"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

“夏至”を前にecoを思う

2009年06月20日 14時24分57秒 | 季節のおはなし

 旧五月二十九日。明日は二十四節気の【夏至】です。

陽熱至極しまた日の長きの至りなるを以て也
           『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 一年で最も太陽が高く、昼間が長い日です。ぐずつきがちの梅雨時にはあまり実感できませんが、晴れれば太陽はじりじり照りつけ、強烈な日差しを感じることになるでしょう。
 上海も雨の季節を迎えているはずですが、日本流に言えば空梅雨です。晴れの日が続くと一足早く盛夏の花が開いてしまうものです。0620sarusuberi 公園のサルズベリ。一枝の先に固い蕾を開いて咲く花を見つけました。猿も滑るほどつるつるした幹からついた名前が面白いのですが、中国では「紫薇
(zi3wei1)」という名です。占いの「紫微斗数」と関係があるのでしょうか。サルスベリは花期が長いので、しばらく楽しめそうです。
 夏至といえば、6年前からスタートした『100万人のキャンドルナイト』の輪はますます拡大しているようです。夏至の夜8時から20時までの2時間、電灯やテレビを消してろうそくの灯りで過ごそう、という活動。ホームページで体験談を見ると「省エネルギーに繋がることはもちろん、家族や親しい人とのコミュニケーションがとても深まり貴重な時間になった」と、総じて紹介されています。
 暗い時間に灯した火を囲んでいると、その光源がろうそくであっても、ランタンでも、ガス灯でも、たき火、暖炉、囲炉裏、線香花火・・・、普段とは違う落ち着いた精神状態になり、心を開くような気がします。火を司るという、決して人間が発明したという烏滸がましいものではなく、
人間に与えられた特権を最も上手に活かした方法なのかもしれません。
 昔の人は外のエネルギーを必要とすることはあまりしなかったものですし、出来ませんでした。明るくなったら活動し、暗くなったら寝てしまう。日の出・日の入りの時刻を基準にした時の数え方は、季節によって一定ではないリズムを刻む指標だったのでしょう。
 中国の人たちは、朝が早いです。明るくなるとパジャマを着たまま外に出てきます。市場は早朝から活気があり、ハイテンションで語り合っています。その分夜は早いですね。少しでも日が傾くともうパジャマです。古い町では日没の頃に商売を終えると、風通しのいい路地や通りにテーブルを出して、裸電球一つの灯りでトランプをしたりしていますが、それも長くは続きません。すぐに静まり返ってしまいます。
 流行語と言って茶化してはいけないのかもしれませんが、どこを見ても「eco」の文字に溢れいてます。いろいろな考え方がありますし、様々な立場でecoに向かい合っている人がいらっしゃるでしょう。私の考えは、昔の人の“暮らしのリズム”を感じることが出来れば、それが結果的にecoなのかな、というふうにいつも思っています。

 さて、明るくなると床に入られる夜型人間にとっては過酷かもしれませんが、夏至は昼の時間が最も長い日。この日ばかりはお天道様のリズムで活動してみるのも面白いかもしれません。

 明日東京の日の出時刻は4時25分。日の入りは19時ちょうどです。昼寝は有りです。月明かりはありません。暗くなったらとっとと寝ちまいましょう。まだ寝るには早い、となればろうそくを一本。


あなたは“猫ストーカー”?

2009年06月16日 23時29分08秒 | まち歩き

 旧五月二十四日。梅雨の前半の雨は五月雨、というようにしとしとと降る静かな雨が風情を感じさせるものでしたが、今夜の東京は雷鳴轟き時折豪雨を降らせているようですね。こんな激しい雨模様は、梅雨の終わり以降のものと思っていましたが、年々他の季節でも増えて来ているように感じます。やはり地球温暖化、日本列島亜熱帯化がすすんでいるのでしょうか。

 仲良くしてもらっているお友達の浅生ハルミンさんといえば、以前もこのblogで何度か紹介いたしました。0617nekosto 例えば『古民家に暖かいイラスト展を観に行く』(
2007.10.3)。そう、彼女はイラストレーターであり、エッセイストであり、古書店店主であり、そして“猫ストーカー”という多彩な才能の持ち主なのです。そんなハルミンさんのほんわかした雰囲気が魅力的な著書『私は猫ストーカー』がなんとこのほど映画化され、来月に封切りされることになりました。公式ホームページはこちら。ぜひご覧ください。予告編も見られます。もちろんわたしはまだ観ていないので、こんど日本に戻った時に映画館で観ようと思っています。ハルミンさん曰く原作者の気持ちがとてもうまく表現されている、とのことですので、野良猫ワールドがちょっとでも気になる方には絶対お薦めです。

 東京の拙宅では、わたしの留守を守るのか散らかすのか、あるいはしっかり縄張り意識を高めてわたしをよそ者扱いするのかとても微妙なのですが、今年に入り元野良の雌猫が二匹やって来ました。0617nekos そのためか、今では猫の目線がとても気になります。ハルミンさんの猫ストーカー魂には到底及びませんが、野良猫を見つけると、つい足を止め視線を下げて話しかけてしまうようになりました。上海はこの季節どこに行っても子猫だらけです。野良だったり、飼われているのか自由なのか、適当な距離感で人に寄り添っていたり、人と猫の関係が日本とは少し違っているようで、ちょっと面白いです。あなたの“猫ストーカー度”はいかがでしょうか。(写真左は上海の子猫たち。その傍らには必ずと言っていいほど愛でる人々がいるのです)

浅生ハルミンさんのblogはこちらです。
(これ、残念ながら中国では表示してくれません)

私は猫ストーカー 私は猫ストーカー
価格:¥ 998(税込)
発売日:2005-04
帰って来た猫ストーカー 帰って来た猫ストーカー
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2008-12-02

 


“芒種”の頃に水辺の花

2009年06月06日 10時49分09秒 | まち歩き

 旧五月十四日。昨日は二十四節気の【芒種(ぼうしゅ)】です。

芒ある穀物、稼種するときなればなり
        『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 「芒」=のぎ、は米や麦のように籾から針のように生えているもののことを言います。実際に米や麦の種まきはもっと早い時期に行うので、この場合の穀物というのは、二十四節気が作られた頃、中国の中部で主食とされていた「粟(あわ)」のことなのでしょう。確かに田んぼの雑草がじわじわ繁殖し始める頃です。この雑草が放置しておくと粟になったりしますね。
 東京では5月下旬からそのまま一気に梅雨入りとなりそうな、はっきりしない天気が続いているそうですね。鬱陶しい季節ではありますが、この頃の雨は田を潤す恵みである、と受け入れることにしましょう。0606hasu_2 上海ではほぼ毎朝、住んでいるマンション横の公園でウォーキングをしています。公園には人造の池があって、日に日に睡蓮の葉が広がって行くのがよくわかります。蕾もたくさんあるのですが、なかなか花が咲くのは見なかったのですが、昨日10時頃に公園を横切った時に、見事に咲き誇っていました。そうでした。睡蓮は「睡眠する蓮」だったのでした。ウォーキングをする朝6時頃はまだお休み中なのですね。

 公園では春に可憐な花を一杯に咲かせていた
木々が実りの季節を迎えています。0605kouen花桃(写真下の右上)に杏(左下)、海棠にも小さな実がついています。そして、上海には無いものだと思い込んでいた紫陽花(左上)が一株、花をつけていました。高い木では合歓の花(右下)が盛んです。木の上では余り目立たないのですが、地面に散るとその独特な花が目につきます。
 上海もそろそろ雨期に入るようです。来年の万博に向けて盛んに工事が行われ、晴れの日が続くととても埃っぽくなるので、ある程度の雨は大歓迎です。昨日(6/5)は夕方にバケツひっくり返し系の集中豪雨でえらいめに合いました。

 最後におまけの写真を一枚。端午節の連休の時、
混んでいるのを承知で郊外の水郷の村「朱家角」に行ってきました。0606busforqingpu_2 早朝にもかかわらず高速バス乗り場は長蛇の列。 そこで朱家角近くの町、青浦まで普通バスで行って乗り継ぎで行くことにしました。そのバスでの一こま。シフトレバーのノブには小さな子供用の靴下が。もう大きく成長した運転手のお子さんのものなのかな、あるいは運転手仲間の間で定番化しているアイテムなのかな、と想像すると、なんだか微笑ましいものでありました。