"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

ひときわ寒い“冬至”ですね

2005年12月22日 12時43分31秒 | 季節のおはなし

 旧十一月二十一日。月は下弦まであと二日。朝、勝どき橋を築地方面に渡るとき、西の空にぽっかり浮かんでいました。今日は冬至です。


 “日南の限りを行きて、日の短きの至りなればなり”
(暦便覧より)

 冬至にはかぼちゃを食べ、ゆず湯に入る、という風習が各地に残されています。古く中国ではこの日を太陽運行の起点としていて、翌年の暦を作成する重要な日として、お祝いする風習があったそうです。その伝統が伝わっているのでしょうか、この日に食べるかぼちゃの料理は、神様とともに食べる行事の食事を意味する“晴れ食”に数えられています。岩手県の北部に伝わるかぼちゃ料理について、こういうお話があります。

冬至の晩には広くかぼちゃを食べる習慣があって「冬至かぼちゃ」と呼ばれている。雪が深いため、このころになると野菜がとぼしくなるが、かぼちゃは固い皮に守られているため貯蔵がきく。かぼちゃがおいしいのはこの頃までで、「冬至かぼちゃに年をとらすな」ともいう。冬至かぼちゃとしては、かぼちゃ入りのあわがゆを食べるのがふつうだが、これに小豆を加えたもの、またあわを入れずに小豆かぼちゃをこしらえる家もある。
「日本の食生活全書3『聞書 岩手の食事』」(農文協刊1984)

 また、ゆず湯に浸かるのも、風邪をひかなくなる、とか無病息災を願う、といった民間信仰の風習によるところです。特に寒さが厳しい今年の冬至。ゆず湯と冬至かぼちゃで暖かくお過ごし下さい。

 さて、例年ではこの頃を境に冬将軍が本格化する、ということですが、今年はいったいどうしたことでしょうか。日本列島は猛烈に強い寒気に覆われていて、各地で記録的な豪雪に見舞われているそうです。朝の天気予報で雪だるまのマークが無いのは東京だけでしたね。南国というイメージが強い鹿児島や高知でも雪に覆われている様子が報じられています。停電や、交通機関への影響で被害を受けている地域の方には、心からお見舞い申し上げます。


居酒屋寄席~師走の会~ビジュアル版です

2005年12月17日 14時55分21秒 | 主催する催し

旧十一月十六日。満月を一日過ぎた【十六夜(いざよい)】です。
東京では乾燥した晴れの日が続いていて、このところの明るい月を毎日眺めることができましが、日本列島の大半では雪雲に覆われているそうです。一足早い猛寒波はいつまで続くのでしょうか。

先日(12/10土曜日)の居酒屋寄席の模様、一緒にイベントを作ってくれている仲間たちから写真が届きましたのでご紹介します。ぜひご覧ください。

12-15bunto1今回の出演者のご紹介です。居酒屋寄席といえばこの人、立川文都師匠です。今回はお客様への振る舞いで、このブログでご紹介した自家製味噌の味噌汁があります、
と話したところ「ほな、さげに味噌が出てくる『軒づけ』をやろか」とご提案いただき、お願いいたしました。12-15shinokichi2義太夫好きの仲間たちによる滑稽なやりとりがなんとも可笑しいですね。(↑太棹三味線で「テ~ンッツ、テンテ~~ン」と文都師匠)
 そして、前回に続いて二度目の出演となりました立川志の吉さんは『初音の鼓』でした。
(→「コ~~~ン!」と鳴く志の吉さん)

この夜の酒肴には『冬支度』をイメージして、乾物や根菜の煮物などを中12-15sakana心に考えました。そもそもは雪に閉ざされる長い冬を乗り切るための先人の知恵ですが、便利になった現代でも季節の味として美味しくいただけるものばかりですね。
(←左上から時計回りで:長ひじきの煮物、焼おにぎり、八頭の煮物、きぬかつぎ)


 今回季節を感じる趣向としてニュー信州店主・榎慎一さん(通称:しんちゃん)が提供してくれたのが芋焼酎『紅椿』です。明治27年創業という鹿児島県日置郡市来町にある白石酒造は、今となっては貴重な、すべてかめ壺で仕込む手間暇かけた製法を貫いています。その蔵でもっとも貯蔵期間が長い限定品の焼酎が『紅椿』です。世の中まだまだ焼酎ブームといわれていますが、知る人ぞ知る銘酒に違いまりません。
焼酎に合わせて、なんとその『仕込み水』、そして原料となっている芋『黄金千貫、黄金紫、隼人ゴールド』の珍しい天ぷらをご用意いたしました。12-15furumai2ご来場いただいた皆様、いかがでしたでしょうか。(→写真左上から時計回り:焼酎仕込み芋3種の天ぷら~高座横に焼酎・仕込み水・仕込み芋~“暮らしのリズム特製”味噌の味噌汁~開場前に試食してくれた志の吉さん)
 そして、不肖私が仕込み1年と8ヶ月熟成した自家製味噌の味噌汁です。美味しかったら椀種(天然なめこ、山竹の子、浅葱)と出汁(鯖節と鰹節)、そして慎ちゃんの腕がよかったのでしょう。とはいいながらも、皆さんが美味しいといって楽しんでいただいてるのが、何より嬉しかったです。少しは自慢できる手前味噌でしょうか。やはり日本人には欠かすことのできない調味料、発酵食品なんですね。たくさんの方と味噌のお話をしました。「味噌仕込みのイベントとかやりませんか」なんていう甘い言葉に揺り動かされて、結構その気になって企画しようかな、と思っています。いかがでしょうか?

写真を提供していただいた平野さん、水野さんありがとうございました。 


居酒屋寄席~師走の会~ご来場感謝

2005年12月12日 18時23分41秒 | 主催する催し

 旧十一月十一日です。第一級の寒波が日本列島を覆っています。豪雪地帯は大雪の模様です。日本海では海も荒れて船が出せず、漁もお休みの日が続いているとか。寒鰤が恋しくなります。

 さて、先週の土曜日、12月10日、6回目を迎えた居酒屋寄席にたくさんのご来場を頂きまして、ありがとうございました。感謝しております。立川文都さん、立川志の吉さん、ニュー信州の店主“慎ちゃん”の素晴らしいパフォーマンス、そしてお客様一人一人のお陰様をもちまして、楽しいイベントになったと思います。

 今日は、取り急ぎご来場感謝のお礼まで。趣向など詳細レポートは、日を改めてゆっくりご報告させて頂きます。お楽しみに。
 


「あらかわの伝統技術展」に行ってきました

2005年12月07日 13時13分15秒 | 手しごと

 旧十一月七日。居酒屋寄席が今週土曜日に迫って参りました。ご予約頂きました皆様、今回も趣向、酒肴など色々企画してご来場をお待ちしています。どうぞお楽しみに。
 寒い日が続いています。今日は二十四節気の【大雪】。「雪いよいよ降り重ねる折からなればなり」とは今から217年前、天明八年に出版された『暦便覧』にある大雪の説明です。長く秋が暖かかった反動からか、厳しい冬の訪れがいつもの年より大分早いように感じます。12/4(日)の朝、郊外にて僅かにちらつく雪を見ました。風邪やインフルエンザが流行り始めています。皆さん気をつけましょうね。

12-7arakawa1 さて、先週の土曜日(12/3)、東京・荒川区で開催されたイベント『あらかわの伝統技術展』を見に行ってきました。区内と近隣から総勢70名の職人さんが集結し、体育館のフロアーに特設のブースを設けて実演・作品の展示・即売を行います。2年前の秋に小金井にある江戸東京たてもの園を訪れた際、荒川区の漆職人・角光男さんが実演しており、そこで配っていた案内を見て足を運んだのが最初で、今回は二度目でした。どんな職人さんなのか、ざっとご紹介しましょう。

更紗染、象牙挽物、仏壇彫刻、桶、べっ甲細工、刷毛、桐箪笥、つまみかんざし、菓子木型、裁鋏、木版画摺、和竿、鍛金、提灯文字、手描友禅、扇子、指物、衣装替人形、額縁、金切鋏、のれん染、勘亭流・江戸・寄席文字、人形結髪、鋳造、唐木細工、人形生地、犬張子(添付画像です)、人形頭、花かご、印章小箱、漆塗、水引、絵馬、押絵羽子板、組紐、棕櫚たわし、扁額作り、江戸切子、洋裁、和裁、宮師、金属彩色、貴金属加工・・・・

12-7arakawa2と大変盛りだくさんです。落語や時代小説で描かれた江戸の風景には職人の存在が欠かせません。それが今の東京、しかも荒川区という限られてエリアで、こんなにもたくさんの職人さんが、伝統工芸品の製造と継承で活躍しているとは驚かされますね。日常生活においてはなかなか身近ではない作品が多いのですが、一つ一つ高度な技術と伝統の重みを感じるものばかりです。知らず知らずのうちに実演している職人さんの手元に、視線が釘付けになってしまいました。自治体を挙げてこういうイベントを企画運営していることは素晴らしいことですね。今回で第26回と、イベントそのものも伝統的になってきたようです。