"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

酷暑到来!明日は【大暑】

2010年07月22日 20時06分05秒 | インポート

 旧六月十一日。明日は二十四節気の【大暑(たいしょ)】です。

    暑気いたりつまりたるゆえなればなり。
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 当まさに暑さのピーク。これから立秋までの十五日間が一年で最も暑い季節。二十四節気の【小暑】(7/8)から【大暑】の期間(8/6)を『暑気』と呼んで、暑中見舞いを出します。『暑気払い』と称して宴を開催するのもこの頃ですね。今年の『暑気』はほぼ暦どおりと言えるのではないでしょうか。ビールの空き缶がどんどん溜まっていきます。

 昨日・今日は東京でも37℃を越える猛暑ならぬ酷暑となりました。標高の高いところ、緑の多いところ、清流があるところに避難したいものです。
0722tsukudabori_2  わたくしごとでは、7月生まれということで、汗っかきなものの夏は強い方だと信じていますが、さすがにここ数日はしんどいです。ついつい冷たい飲み物や食べ物に走ってしまうのも良くないのかも知れませんが、家では頑にエアコンのスイッチを入れず、自然の風をとりこんで暮らしています。あからさまに夏バテらしい表情をする愛猫たちには少々気の毒です。でも彼女たちはその時最も涼しい場所を熟知しています。居場所を見れば風向きがわかるようになってきました。水に取り囲まれている月島は一日中風が吹いています。この風には救われています。
(写真は16時頃の佃堀の舟溜まり。まだまだジリジリと陽が射し込み、ハゼは深みで涼んでいます)

 熱中症などには十分に気をつけなければならない日々がまだしばらく続きそうです。日傘か帽子。水分と塩分摂取。こまめな休息。怠らぬよう元気に乗り切りましょう。


都会を彩る今年の紅葉は格別です

2007年12月03日 18時31分00秒 | インポート

 旧十月二十四日。今年の冬は寒くなりそうかな、と予感させられた後、またしばらく小春日和が続いています。今週の木曜日12月7日は二十四節気の“大雪”です。日本海側、東北地方ではこの頃から急に冷えて、まさに大雪となるく模様です。


 皆さんは気がつかれましたでしょうか。東京あたりの紅葉が、今年はとっても美しいことを。TVニュースのトップ画面で都内の公園を俯瞰する映像が流れると、目を疑うほどの色鮮やかな紅葉に驚かされます。123kouyou 私が住む町の住宅やビルに囲まれた小さな公園でも、銀杏の黄、欅の橙、桜の朱、いろはもみじの紅、とじつに多彩です(写真右は月島の公園)。都会でこんなにも紅葉が見事なのはちょっと記憶にないほどです。いつもは色づく前に散ってしまったり、枯れてしまったり、一本の木でも綺麗に紅葉することが珍しいのに、たくさんの種類の木が、足並みを揃えて一斉に彩っています。どういった条件が重なると、このようになるのでしょうか。何でも「地球温暖化」のせいにしてしまいたいところですが、ちょっと考えてみました。以下は私の勝手な仮説です。正解がありますでしょうか。1,夏がとっても暑かったこと。2,秋が暖かく雨が多かったこと。3,11月中旬になって急に寒い日が続いたこと。4,これまで木枯らしがあまり吹いていないこと。5,11月下旬は小春日和が続いたこと。さあ、いかがでしょうか。皆さんはどう思いますか?

 そんな小春日和の12月1日(土)、友人のmizunoくんとにわかに“暮らしのリズム”写真部を結成して、新宿御苑に行ってみました。123gyoen_2 園内に入るのはざっと20年ぶり以上になります。そのせいかただでさえ巨木が多い印象だったのが、さらに大きくなったような気がして圧倒されてしまいました。さすがに紅葉のピーク、ということでアマチュア・カメラマン、家族連れ、散歩する人々がごった返しています。
(4分割の写真左上から時計回りに:台湾閣の中から見るとちょっと異国情緒/新宿門近くのカエデともみじ/常緑の椎をフレームに紅葉ピークの桜と色づき始めたセコイア/桜の葉、黄色~朱への見事なまでのグラデーション)
123heartland  千駄ヶ谷門から入って1時間ほどかけて歩くと、体が温まってほんのり汗ばみ、喉もカラカラになってしまいました。「酒類持ち込み禁止」の規則を忠実に守ったことを僅かに後悔しながら歩いていると、レストラン「ゆりのき」がありました。メニューにはビールが。窓側の席を陣取りちょっと早い乾杯。ここはお薦めスポットです。ただし16時閉店なのでご注意を。
(右:結局最後はコレ。それにしても銘柄がHeart Landとは脱帽。恐れ入りました。)


暮らしの道具~秋田で見つけた貝風炉(きゃふろ)

2007年01月29日 15時43分51秒 | インポート

 旧十二月十一日。寒の真っ只中のはずなのですが、この超暖冬ぶりはどうしたものでしょうか。雪の便りよりも先に花の話をよく耳にしますね。

129kakunodate  さて、少し前のことになりますが昨年末に秋田に行ってきました。東京がクリスマスムード一色で彩られていた頃、“陸奥の古都”と呼ばれる町、角館はひっそりと静かな時間が流れていました。4年前の9月に伝統ある「角館祭りのやま行事」を見物に行って以来です。勇壮で華やかな祭りの時期とは対称的に、静かな雪の季節に訪れてみたい、という願いが叶ったわけです。夜更けに降った雪が、この町の名物である垂れ桜の枝に降り積もって、早朝北国のか弱い陽光に照らされるさまは、感動的な美しさでありました。

 地方の町を訪れた際の楽しみに、古道具屋さんを覗いてみる、というのがあります。角館にも魅力的なお店を見つけました。古い商家が多いこの町でも、このところは世代が替わるタイミングなどで蔵を開けて、古い生活の道具などを処分してしまうことが多いそうです。訪れたお店で、食器や道具などを見ていると、これまでに見たこともないような道具に目が留まりました。
129kyafuro1ご主人によると最近ではすっかり珍しくなったもので、大正時代頃に作られた【貝風炉(きゃふろ)】という品物なのだそうです。

 貝風炉とは秋田の伝統的な一人用の炭火コンロで、特に秋田の郷土料理“貝焼き”のための道具です。
素焼きのシンプルなコンロに炭を熾して、大きめな帆立貝の殻を乗せ、魚介類や肉、野菜を煮て食べることを総称して秋田では“貝焼き”と言うのだそうです。その代表的な料理が“ハタハタの塩汁貝焼”です。昔は男の子が成長して一人前になったら、その証として夕食の際に自分専用の貝風炉とお膳が用意されたのだそうです。

 この珍しい貝風炉に、簡単に漆を塗った木の台、129kyafuro2 そしてなぜか帆立貝の殻ではなくてこれまた珍しい土瓶がセットになって、なんと2000円というお値段。嬉しい収穫でした。東京に戻ってきて、早速貝焼きでもと大きめの帆立貝の殻を探しているのですが、なかなか適当な大きさのものが見あたりません。では、土瓶に湯を沸かして熱燗でも、と思ったものの、どうにも暖かくてその気になりません。暖かいのは助かるけれども、調子がおかしくなってしまいます。寒にはそれなりの楽しみがあるわけですからね。

(写真上:雪晴れの朝、角館武家屋敷の通りはシーンと静まりかえっていました。/写真中:これが貝風炉。漆を塗ることによって格調高く見せています。/写真下:なかなかお目にかかることもなくなった土瓶。)


七草粥の追記(北国では)

2006年01月13日 15時27分29秒 | インポート

 旧十二月十四日。寒の真っ只中。まだまだ寒い日続く日本列島です。明日は十五夜ですが、久しぶりに暖かい空気に包まれ、雨模様になるところが多いようですね。
 さて、前回、前々回は『七草粥』のご紹介をしました。「雪に覆われて七草が芽生えていない寒いところでは、どんな七草粥を食べていたのでしょうか」と疑問が沸いてきたのですが、こんな記述が本にありましたので、参考までにご紹介します。場所は岩手県中部、盛岡の少し南に位置する紫波町周辺の模様です。

正月七日に食べる七草がゆは、この地方ではかゆの中に七草を入れるのではなく、白米でつくった白いかゆと、別に数種類の野菜を入れた醤油汁をつくって、お歳神さまに供えてたべる。野菜は、にんじん、ごぼう、干し大根、いもがら(里芋の茎)、それにせりと高菜を入れる。せりや高菜は雪の下で凍っているものを掘って使う。冬に野菜を食べると、心なしか精がつくように思われるものである。「日本の食生活全書3『聞書 岩手の食事』」(農文協刊)

 この本は12/22にアップした「ひときわ寒い“冬至”ですね」でも引用させていただきました。1980年頃に土地土地に暮らす明治・大正時代生まれの方から取材してまとめられています。今となっては貴重になりつつある、郷土食に関する知恵がぎっしり詰まっています。全国各都道府県版がありますので、ご自分の出身地や、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんが暮らしていた土地を調べてみると興味深いと思います。自分の味覚のルーツが見えて来たりします。大きな本屋さんや図書館などにありますよ。