旧三月三日。五節句の一つ、【上巳(じょうし)】です。“暮らしのリズム”では、「節句は旧暦で祝いましょう」と提唱して来ましたが、
まさに桃の節句にふさわしく、桜とともに桃の花が見頃となっています。
節句は、古く中国で行われていた行事ですが、平安時代の頃に日本に伝わり、貴族の間で定着して行ったとされています。それが、江戸の初期に庶民の間に広まり、この【上巳】も、【雛祭り】として浸透しました。五節句の中でも、特にこの【上巳=桃の節句】、【端午の節句】、【七夕】の三つが、特に季節感を感じる祝い事として、浸透しています。
今日は、満開の桜を愛でながらのお花見、という方も多いと思いますが、「雛祭り」のお祝いもしっかりとやりましょう。女性の皆さん、しっかりアピールを。
旧二月二十二日。昨日は彼岸の中日。いよいよ春本番。二十四節気の【春分】に入りました。
日天の中を行きて昼夜等分の時なり
『暦便覧』(天明八年/1788年発行)
木曜日に雨を降らせた低気圧が北海道の東沖合で、台風並に発達し、日本海側や北日本では真冬のような大雪と寒さに見舞われました。彼岸の東京では、火曜日の「春一番」とは一転、北からの冷たいからっ風が吹き荒れました。それでも、空は青く、日差したっぷりで一気に春が進んだのではないでしょうか。
春分の日と今日、芽吹く春を眺めつつ近所をウロウロしてみました。それにしても青空が綺麗です。風が弱ければ、きっともっと霞んでしまうのでしょう。春の花や新緑は、澄み切った青空に良く映えます。
モクレンの"白"が眩しいです。この花は毎年、桜よりも正確に花を開いているように思います。お彼岸後半の風物詩です(写真左上:月島の「わたし公園」にて)。芽吹いたばかりの柳の枝は、芸術的な美しさです。強風にあおられて大暴れしてる様は、圧巻でした(写真右上:木場公園にて)。早咲きの桜は、実に色々な種類があります。これは、淡いピンク色の花で、雄しべが多くて長いのが特徴でした。実はこれ、"さくらんぼ"の木なのです。5月中旬頃になるとたくさん実って、実際に美味しく食べることが出来ます(写真右下:佃の某所にて)。菜の花も種類は多いようで、少しずつ花期が違います。写真のこの花は、葉が少なく、花を引き立てています(写真左下:木場公園にて)。
日々刻々と表情を変える春。これからが本番です。ぜひ満喫しましょう。
旧二月八日。今月も、1月と同じように、旧暦と新暦の日付がシンクロしています。ということで、今日の月は上弦です。太陽と直角に位置していると思えばいいわけですから、日没の頃、頭上真上を観てみましょう。
二十四節気では、一昨日の3月6日に【啓蟄(けいちつ)】に入りました。
陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ずればなり。
『暦便覧』(天明八年/1788年出版)
二十四節気では、陽気や植物の状態に関する名称がほとんどなのですが、唯一【啓蟄】だけは、生物の状態を表しています。春を待ち望んでいる人間の感情の強さをうまく表現しているのではないでしょうか。
【立秋】過ぎて暑い陽気のことを「残暑」と言いますが、その反対に、【立春】後の寒陽気のことは「余寒」というのだそうです。"暑さは残り、寒さは余る"。このニュアンス、昔の人は巧いことを言うもんだなぁ、と感心してしまいます。今年は、「余寒お見舞い」なんていう言葉がやりとりされてもいいのでは、と思うほど寒い日が続いています。
それでも、日差しがある日中は、暖かさを感じられるようになって来ました。地中から眠りを覚ますのは、虫だけではないようです。昨年もこの写真はアップしましたが、隅田川沿い石川島の土手には、クロッカスの球根が植えられていて、山吹色の花が一斉に開いています。このあとは、桃色、紫、青など、カラフルな花が次々に咲くので楽しみです。陽の当たる角度が大きくなってゆくのを実感します。
梅の花のタイミングには、早咲きの桜、大島桜や河津桜が咲き始めます。鮮やかなやや濃いめの花色から、とても華やいだ雰囲気を醸し出します。写真は、江東区の木場公園東側の大横川沿いに植えられた早咲きの桜。樹齢は若いようですが、見事な花付きです。余寒厳しい折ですが、良く晴れた日は、早春の花々と青空とのコントラストが絶妙です。一足早い花見で一献でも。花粉対策を怠りなきように。
旧正月八日。昨日は正月七日。五節句の最初【人日】の節句でした。節句はぜひとも旧暦で季節感を味わいたいものです。
このところにわかに暖かい日があったと思い、ちょっと気を緩めていたら、【立春】を迎えた2月4日の午後には東京でも雪が舞いました。。
春の気 立つをもってなり。
『暦便覧』(天明八年/1788年出版)
暦どおりの立春寒波の到来です。日差しはたいぶ強さを感じるようになって来たのですが、それでも気温が上がらない。この寒さ、まだ数日は続くそうです。
【人日の節句】といえば【七草粥】です。そもそも、旧暦の人日の頃には、日当りの良い野原に春の七草が芽吹きます。それでも北国や雪国ではまだまだ。夏や秋に収穫して塩漬けや乾燥で保存していた青物、あるいは小豆などの豆類で七草粥を炊いたとされています。現代においては、旧暦に合わせて七草セットを売る店もなく、在り合せの青物で七草粥を作りました。青物は、かぶの葉・カリフラワーの葉・セロリ・青葱・大根・大根葉のぬか漬け。一つ足りませんが、まあ良しとしましょう。陽が傾くと一気に冷え込む早春の頃、粥を口にするとひと時でも暖まります。
このブログでは、毎年この時期になると登場するのが【まんさくの花】です。先ず咲くからこの名がついたとされるほど、早くに開く木の花。よーく見ると、折り畳まれた花びらが、帯を解くように長く伸びようとしています。梅の花の季節になると、すぐに忘れられてしまう存在ですが、まずひとつ、春を感じてみましょう。
旧一月朔日。旧暦のお正月です。
ということで、旧暦の初日の出を拝みに行ってきました。1月1日から31日。日の出もかなり早くなったのかな、と思って暦を見ると、意外にも8分しか早まっていません。それでも、新元旦と比べて、日の出のポイントがいくらか東に動き、昇った朝日の眩しさは、瞬く間に力強さを増しました。まだ寒中ですが、春に向けて季節は確実に進んでいます。東京は暖かく穏やかな旧元旦でした。
(写真は永代橋の少し下流。新川の土手から臨む旧暦の初日の出)
その寒中も、月曜日の「節分」まで。あと3日間です。週間天気予報によると【立春】頃から、また寒さが戻るそうです。少しずつ「三寒四温」の気配がしてきましたが、焦らずじっくり春の日を待つことにしましょう。