"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

旧暦七夕~夜空を見上げてみましょう

2014年08月02日 10時10分56秒 | 季節のおはなし

 旧七月七日。二十四節気の大暑に入っ日に関東地方では梅雨が明けました。そこからは連日連夜この猛暑。涼を求めあの手この手の日々となっています。暑さに負けていませんか?

 五節句は
旧暦でお祝いしましょう!今日は旧暦の七夕。8月最初の土曜日ということもあって、各地で花火大会が催されるようです。花火のあとの静かな夜空を見上げてみましょう。
 旧暦であれば月も毎年同じ。上弦に満たない七日目の月が宵の口に沈み、空は暗く星空を浮き上がらせてくれるでしょう。狙い目は、21時過ぎ。東の空に一等星による夏の大三角形が現れます。頂点がこと座の「ベガ(織姫星)」、底辺の右がわし座の「アルタイル(彦星)」、底辺左がはくちょう座の「デネブ」です。空気が澄んだところでは、三角形の中を流れる天の川が見えることと思います。どうぞお楽しみに。

 ところで、ひと月ほど前に、10年弱暮らした月島を離れ、少し東へ入った江戸川区船堀というところに引越しをしました
14_08_02shinkawa 「江戸川」「船」「堀」とは、風流なの町を連想させられます。町名の由来は、町の南を東西に貫く「新川」にあるとのことです。 寛永6年(1629年)に行徳塩田から江戸への塩の搬入路としてこの川が開削されたことによるのだそうです。物資の輸送だけではなく、江戸から成田詣でにいく人々を乗せた船で賑わっていたということで、今では、川辺が往時のように再整備され、素敵な風景を作っています。

 その他にも、水路や小川を整備した親水公園が区内にはたくさんあり、水運・水郷の町だったことが偲ばれます。
14_08_02funabori 手拭や浴衣の染色工場もあります。今では、工場内で井戸水と機械で行うようですが、かつては色留めの糊を洗い流すために、綺麗で豊富な水量の川が必要でした。
 また、近所には金魚の養殖場や、競り場があります。関東大震災後の大正末期~昭和初期に、養殖場が郊外へと移る過程で、この地に根づいたとされています。現在は2軒が残るだけとなっていますが、良とは切っても切れない関係にあることが伺えます。
 町工場や倉庫と住宅が混在する町ですが、機会がありましたら、ぜひいらしてみてください。


【寒露】秋深まれど・・・

2013年10月08日 09時05分08秒 | 季節のおはなし

 旧九月四日。二十四節気の【寒露】を迎えました。

  陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすればなり
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 朝夕など野草につく露のことを寒露と言います。冬鳥がぼちぼちやってきて、コオロギが鳴き止む頃とされていますが、やってきた冬鳥はこの暑さに驚くでしょう。そしてまだ蝉の声を聞くこともあります。強い台風の影響なのでしょう。今日の関東地方では30度に達するところもあるようです。なかなか衣替えが出来ない今年の秋です。

 それでも秋はしっかりと深まっています。野の花では、コスモスに続いて彼岸花、金木犀、
と、秋を代表する彩り、香りが癒してくれます1008cosmos これから10日間、暦を見ると、秋を象徴する行事が続きます。(写真は春の菜の花を併せて名物となっている旧浜離宮恩賜庭園のコスモス)
 10月13日の日曜日は、
旧暦の九月九日。五節句の【重陽】です。"菊の節句"と呼ばれるこの日は、邪気を払って長寿を願い、菊の花を飾ってお祝いをする日。五節句の中ではやや陰が薄い感じがしますが、本来最も厳かで、歴史を感じさせる"大人"の行事でした。今年は三連休のなか日。家族とともに静かな酒宴を楽しむというのはいかがでしょうか。
 そして、10月17日
の木曜日は、旧暦九月十三日。【十三】です。旧八月十五日の【中秋の名月】に対して、のちの名月と呼ばれ、この二回のお月見をすると縁起がいいとされています。また、中秋の名月を別名「芋名月」と呼ぶのに対し、十三夜は「栗名月」と呼ばれています。確かに、里芋の白くて丸い満月に比べて、すこし欠けた栗のような形が印象的なのでしょう。それぞれの収穫時期にも合っているように思います。新米のもち米で蒸し上げた栗ごはんが合いそうです。

 こうして秋の行事を一つ一つ楽しんでいると、月日が加速度を増して進み、あっと
言う間に師走、ということになるのは例年のこと。日没の時間がどんどん早くなるのも影響しているのかも知れません。慌ただしくなる前の静かな晩秋をお楽しみください。


秋分に手前味噌2013の蔵出し

2013年09月23日 13時02分42秒 | 季節のおはなし

 旧八月十九日。二十四節気の【秋分】に入りました。

  陰陽の中分なればなり
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 今年は梅雨明けが早く(東京で7月6日)、暑気、残暑共に厳しかったのですが、秋めいてくるのも早い気がします。「暑さ寒さも彼岸まで」の通り、日中はまだ汗ばむことがあっても、朝晩の涼しさはひとしお。日々秋が深まってきました。
0923higanbana  秋の彼岸
の頃に正確なタイミングで咲く彼岸花も、あちこちで見ることができるようになりました。毒々しさを感じさせる紅の花が目を引きますが、淡い黄色の彼岸花を植えているところも多くなり、こちらはどことなく優しさを感じさせるものがあります。写真の花も、夕陽に染められて秋らしい風情でした。(豊洲のテラスにて)

 さて、半年前の春分に開催した『手前味噌仕込みの会』。今年は大豆こうじと米こうじのブレンドで仕込みました。暑い夏を越し、参加された皆さんの家でどんな味噌熟成しているのでしょうか。
0923misokame  拙宅では、大豆こうじと自家培養米こうじを半々で仕込みました。仕込んで2カ月位経った頃に、一度開けて味噌の様子を見たのですが、その時の色は淡く、舐めてみるとちょっと酸味を感じたのです。「これはひょっとして失敗したかな」と不安になったのですが、怪しいカビ類発生しておらず、そのまま蓋をして置いておきました。
 で、今回。色は市販の赤味噌に近いところまで進んでいます。
味はというと、あの時の酸味が少し変化して個性的な風味に変わっていたのです。それこそ、大豆こうじ100%の八丁味噌の風味というわけです
0923mamemiso  八丁味噌は3年ほどかけて熟成させ、
チョコレートのような濃厚な色と独特の風味になっています。中京地区以外では、出来上がった八丁味噌こそ入手できても、熟成過程の若い八丁味噌に出会う機会はまずないでしょう。ということで、この味噌は、長期熟成された豆味噌の風味をんの少し感じさせる段階なのです。
 将来性を感じさせる味噌です
。もう少しすると"天 のなめこ"が手に入るでしょう。年明けに旬を迎える"寒しじみ"もいいかもしれません他にも"味噌煮込みうどん"、"朴葉味噌"、"ふろふき大根"・・・。いろいろ味わえそうな今年の手前味噌です。


残暑の頃 この姿の月は旧七夕なり

2013年08月13日 22時41分48秒 | 季節のおはなし

 旧七月七日。そう、今日は旧暦の七夕です。「五節句は旧暦で」と“暮らしのリズム”では提唱していますが、今日はまさにその日です。
 上弦の半月までもう少し、というのが七日の月の
姿です。日中は雲が多かった東京でも日暮れ頃には晴れて、七夕の月が西の空に輝いていました(写真は19時頃、月島の左岸から芝浦方面を望む)0813kyutanabataそしてだいたい22時前後にゆっくりと沈んでゆきます。そうなると、星空が明るく綺麗に見ることができるでしょう。例年だとこの頃、盛夏の頃とは少し違って、夜風が心地良く、空も高く感じられるものです。
 今年の東京は、まだまだ夏の空気がどっしりと腰を下ろしています。
霞んでしまってあまり星空を望むことが出来ませんが、お盆休みで空気の澄んだところに行かれている方は、この七夕の夜、満天の星空を眺めて頂きたいと思います。


梅雨明けと共に"暑気"の入りかな

2013年07月07日 14時12分22秒 | 季節のおはなし

 旧五月二十九日。まったくピンと来ないかも知れませんが、今日のこの青空が、今年最後の【五月晴れ】ということになります。明日からは旧六月です。

 そして、今日は二十四節気の【小暑】です。今日から
立秋前日の8月6日までのことを【暑気】と言います。

大暑来れる前なればなり。
       『暦便覧』(天明八年/1788年発行)

  とにかく暑くなりますよ」ということを言いたいのでしょう。それにしもて、ドンピシャで関東甲信越は昨日に梅雨が明けてしまい、一気に真夏の空気に包まれてしまいました。これは平年より15日早く、去年より19日も早いそうです。地中の蝉も慌てていることでしょう。
 今年は梅雨入りも随分と早かったものですから、季節がぐっと前倒しになっている感じがします。0707tanabata夏から秋の花である、ノウゼンカズラや、百日紅も早々と花を咲かせています。長く暑い夏になりそうです。熱中症には十分に気をつけましょう。

 そして、今日は新暦の七夕。例年より早く夏空となり、しかも新月前夜ということもあって、空気の澄んだところでは天の川よく見ることができるでしょう。それでも、“暮らしのリズム”では「節句は旧暦」で参りたいと思います。今年の旧七夕は、8月13日。月遅れ盆の頃になります。(写真は10日ほど前、木場公園にて)