"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

鏡餅のような満月に鏡開き

2009年01月12日 00時01分21秒 | 暦のおはなし

 旧十二月十六日。今年最初の満月の夜です。そして今日は鏡開きです。
 鏡餅は新しい年の歳神を迎える依代としてお供えするもので、今日は鏡餅を下ろして割り、汁粉や雑煮にして食べる日です。中国伝来で宮中にあったお正月に固いものを食べる「歯固め」の行事が、武家社会に伝わって固くなった鏡餅を割って食べるようになった、と言われています。武家では神聖な具足に備えた鏡餅に刃物を当てるのを嫌って、手や槌で割ったそうです。
 今朝近所のスーパーマーケットでは、鏡餅が見切品として特売されていました。たくさん買い込んでいる人を見かけ、パッケージをどんどん開けているので見ていると、鏡餅の形をしたプラスチックのケースの中には小さく一個一個真空パックされた四角い餅が入っています。てっきり鏡餅がそのまま真空パックされているものだと思っていたので、ちょっと驚きました。
 今年は鏡餅をお備えしなかったのですが、
0111zenzai暮れに餅米を蒸して擂粉木で搗いた自家製の餅を焼いて、ぜんざいに入れて食べました。豆は北海道の大納言。白砂糖ではなく、三温糖や黒糖、てんさい糖などを混ぜて甘さを控えめにしたぜんざいは、どこか懐かしいお正月の味でした。
 ところで、いつも混乱してしまう“善哉(ぜんざい)”と“汁粉”の違い。私流では、小豆の粒がしっかり残ってやや水分が少ないのをぜんざい、粒が一切ない漉し餡をとかしたようなものが汁粉、なのですがいかがでしょうか。
「御前汁粉」を漉し、「田舎汁粉」を粒、と区別するところもありますよね。興味深いのは食事で食べるのをぜんざい、おやつなどでスイーツとして食べるのを汁粉、と区別する、という説もしっかりあるようです。もちろん地域によって呼び方も様々。う~んなかなか難しい。自分流でいいということにしましょう。(写真は今日のぜんざい。「これは汁粉だろう」という方はぜひコメントください)


寒の頃、粥で暖まりましょう

2009年01月08日 11時42分14秒 | 季節のおはなし

 旧十二月十三日。旧暦では正月事始め、煤掃きです。今の暦ではすっかりお正月気分も抜けてくる頃ですが、旧暦ではこの頃からお正月の準備と大掃除をしていたのです。もっとも毎年季節とずれるため、これは今年の場合ですが、寒中の厳しい寒さだった頃だったのには変わりがないでしょう。
 昨日1月7日は五節句の最初【人日】でした。この日に七草粥を食べる習慣があるのは、毎年このblogでご紹介してきた通りです。七草とは『芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎょう)・蘩蔞(はこべら)・仏の座・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)』が一般的です。この頃になると八百屋さんやスーパーでは七草粥セットが売り出されています。昔はこの七種に拘ることなく、早春の頃野に芽を出す野草の生命力にあやかって無病息災を祈念する習慣だったのでしょう。雪国や北国では保存していた根菜や乾物を雑煮にしたり、小豆や大豆で粥を炊いたり、とその習慣は土地土地によってまちまちです。
 一方、1月15日の小正月には小豆粥を食べるという習慣もあるようです。
0108azukigayu粥を炊く時に使う棒やへらのようなものを豊穣のしるし【祝い棒と呼んで、果樹を叩く【成木ぜめ】や【嫁たたき】の行事を行ったそうです。祝い事にお赤飯というルーツはここにあるのかも知れませんね。
(今年は小豆粥を炊いてみました。味は薄い塩だけです。あずきの味が深く、とても美味しかったです)
 今年、旧暦では人日の節句が2月1日(日)、小正月は2月9日(月)です。いずれにしても寒い頃、熱々のお粥で暖まり邪気を払いましょう。

 七草粥に関する過去の記事紹介です。

「春はまだかな“寒の入り”小寒です」(2006.1.6)
「七草粥です」(2006.1.7)
「七草粥の追記(北国では)」(2006.1.13)
「明日は七草~荒れ模様の“寒の入りです”」(2007.1.6)
「暖かい寒の入りでした」(2008.1.8)
ぜひご覧ください。