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"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

福島・いわきの『じゃんがら念仏踊り』

2011年08月08日 19時13分14秒 | 催しごと

 旧七月九日。二十四節気の【立秋】です。

初めて秋の気立つがゆへなれば也
        『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 今年はどうも夏が行ったり来たり。早くに梅雨が明けたかと思ったら、戻り梅雨のような涼しい日が続いたり。この頃は盛夏の様相が続いています。秋の気は立っているのでしょうか。着実に日の出が遅くなり、暗くなるのも早くなってきていることでしか秋を感じることが出来ないように思います。

0808yugyouji 旧暦の七夕の夕、このあいだの土曜日に、藤沢にある遊行寺の盆踊りに行ってきました。盆踊りの元祖と言われている踊り念仏で日本全国を歩き念仏を広めた一遍上人が開祖の時宗総本山がこの遊行寺。正式名が「藤澤山無量光院清浄光寺」で、藤沢という土地の名のルーツとなっている名刹です。

 今年で6回目となる『藤沢宿 遊行の盆』。1回目の2006年に秋田の「西馬音内盆踊り」と富山の「おはら風の盆」が招待され、その舞台公演を観に行ったのが出会いでしたが、遊行寺境内で行われる盆踊りは今回が初めて。0808nishimonai箱根駅伝でも難所として知られる斜面にこんもりとした森が広がり、荘厳な本堂を始めお寺の建物が建ち並んでいます。蝉しぐれに包まれ、趣と凛とした空気に包まれた、とても清々しい境内でした。

 今回は“つるとかめ”の木津茂理さん(左の写真中央で水色の着物が茂理さんです)がご当地盆踊唄の太鼓を叩くというので、勇んで出掛けて行ったのもあるのですが、西馬音内盆踊りも招待されているので、こちらも楽しみの一つ。残念ながらお囃子は来ておらず、録音音源によるものでしたが、艶っぽい手先の動きを伴う踊りは、やはり素晴らしく、うっとりとしてしまいます。

 そしてもう一つ。これはほとんど予備知識がなく、ノーマークだったのですが、心を打たれました。福島県いわき市の『じゃんがら念仏踊り』。
 横に並んだ太鼓が三人。小さめの長胴の締め太鼓を柔らかいマレットのようなバチを両手に持って踊りながら叩きます。その周囲を鉦を打ちながら7人くらいだったでしょうか、輪をなして踊り歩きます。一つの踊りが15分くらいだったかと思いますが、踊り手たちの高揚感が一体となって独特のグルーヴを生んでゆきます。それは決して聴衆に対して見せ場を作る、というものではなく、内なるところから自然に湧き上がってきているように感じました。だからこそ心を打たれるのでしょう。地域に根ざした民俗芸能のあるべき姿です。
 この『じゃんがら念仏踊り』は、毎年8月13日から15日。新盆の家に行き、供養の踊りをするのが習わしとのことです。福島県災害対策本部が8月1日に発表した被害状況即報第314報によると、東日本大震災によるいわき市の死者は308人。さらに40人の方の行方がまだ不明ということです。『じゃんがら念仏踊り』の担い手たちにとっても、誰かしら近しい人が深刻に被災していることと思います。今年のお盆。彼らは哀しみを胸に何回踊ることになるのでしょう。一人一人が抱く強い想いを感じ取ることができました。この夜に観た『じゃんがら念仏踊り』きっと忘れることはないでしょう。

【時宗と遊行寺】は
http://www.jishu.or.jp/

【藤沢宿 遊行の盆】は
http://www.bonodori.net/fujisawa/fujisawa_top.html

【じゃんがら念仏踊り】は
http://ja.wikipedia.org/wiki/じゃんがら念仏踊り


もうすぐ梅雨明け?夏の催しいろいろ

2011年06月30日 17時42分30秒 | 催しごと

 旧五月二十九日。6月も今日でおしまい。夏越しの大祓えです。今年も半分が過ぎようとしています。
 火曜日の夕方から東京は梅雨明けしたのでは、と思わせるような盛夏の陽気が続いています。2時間くらい前から雲が広がり、雷鳴がだんだん近づいてきています。大粒の雨も降ってきて、これで少しは涼しくなってくれるでしょうか。梅雨明けもそう遠い先ではないようです。
 そして、明日は旧暦の六月一日。新暦のカレンダーと旧暦の日付が一緒になります。それすなわち日付で月の姿が見えてきます。そんなことで7月はちょっと旧暦ワールドを楽しんでみましょう。

 いろいろとご紹介したい、お薦めの催しや音楽のライヴがありますので、今日は手短にリンクを張ってご紹介します。夏のひと時、ぜひお運びください。

110704hikarijuku ◆木津茂理マンスリーソロライヴ
7月4日(月) 渋谷・JR新南口すぐ『光塾』19:30開演 3000円

澤田勝秋さん(津軽三味線・唄)とのデュオユニット“つるとかめ”でお馴染みの木津茂理さん(太鼓・唄・三味線)が、先月からスタートさせた月例ライヴの第二弾。ノンマイク・ノンPAで繊細な音の響きを感じていると、いにしえの日本人の心が伝わって来る、そんな暖かく力強いライヴです。
詳しくは『光塾』ホームページで。 

“つるとかめ
プロデュース 青山民謡酒場
110706cayflyer 表参道・spiral地下『CAY』19:30開演 
前3000円当3500円
7月6日(水)
つるとかめ(澤田勝秋・木津茂理)+坂田明(sax)・仙波清彦(drums/perc)
7月7日(木)
つるとかめ+澤田勝司・澤田勝成・澤田勝春・澤瀉秋子
“暮らしのリズム”が制作のお手伝いをしています。『青山民謡酒場』第三弾。今回はつるとかめをたっぷりお聴き下さい。東北の被災地に向けた二人からのメッセージは、かの地の唄です。皆さんも手拍子・合の手でしっかりパワーを送りましょう。
詳しくは『CAY』ホームページで。

“暮らしのリズム”『居酒屋寄席~梅雨明けの会』
068flyer
出演:立川志の春
7月9日(土)渋谷・居酒屋ニュー信州
18:30開場 19:00開演
3500円(先ずの一杯と季節の味覚お楽しみつき)

志の輔一門の若手が独演でたっぷり聞かせます。今年二つ目に昇進したばかりの志の春さんは、堂々とした語り口と落ち着いた雰囲気で噺の世界に引き込み、聞くものの心をしっかり捉えます。将来がとても楽しみな逸材として注目を集めています。涼しげな夏の味覚と銘酒を揃えてお待ちしております。
詳しくはこのblogのこちらをご覧ください。

浅草寺 四万六千日(ほおずき市)
0630hozuki7月9日(土)・10日(日)
浅草・浅草寺境内

この日に観音様をお参りすると四万六千日(約126年分)のご利益があるとされる、年に一度の縁日が7月10日です。芝の愛宕神社で行われていた縁日のほおずき市が浅草でも行われるようになって、本家を凌ぐ盛況ぶりとなっています。その起源は「ほおずきを鵜呑みにすると、大人は癪を切り、子供は虫の気を去る」という言い伝えによるそうです。夏の情緒満載で江戸の風情を感じさせるとても素敵な縁日です。ぜひ浴衣で。
詳しくは『浅草寺』のホームページで。

佃島の盆踊り
0718iidatsuneo 7月13日(水)~15日(金)
子供の部18:00~ 大人の部20:00~
中央区佃一丁目 佃小橋と隅田川の間の道

およそ350年の歴史がある東京に唯一残る古い形式の盆踊りです。唄は「佃島盆踊り唄」のみ。単調な形式の唄と太鼓が延々と続きます。無縁仏の御霊を供養するのが本来の主旨ですが、今年は東日本大震災で犠牲に亡くなられた方の新盆です。供養し復興を祈念します。お身内の新盆を迎えられる方もぜひ踊りの輪に加わって供養してみてはいかがでしょうか。
詳しくは『“暮らしのリズム”的できごと』で昨年の模様をご紹介したこちらをご覧ください。


寒中いろいろ

2011年01月15日 13時25分17秒 | 催しごと

 旧十二月十二日。月の存在感が日々強くなってきました。そして、今日1月15日は小正月です。
 小正月というと、旧暦の頃からの古い風習かと思えば、新暦(今の暦)になってからの事なのだそうです。月の姿が暦の基準であった旧暦の時代には、正月十五日が一年で最初の満月となり、この日を正月としていました。新暦になって1月1日元日を一年の最初の日として、大正月と呼び、対して1月15日を小正月と呼ぶようになったそうです。小正月には「左義長」「さいの神」とか「どんど焼き」と呼ばれる火を焚く行事がよく行われます。太くて長い竹を組み上げて枝や枯れ草で囲い、門松や注連飾り、書き初めを燃やすのです。わたしが以前暮らしていた川崎市麻生区では、木の枝に紅白の団子餅を刺してこの火で焼いて食べると、その年は無病息災で過ごせる、という風習がありました。
 1月6日の小寒で、寒に入ってから、今年は本当に寒い日が続いています。日本海側が豪雪で、太平洋側がカラカラ、という典型的な冬の天気です。寒いと人間もなんなとく動きが鈍くなりますが、そんな中の出来事をいくつか。

 お友達のイラストレーターでエッセイストの浅生ハルミンさんがイラストで関わっている展示 『日本の手技 一反のてぬぐい』(日本デザインコミッティー主催)が松屋銀座7階デザインギャラリー1953で開催されており、
0115tenugui先日見に行ってきました。季節を感じる色とりどりの手拭が展示され、ハルミンさんは会場の壁に、手拭ができるまでの伝統的な染色技法『注染』の作業をわかり易くイラストで描いています。ハルミンさんデザインのオリジナル手拭は会期に間に合わなかったようでまだ販売されていませんでしたが、展示されている手拭はお店で買うことが出来ます。1/24(日)まで開催されていますので、お近くにお出かけの折には覗いてみて下さい。
日本デザインコミッティーの告知はこちら
浅生ハルミンさんに関する“暮らしのリズム”的できごとはこちら
注染の工場、旭染工さんを紹介した“暮らしのリズム”的できごとはこちら

 久しぶりに旧浜離宮恩賜公園にやってきました。昨年9月に復元工事中の「松の茶屋」の見学に来て以来です(その時の“暮らしのリズム”的できごとはこちらをご覧ください) 。足場とシートにすっぽり覆い隠されていた建物は12月に落成し、
0115matsunochaya今年のお正月二日と三日には特別に上がって抹茶をいただくことが出来たそうです。潮入りの池の畔、午後の柔らかい陽射しを受けて背後には常緑樹の深い緑。無垢の真新しい木が金色に輝くようで、あたかも金閣寺(写真でしか見たことありませんが)のようです。完成間際の建物をあちこちからじっくり見学できたこともあって、とても愛着を感じる建物です。内部公開の折に再訪したいものです。

 公園の入口に、ちょっと目を引く箱庭がありました。寒の頃に彩る植物が集められています。寒中の花と言えば福寿草ですが
0115hakoniwa、これはまだ蕾が固そうでした。興味深いのは「百両・千両・万両」です。 パッと目にすると、いつも「これは何両だったかな」と思うのですが、一緒に植えられているとそれぞれの特徴がはっきりわかって面白いです。葉っぱが幅広で実が上に向かって成るのが千両。ギザギザした葉っぱが垂れ下がってその下に実がなるのは万両。鋭く尖った大きい葉っぱは百両。なるほど、と手前を見ると「十両と一両」というのもあるのですね。これは知りませんでした。

日当りの良い場所では早咲きの紅梅がぼちぼち見頃です。浜離宮にはいつも突出して早く咲く木が一本あって、色彩感の乏しいこの季節に、とても存在感があります。0115koubai 来るたびにこの梅の花を撮影しているような気がしますが、やはり美しいので今回も一枚。冬晴れの青空とのコントラストがとても奇麗です。この木の横には浜離宮の見所、菜の花畑が広がっています。春に向けて養生しているところですが、木が早いのか咲いているものもありました。冬至から三週間が経ち、日の入りは20分以上遅くなっています。午後の陽射しは少しずつ暖かくなってきているのでしょうか。まだまだ寒の内。春は遠そうですが、思いを馳せながらこの寒さと付き合って参りましょう。


【佃島盆踊り】ありがとうございます

2010年07月18日 12時01分01秒 | 催しごと

 旧六月七日。気象庁は昨日(7/17)「九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東甲信、北陸で梅雨明けしたとみられる」と発表しました。東京はどうやら空梅雨です。一方でここ数週間に大雨による災害に遭われた九州・中国地方・中京周辺の方には、心よりお見舞い申し上げます。梅雨の後半に降る記録的な豪雨、というものが、年々激しさを増して来ているように感じています。地球環境全体の変化によるものなのでしょうか。自然の怖さを知ると共に、深刻な災害を未然に防ぐ対策を一層進めて欲しいと思います。

 7月13日から15日までの『佃島盆踊り』は、当初の週間天気予報では連日傘マークでしたが、無事三日間とも開催することができました。0718yuukei 特に好天に恵まれた中日と最終日にはたくさんの人たちが集まり、踊りの輪もこれまでにはないほど大きなものとなりました。特に前半の子供の部は三日間でのべ1000人以上が参加。たくさん来てくれて、皆で踊ってくれるのはとても嬉しいことです。ただ盛況になればなるほど事故の可能性も高くなり、保存会としては気が抜けなく緊張感が高まり、会場の隅々にまで気を配ります。ふざけ合って駆け出す子供がご年配の方や小さなお子さんにぶつかりそうになったり、迷子で連れて来られた子供の親御さんは缶ビール片手に話に夢中になっていたり、例年よりゴミや吸い殻のポイ捨てが多かったりと、これはほんの一例ですがいろいろなことがあるものです。この会は民家が建ち並ぶ一般の道路で開催する、というとてもデリケートな環境です。事故が起こってからでは取り返しがつきません。今後の開催も危ぶまれます。参加される方、子供たちの保護者の方は、事故が起こらないように十分に配慮して行動して頂きたいと願っています。

 個人的な話ですが、今年は子供の踊りの部で、櫓に昇り太鼓を叩きました。
0718iidatsuneo子供の時間では過去に録音した音源をCDで流しています。現世の名音頭取、飯田恒雄さん(写真左)の若かりし頃を始め、三人の音頭取による唄と太鼓です。その音源に合わせて太鼓を打つのです。それぞれの特徴的なリズム感を感じながら打つのは、難しくもあり楽しく貴重な体験でした。300人以上の子供たちによる合の手を全身で受けるのはまさに快感。なんともいえない浮遊感のようなものを感じました。機会を与えてくれた保存会の皆さんには感謝しています。

 大人の部では、ほんの僅かな時間ですが踊りました。この一年間に世を去った親戚・友人を偲び、鎮魂の思いを新たにします。
江戸に誕生しておよそ350年の歴史を数える『佃島盆踊り』。来年は東京都無形民俗文化財に指定されて35周年という節目の歳です。この火を絶やさず後世にしっかりと伝わっていって欲しいと願うばかりです。


夏本番間近!もうすぐ【佃島盆踊り】

2010年07月08日 19時02分14秒 | 催しごと

 旧五月二十七日。昨日は二十四節気の【小暑(しょうしょ)】でした。

    大暑来たれる前なればなり
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 当たり前のようなことが書いてありますが、梅雨もいよいよ後半に入り、雨の合間の五月晴れは盛夏を思わせる日もあります。特に今年の梅雨はムシムシと暑い日が続いています。大暑の頃(今年は7月23日)が思いやられるこの頃です。
 そして、昨日は新暦での七夕でした。“暮らしのリズム”的にはいつも「節供は旧暦で感じましょう」と申していますが、昨日も星空を望むのにはちょっと厳しい空模様でした。今年の旧暦七夕は8月16日月曜日です。立秋過ぎて空が澄んで高く感じられる頃でしょう。天の川もしっかり天空に流れてくれると信じています。旧暦で七夕は必ず七日目の月です。上弦少し前の明るくなって来た月は夜半前(今年東京では22:24が月入りです)に西の空へと沈み、星の煌めきは手に取るように感じられるものであったはずです。月遅れのお盆、送り火の夜が今年の旧七夕です。どうぞ、お楽しみ。

 東京ではお盆を新暦7月13日~16日に行う風習が多いです。 今年もやってきます【佃島盆踊り】。
昨年11月には国立劇場主催の民俗芸能公演『江戸・東京の賑わい』への出演を果たしましたが、0708bonodori09やはり本番は地元・佃の旧渡船場前の路上が舞台です。戦災・震災・大火などで命を落とし、隅田川を流れて佃島にたどり着いた無縁仏の御霊を供養する鎮魂の踊りです。櫓の上には音頭とりと太鼓が一つ。唄は『佃島盆踊り唄』だけです。5分も踊っていれば体に染み付いて来るゆったりとしたシンプルな踊りは、踊り続けていると次第に重力感が薄れ、気持ちよくなってきます。主旨にご賛同頂いている人、この一年に大切な人を無くされたたくさんの人にぜひご参加頂きたいと思っています。(写真上は昨年の模様です)

◆◆佃島盆踊(佃島念仏踊り)◆◆
722tsunesan 日程 : 7月13日(火)~15日(木)
場所 : 中央区佃一丁目(地図はこちら)
時間 : 18時頃から21時過ぎまで
       (雨天の場合は中止です)
  ※20時までは子どもの踊り、
    名音頭取り飯田恒雄さんは
   大人の踊りに登場します。
注意 : 佃島盆踊りは、この土地に上がった無縁仏を供養するための行事です。踊りの輪に入る前には必ず精霊棚でお線香を上げましょう。

過去の関連エントリーは
2005.7.14「佃島盆踊」
2006.7.12「佃島の夏景 色」
2006.7.22「『遙かなる佃』 昭和の東京を見る」
2007.7.11「準備完了。もう すぐ佃島盆踊」
2007.7.22「佃島盆踊り と  初めての浴衣」
2008.7.01「今年も半分、も うすぐ盆踊り」
2009.7.13「お盆です。今日から佃島盆踊り」
2009.7.25「盛夏雑観」

です。ぜひご覧下さい。