"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

『居酒屋寄席~暑気払いの会』ご来場感謝

2012年07月23日 16時38分23秒 | 主催する催し

 旧六月五日。昨日は二十四節気の【大暑】。

  暑気いたりつまりたるゆえなればなり
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 ということではあるのですが、三日前の金曜日から東京は5月上旬頃の陽気。連日30℃越えだったそれまでの一週間が嘘のようにがらりと空気が入れ替わり、最高気温は23℃くらいと、うっかりしていれば風邪をひいてしまいそうな気温です。暑気払いといきたいところですが、過ごしやすい陽気に暖かい料理が恋しくなる数日間です。でもそれも今日まで、明日からは本格的な猛暑がやってきそうです。

 そんな、梅雨明けの酷暑の頃と目論んで『居酒屋寄席~暑気払いの会』と題した恒例の落語会を7月21日土曜日に渋谷の居酒屋・ニュー信州で開催しました。いっぱいのお客様にお運び頂き、感謝しております。どうもありがとうございました。
 今回のご出演は立川志の輔一門の若手、立川志の八さんと立川志の春さんのお二人。意外なことにこの二人による兄弟会は初めてということで、期待が高まりました。

 
B0722shinoharuまず高座に上がったのは志の春さん。噺は本来の上方落語で有名な「不動坊」。テンポのいい長屋のドタバタ滑稽噺で、江戸の長屋の情景が浮かんでくるような味付けが見事でした。二席目は志の八さんによる「青菜」。この噺は居酒屋寄席がスタートのきっかけを作ってくれ、第10回まで毎回出演して頂いていた亡き立川文都師匠の十八番です。文都師匠は上方落語のスタイルで、関西の上品な旦那様をビシッと演じ、その立ち振るB0722shinohachi舞いが実に涼しげでありました。 志の八さんによる江戸前テイストの「青菜」は、旦那さんの接待振りを長屋に帰って真似ようとする植木屋とその妻、巻き込まれる大工の熊のやりとりを大きなアクションを交えて演じ爆笑を誘います。同じ噺でも随分と違った印象となるものですが、志の八さんのオリジナリティを散りばめた高座はとても素晴らしかったです。

 落語の後は、演者によるトークコーナー、というのが『居酒屋寄席』の定番になってきました。
B0722talk志の八さんは虎、志の春さんは龍の柄を染め上げた浴衣に着替えて登場です。長い間共に前座修行をしてきた、ということで二人の出会いから、修行中のエピソードをたっぷり聞かせてくれました。 内容はずべて「ここだけの話」ですが、偉大なる志の輔師匠の普段は見ることのない師匠らしいお姿が目に浮かんで、会場は多いに盛り上がりました。

 落語~トークコーナーに続いて、恒例の酒宴です。
B0722masuichiお二人の発声で乾杯するお酒は、居酒屋ニュー信州からのお振る舞いです。取引のある酒屋さんから特別にわけてもらったというお酒は、静岡の「満寿一 大吟醸」。150年以上の歴史を刻んで来たこの蔵は、全国でただ一人となってしまった志太杜氏が醸していましたが、 惜しまれつつ昨年度をもって酒造りを休止してしまいました。 その最後の志太杜氏である蔵の専務・増井浩二さんが今年始めに49歳という若さで食道がんのため亡くなってしまったのです。そんな二度と味わうことのできない渾身の一本を宴の幕開けに頂きました。

 宴の半ばには、代官山で別のお仕事をされていた一番弟子の立川志の吉さんも合流し、
B0722sanbonjime志の輔一門、三兄弟がそろい踏みとなりました。あまりこういう機会はない、ということですが、楽しいひとときはあっと言う間に過ぎ、三兄弟の音頭により三本締めでおひらきとなりました。ありがとうございます。
(満寿一以外の写真は水野稔さんによるものです。ありがとうございます)


星空は旧七夕をお楽しみに

2012年07月07日 15時25分12秒 | 主催する催し

 旧五月十八日。二十四節気の【小暑(しょうしょ)】です。

  大暑来れる前なればなり
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 とまあ、至極当たり前なことが記されている通り、じわじわと夏の暑さを実感じ始めるときということなのだと思います。冷たくしとしとと降る雨から、蒸し暑さの中、時折激しく降るように変わり、いよいよ梅雨も後半戦に突入です。
 今日は七夕ということで、各地で様々な催しが行われています。B0707tanabata 築地波除稲荷神社でも、『五節句・竹の神事「星祭」』が執り行われていました。
 空模様は生憎。牽牛星と織女星が年に一度天の川をはさんで出会うロマンティックな七夕の伝説を見届けようにも、厚い雲に覆われ星を愛でることもできません。残念ではありますが、ならば旧暦の七夕を楽しみに待つことにしましょう。
 そもそも五節句は旧暦で行われていた行事です。今年の旧七月七日は、8月24日金曜日です。すでに初秋を感じる爽やかな夜空に煌めく星に期待しましょう。旧暦の七日、ということはこの日は毎年ほぼ上弦の月です。だいたい夜の9時半には月が沈み、星の煌めきが一層ひきたつ漆黒の夜空となります。

 どうかお忘れなく、旧暦の七夕は8月24日金曜日です。この夜は星空を眺めましょう。