"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

ふろふきは三浦大根に限る

2008年01月21日 13時54分51秒 | まち歩き

 旧十二月十四日。今日は二十四節気の【大寒(だいかん)】です。日本列島は強烈な寒気にすっぽり覆われています。昨夜から東京では、ひょっとして大雪、という予報も出ていましたが、低気圧が予想より南を通過したため、幸い僅かにちらつく程度で、交通機関に影響を及ぼす事態にはなりませんでした。それでも、朝窓を開けて、真っ白く雪が積もっているのを楽しみにしていただけに、ちょっと拍子抜けでしたね。

 毎日寒い日が続いていますが、寒いときならではの暖かい食べ物が恋しくなります。鍋物、おでん、ラーメン、うどん・・・。色々ありますが、たっぷり出汁を含んだ分厚い大根の煮物が美味しい季節です。特に柚子の香りが食欲をそそるシンプルなふろふき大根がいいですね。
0121daikon  “暮らしのリズム”のイベントでいつもお世話になっている渋谷の居酒屋ニュー信州のふろふき大根は、甘みを控えめにした柚子味噌が淡い出汁を含んだ大根の風味を活かし、燗酒が進む滋味豊かな一品です。
(→これです。これ!)
 店主の榎慎一さんによると、大根はよく見かける青首大根ではなく、今や生産量がとても少なくなってしまった三浦大根なのだそうです。長さ7~80センチ、 首が細く真ん中が直径20センチくらいまで太くなっている、0127daikon 懐かしい伝統野菜です。小学校の頃クラスの女子と口げんかになると必ず「大根足~」という罵声が口をついたものですが、この場合の大根はすらっとした青首では駄目なわけで、やっぱりぼてっとした三浦大根のことなのでしょう
 三浦大根は、水分が少なめで目が詰まっていて、煮ても型くずれせず、下ろせば甘みと共にピリッとした辛みがあって、おせち料理のなますにも適しています。短所が見あたらないようですが、最近では年末にしか流通しなくなってしまいました。生産量が減ってしまった理由はいくつかあるそうです。その一:首まで土に埋まっていて真ん中が太いので収穫作業が大変。その二:大きすぎて核家族化に対応できない。その三:真ん中が太いので流通コストがかかる。その四:流通過程で割れやすい。と、調べてみると、そんな理由からみたいです。ただ、流通は年末限定だけど、生産は三浦半島でしっかりされています。となると、寒の時こそふろふき大根が食べたくなるわけです。で、先日三浦方面に行く都合があり、慎ちゃんからも「いい大根があったら送ってよ」との命を受け、鎌倉市農連市場を覗いてみると、美味しそうな三浦大根が並んでいました。早速梱包してもらうと、なるほど、三浦大根5本の箱に、青首なら12本は入りそう。これはありがたい、貴重な寒の味覚、ということなのですね。
(とてもいい大根なので、1/25にまた鎌倉に買いに行きました。写真はその時の模様。生産者は鎌倉市関谷の山森さんです。他の野菜も味が濃くてどれも美味しいです)

 まだもうしばらく寒い日が続きそうです。ニュー信州では熱々のふろふき大根が待っていますよ。


三浦大根のお問い合せは
三浦野菜生産販売連合(TEL :  046-888-3151)
 
 


暖かい寒の入りでした

2008年01月08日 01時08分23秒 | 季節のおはなし

 旧十二月朔日。一昨日、1月6日(日)は二十四節気の【小寒(しょうかん)】でした。この日から【立春】の前日である【節分】までのほぼひと月が“寒”です。先日岩手に行った際、元朝参りの神社で買った岩手県神社庁刊行の「郷土暦」には県内各地で記録した最低気温の記録が載っています。ちょっとご紹介しましょう。小寒の1/6は、90年前の大正8年に紫波町でー20℃、一ノ関でー21℃、千厩(せんまや)でー22.5℃を記録しています。今では零下10℃も珍しいとのことですが、やはり日本は少しずつ暖かくなっているのでしょうか。今年の寒の入りも歩けばちょっと汗ばむような暖かい陽気でした。

 小寒の翌日、昨日1月7日(月)は五節句の最初【人日の節句】、七草でした。
これまでに「“暮らしのリズム”的できごと」では小寒と七草を毎年紹介してきました。「春はまだかな“寒の入り”小寒です」(2006.1.6)、「七草粥です」(2006.1.7)、「七草粥の追記(北国では)」(2006.1.13)、「明日は七草~荒れ模様の“寒の入りです”」(2007.1.6)
ぜひご覧下さい。

 で、今年もスーパーで買ってきました。七草セット。0108nanakusa 今年は愛媛県松山産でした。五節句は本来旧暦の行事だったため、人日の節句も今年の暦でみると2月13日(水)です。
『芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎょう)・蘩蔞(はこべら)・仏の座・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)』が自然に畑や田んぼの畔で育つのは、やはり立春を過ぎた頃、もう少し太陽が高く照らすようになった頃なのでしょうね。
 いつもは昆布で出汁を取ってお粥を作り、
0108kayu塩茹でして細かく刻んだ七草を、火を止めて蒸らすときに入れてサッとかき混ぜるのですが、今年はしらす干しがたくさんあったので、出汁をとらず、塩も控えめにして贅沢にたくさん入れてみました。ちょっと苦く香り立つ野草の風味にしらすの旨味がとても良く合います。邪気を払う七草粥ですが、正月の飽食で疲れた胃にはとても優しい気がします。お腹を壊した時くらいしかお粥は食べない私ですが、たまにはコトコト炊いて熱々のお粥を味わうのもいいものですね。
 


平成二十年もよろしくお願いします

2008年01月04日 13時51分02秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧十一月二十六日。

 あけましておめでとうございます。

 この年末年始は、四年ぶりくらいに岩手県で過ごしました。 ここ数年は暖かい年越しだったようですが、
0103jinja今年は大晦日、元日に寒気が入り、例年にないドカ雪に見舞われました。それでもいつものパウダースノーのような“しばれ雪”とは違って水分の多い春に降るべちゃべちゃした雪です。地元の人たちも、年々確実に暖かくなってきていることを実感しているそうです。温暖化の影響は、テレビや新聞だけの話ではないのですね。
(写真は初詣に行った地元の天照御祖神社。こんなに雪があるのは珍しいです)

 灯油の値段がここ5年くらいで3倍に跳ね上がってしまったので、北国の冬は大変です。家の者は皆、省エネの意識が自然と高まり、厚い服を着込んで凌いでいます。久し振りに練炭コンロを出して、暖房と煮炊きに活用していました。0104mochi 暮れにはお餅をつきます。杵つきではありませんが、餅米を蒸して、機械でついて、伸します。熱く軟らかい内に鏡餅を作り、神棚、仏壇、龍神、旧家にある馬頭観音に供えます。冷えてある程度硬くなった伸し餅を切り分け、練炭コンロで焼いてみました。炭はいいですね。軟らかく焦げは香ばしく焼き上がります。炭火でお餅を焼く時、箸を使わず熱いのをやせ我慢しながら、素手でお餅を返したりしたくなるのは、なんでなのでしょうかね。指先の皮が少し分厚くなった気がするみちのくでの年越しでした。

 今年一年が、皆さまにとって素敵な年となりますよう、心から願っています。今年も【暮らしのリズム】をよろしくお願いします。