四人。様々なジャンルで活躍するみなさんがフィクション、ノンフィクションにとらわれず、自由な感覚で書いた作品がオムニバスのように収められています。
 大手の書店などでも売られているそうですので、機会がございましたら、お手に取ってご覧ください。もちろんお買い求め頂くのが一番嬉しいです。ぜひよろしくお願いします。

目次や取り扱い書店などの詳しい情報はこちらを。
Witchenkareの公式ブログはこちらを。
ごらんください。


潔い日常生活

2011年04月13日 18時22分32秒 | まち歩き

 旧三月十一日。月は上弦を過ぎて少し丸みを帯びてきました。気温の低い日が何日か続いたので、今年の桜はだいぶ長持しているようです。0413ishikawajima 東京ではこのあいだの日曜日、4月10日から今日、明日あたりがお花見日和のようです。陽射しが暖かく、南風が心地良く花吹雪を舞わせている今日、缶ビールとレバーフライ片手に近所を散歩。佃公園の石川島燈台跡でしばしお花見をしました。(人の少ない平日の佃公園。花びらが地面に降り積もった状態がお花見にはいいのです)

 ここでも口をついて出る話は、東日本大震災のこと。被災地の現状、自然の威力、原発のゆくえ、未来はどうなって行くか、節電とエネルギー、などなど。震災前は漠然とした脅威であったことが、リアルに突きつけられ、確固たる考え方を持たなければならないと自覚させられるこの頃です。
 震災からひと月が経過して、津波と強い揺れで大きな被害を受けた地域以外の状況がようやくあぶり出されてきています。原発から数十キロも離れた場所で農業や漁業を営む人たち、液状化現象で元の暮らしに戻ることができない人たちも。飲食店やエンタテインメント、他にもいろいろな業種の人たちからは仕事や売上が減り、景気の低迷が深刻であることを聞かされます。東京のこんな状態がこの先もずっと続いてしまうと、経済は回ってゆかなくなり、立場の弱い中小企業や個人商店がどんどん苦境に追い込まれて行ってしまいます。
 将来への不安は増すばかりですが、被災していない人たちは、できるだけ以前と変わらぬ日常生活を取り戻して、しっかり暮らして行って欲しいと、願うばかりです。消費行動をすることによって、経済は回り、被災地への援助に回すことができるようになるのでしょう。

0413umenomi_2  自粛よりも潔い日常生活を送ることが困難に立ち向かっている人たちにとって有益になるということを“暮らしのリズム”は考えて行きたいと思います。

(これも自然の営み。桜にうつつをぬかしている間に、梅の枝には小さな実がついていました。4/10皇居東御所の梅林にて)


うららかなる清明と旧ひな祭りの一日

2011年04月05日 18時15分41秒 | 季節のおはなし

 旧三月三日。旧暦のひな祭り、上巳の節供です。0405hanamomo別名【桃の節句】という通り、街では桜と時期を同じくして花桃が蕾を膨らませ、白から薄紅、深い紅色までコントラストが見事な花を咲かせ始めました。(写真は今日のお昼過ぎ、東京都中央区の街路樹で咲く花桃です。花も奇麗ですが鞠のような無数の蕾がいいです)

 今日は日本列島全国的に麗らかな春の陽気で、奇麗な青空が広がったそうです。こういう日は一年を通じても滅多にないのでは、と思います。

 そして、今日は二十四節気の【清明(せいめい)】です。

万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草と知れる也。
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 お彼岸の後まで寒さが続いていたのですが、いよいよこのあたりで本格的に暖かくなりそうです。東京の桜の満開予想は明日、4月6日でしたが、どうやらそれも先送りされて、今週末から来週前半くらいになりそうです。爛漫たる春をおおいに満喫したいものです。皆さんも佳き春の頃を。


桜色に染まる頃に思うこといろいろ

2011年04月01日 18時28分53秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧二月二十八日。朝晩は少し冷え込み日中は陽射しの暖かさをしっかり感じられる新年度最初の日。
 空気が澄んだこういう日の二十八日目の月はとても美しく儚げでもあります。日の出はずいぶん早くなって今朝東京では5:28。それより1時間半ほど早く薄月は登り、東の空にくっきりと姿を現しました。やがて日が昇って空が明るく白くなって行くと、その姿はす~っと消えて行ってしまいます。辛うじて肉眼でとらえることが出来るのは6時ころだったでしょうか。「じゃ、今日も一日頑張って」というメッセージが聞こえて来るようで、この日の月はとても好きなのです。

 気象庁が東京で桜が開花した、と発表したのは今週の月曜日、3月28日でした。ほぼ平年並みで昨年より六日遅いそうです。0401sakura 満開の予想は4月6日。週明けに花冷えの日が続きそうなので、見頃は来週の後半あたりになりそうです。靖国の桜はとても陽当たりのよいところにあるのでしょうか、自分の周辺の桜からするとちょっと早いかな、という感じがしています。写真の染井吉野は3月29日、場所は浜離宮です。何本かの木の中でほんの四~五輪ほど花開いていました。やっぱり日本人なのです。世の中がどうあれ、桜の花がほころぶ姿に体の中がポッと暖かくなりました。
 東北地方太平洋沖地震の災害を受けて「花見を自粛しましょう」というような声がちらほら聞こえてきます。いろいろ思うところはありますが、自粛したほうが良いと思う行動は、花見にかこつけた野外での乱痴気騒ぎであって、桜を愛でるそれぞれの花見は静かに行えば良いのだと考えています。日本人が古から毎年毎年楽しみにしてきた桜の花見。それは、美しさと華やかさに心躍らせ、散って行く花に無常をなぞられること。今年の桜、人それぞれ特別な思いを抱く忘れえがたいものになることでしょう。わたしは、宮城・岩手の沿岸にある蔵のお酒を桜を愛でながらいただこうと思っています。

 なんでも自粛ムードにはちょっと違和感を抱いています。幸いなことに被災しなかった者には、それぞれの役割があるのです。わたしが思うのはこんなことです。今までよりほんの少しでも節電の意識をもつこと、決して無理をしない範囲での寄付や援助の気持ち、不確かな情報に惑わされず、自らも発信しないこと。そして最も大事なのは、努めて普通の日常を送るようにすること、だと思っています。元気な人は、いつも以上に元気なくらいでないと、この国はどうなってしまうのだろう、と憂うばかりです。

 “暮らしのリズム”では、5月14日土曜日に【居酒屋寄席~目には青葉の会】(出演:立川吉幸・泉水亭錦魚)を開催することになっています。もちろんやります。余計な気負いもなく、いつもの会と同じように楽しい夜にしたいと思っています。

“暮らしのリズム”presents
『居酒屋寄席~目には青葉の会

出演:立川吉幸、泉水亭錦魚
日時:平成23年5月14日土曜日 18:30開場 19:00開演
場所:渋谷・居酒屋ニュー信州 
渋谷区渋谷3-20-16(03-3797-6966)
料金:3500円
(先ずの一杯と季節の味覚のお楽しみつき)
   30席限定要予約

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