"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

手拭いで感じる季節の移ろい

2006年11月28日 11時52分31秒 | 季節のおはなし

 旧十月八日。旧暦十月穏やかに晴れて暖かい日のことを“小春日和”と言います。小春日和と冷たい雨、木枯らしを繰り返し本格的な冬へと季節は移ってゆくのですね。東京の銀杏も黄色く色づき始めました。紅葉も後半戦です。

 居酒屋寄席を開催する渋谷の居酒屋ニュー信州で、
1128susuki高座の後ろに飾る何かさりげなく季節を感じられるものはないだろうか、と考えていました。そんな折、二年ほど前にたまたま街を歩いていて見つけたのが額装する日本手拭いです。この額装手拭いが今静かにブームを迎えているように感じます。
 そのそも伝統的な小紋柄や、歌舞伎役者縁の柄、様々な場面でお得意さんやご贔屓さんに配る個性豊かな柄を染め抜いたのが日本手拭いですが、タペストリーのように、そのものが一幅の絵のようにデザインされた手拭いが増えてきました。最初に飾るきっかけとなったのが、中秋の名月とススキの穂。その後も桜、紫露草と蛍、雪山とさざんか・・・となかなか季節感が伝わる装飾になっています。
1128nanten  今秋の十三夜(11/3)も過ぎた頃、名月に代わるものはないか、と探し続けていたのですが、紅葉で良いものがない、雪山には少々早いし、と思っているうちに季節は冬へと移ってしまいました。居酒屋寄席も近づいてきて、そろそろ決めなければ、と思っていたところで見つけたのが南天のデザインでした。右の写真の柄です。いかがでしょうか、日本の師走、正月を静かに彩る名脇役の南天、12月16日には落語を一層引き立ててくれることでしょう。

 暮らしのリズムお薦め、手拭いのお店をいくつかご紹介しましょう。

  • 『かまわぬ』手拭いに限らず伝統と現代感覚の融合が楽しい。ショップは代官山、新宿、原宿などに。通販も。
  • 『ふじ屋』浅草寺近くにあるオリジナルデザイン豊富なお店。
  • 『銀座大野屋』昭和通りと晴海通りの交差点に佇む老舗。豊富な品揃えが魅力です。
  • 『風楽堂』自由が丘にある和の伝統工芸セレクトショップです。手拭いの専門店ではありませんが、フレームを気に入ったので手拭い用の額をここで買いました。

“手前味噌仕込みの会”自慢の宴

2006年11月13日 11時56分04秒 | 主催する催し

 旧九月二十三日、九月の下弦の月です。1113kiku  綺麗な青空に包まれた月曜日の朝、西の空高く天空に矢を放つ弓のような月がぽっかりと浮かんでいました。二十四節気の立冬(11/7)が過ぎ、都会の街路樹も少しずつ色づき始めました。いよいよ冬ですね。熱々のお味噌汁が美味しく感じられます。(→湯島天神では恒例の菊祭りが11/23まで開催されています)

 今年の3月21日、王ジャパンが野球世界一を達成した日、でもありますが、“暮らしのリズム”が主催するイベント“手前味噌仕込みの会”を行った日でした。一升瓶11個に皆で米糀味噌の素材を仕込み、それぞれのご自宅に持ち帰りました。途中重しをはずしたり、全体をかき混ぜる作業を行い、梅雨~夏を越し八ヶ月弱が経過しました。同じ条件で仕込んだ味噌の熟成具合が、環境によってどんな違いとなって出るのだろうか。そんな興味もあって、11/11(土)会場の居酒屋ニュー信州にそれぞれの味噌を少しずつ持ち寄って、手塩に掛けた手前味噌を自慢し合いながら酒を酌み交わし秋の夜長を楽しもう、ということになりました。

 八ヶ月くらいの熟成期間ではそれほどの違いは生じないだろう、という予想を快く裏切ってくれる結果が表れました。1113miso1 熟成する場所、例えば木造家屋、マンションによる違い、湿度、温度などが左右するのでしょうか。色の白っぽいもの赤味が濃いもの、香りの強弱、塩が立つもの馴染んでいるもの、水分の多い少ない、風味の個性・・・などなどそれぞれ特徴のある味噌に仕上がっていました。仕上がりの違いには家の中に自然にある菌の影響があるのでは、という気がします。

 宴では店主が工夫を凝らした味噌風味の料理がずらりと揃いました。
ざっとこんな感じです。

1113miso2下仁田葱焼、蛤の味噌鍋、天然なめこの味噌汁、飛騨牛の朴葉味噌焼、焼蕎麦味噌、ふろふき大根柚子味噌掛け、鰆西京漬け焼、米茄子田楽、小鮎・山女の味噌焼、鯵のなめろう、全員の味噌を合わせて大豆と地鶏の炒め物、(以下はメンバーの戸田さんご夫妻による手作りです)温泉卵と生卵の味噌漬け、らっきょうの味噌漬け、菊芋の味噌漬け

まさに味噌三昧。イソフラボンと酵素による美肌効果はいつ現れますでしょうか。

 参加メンバーは皆来年もチャレンジしたい、とのことです。というわけで、2007年2月か3月頃に第2回を開催しようと思っています。次回は麦麹にもトライしてみましょうか。詳細が決まりましたらこのブログでご案内いたします。どうかお楽しみに。


深まる秋の“十三夜”

2006年11月03日 12時50分55秒 | 季節のおはなし

 旧九月十三日。今夜は十三夜です。
 “中秋の名月
は旧八月十五日、十五夜の月、今年は10月6日金曜日でした。中国伝来の風習である十五夜と違って、十三夜は日本古来の伝統ある風習です。そのためか、両方のお月見をしないことを“片見月”と言って、縁起の悪いことと言われていたそうです。中秋の名月はその時期に収穫が盛んなことに因んで“芋名月”というのに対し、月遅れの十三夜の月は“豆名月”とか“栗名月”と呼びます。芋は里芋、お月見団子の由来になったもの。十五夜にまんまるの里芋や月見団子をお供えし、満月に少し足りない十三夜にはまんまるではない栗や豆を備える、というのはちょっと考えすぎでしょうか。今年は閏七月があったため、少し遅い十三夜ですが、もともとは収穫を祝うお祭りの一つです。秋の実りを堪能しましょう。