"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

住吉神社例大祭~其の壱~御神輿の準備

2005年07月27日 15時02分54秒 | 日々のことなど

 旧六月二十二日。月もだんだん痩せてゆき、明日が下弦の月です。
 首都圏直撃か、と騒がれた台風7号は日本列島に沿うように北上してゆきました。抜けるような青空が美しくまさに台風一過の“日本晴れ”ですね。久しぶり、真夏の太陽がまぶしいです。
maturiguide 私が住む月島では、3年に一度の祭り【住吉神社例大祭】を間近に控え、町全体が盛り上がってきました。8/6(土)~8/8(月)の三日間、佃島の住吉神社を中心に行われるこの祭り。江戸三大祭り(三社、神田、日枝)や、おとなり深川の富岡八幡宮例大祭と比べてしまえば規模こそ小さいですが、厚い信仰と360年の歴史に支えられた江戸らしいお祭りと言えるでしょう。古典落語に「佃祭り」というのがあります。この時期になるとよく高座にかかるのかもしれませんね。
 昨年の11月に月島に移り住んだ私は、御神輿やお祭りの体験もないまま、ただ傍観しているだけではいかにも勿体ないとばかりに、図々しくも町内神輿のメンバーに参加させて頂くことになりました。私の地区は月島の二之部町会で組織の名前は“若睦”。伝統的なお祭りを裏側から見るという貴重な体験になると思います。
 早速、この前の日曜日(7月24日)にお祭りの準備をする作業に参加いたしました。
mikoshi1この日の作業は、三年の年月を経て御神輿と山車を倉庫から運び出し、金具や装備を取り付けてゆくのです。
(←御神輿はトラックで運ばれクレーンで降ろされます)
 まず作業場に運び込まれた御神輿には、中央の担ぎ棒である“親棒”が差し込まれます。屋根の四隅には“蕨手(わらびて)”、軒の端には“葺き返し”をとりつけ、屋根から紫紺の“飾綱”を垂らし、頂点には勇壮な“鳳凰”を取り付けます。mikoshi2四隅の飾綱はそれぞれ蕨手を一回りして下に降り、親棒の根本を一回りして絡みながら再び昇り、蕨手に結ばれます。飾綱には“鈴”を結びつけます。
(作業中の御神輿です→)
てっぺんの正面、鳳凰の足元には町会の名前が書かれた“駒札”を結びつけ、蕨手の上には“小鳥”をとりつけ、四隅の軒下には“風鐸(ふうたく)”“銀杏”を下げます。最後に四面の鳥居の奥にmikoshi3“鏡”を結びつけ、その前に煌びやかな“瓔珞(ようらく)”を吊り下げます。次に担ぎ棒。親棒の先端には“棒先金物”または“棒鼻金物”を差し込みます。親棒の前後にはクロスするように“とんぼ”を縄で結びつけ、とんぼの端に親棒と平行になるように“脇棒”を結びつけ、これで御神輿の完成となります。
(←親棒にとんぼを縄で結びつける作業)
 一つ一つの作業には理屈にかなった手順と厳密なこだわりがあり、意味を含んでいます。こうした技術と知識はしっかりと受け継いでゆかなくてはならないものです。会の先輩方、神輿や神具を専門に扱う職人の説明を伺いながら、見るものすべてが新鮮な作業を噛みしめる濃い~一日でした。若睦の皆さま、暖かく迎えて頂きありがとうございます。