チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

痴れ者よ

2022年08月08日 09時11分06秒 | 日記
痴れ者、しれもの
知恵者はお愚かな者を「痴れ者よ」と言って切りすてていた
「この馬鹿が」とか、「この阿保が」と言われるよりグサッとくる言葉だけど今は全く死語となっている気がする

今は時代小説とか時代劇で耳にする程度かもしれない
昭和40年代までは大人が大勢いて、無作法なことを言ったりしたりすると「痴れ者がー-」という言葉が飛んできていた

そうすると最も軽蔑される人間が「痴れ者」とわかる。痴れ者の内容はとにかく無作法である、人の心が分からない、自分勝手なふるまい、周囲の空気は全く読めない、自分だけ良ければいい、「自分だけ、今だけ、金だけ」という人間に対して、身の程知らないものに「痴れ者」という怒声が飛んでいたように思う

ウクライナの大統領夫妻が戦地をバックに高価な洋服を着て楽しそうにポーズを取っている写真が「ヴオーグ」というフアッション雑誌に載っていた、しかも表紙から口絵に至るまで夫妻のフアッショナブルノ写真だ
それを見たとき思わず「この痴れ者が」という言葉が頭に浮かんだのだ
イタリアに別荘を購入したりという記事も見たばかりなので、こういう国に住んでいる人たちのやるせない気持ちが理解できる

しかし日本もこの77年で「言葉」を失った「痴れ者」かもしれない
言葉は親や祖父母、または人生の先輩たちから教わることが多い。道に迷えば叱咤や励ましの言葉を聞く
「この痴れ者が」と片付けられたらもう明日がないほど打ちひしがれる。打ちひしがれた者を言葉で元気づける人が現れる、そうすると自分の立ち位置や、自分がやってしまった事の重大さに気が付き、それを直そうとする知恵がついて、人格形成が成り立っていく

言葉はテレビ、漢字はスマホの転換、「人」から教わることがほとんどなくなってきた現代は「諭す」人も姿を消している
それでは国の文化は日々凋落していく、ある人が「円安になった日本」はどの国からも相手にされていないですよ。と言っていたが、お金のあるなしで国や人を図るのではなく、どれだけ知恵を持っているかが重要な時代になっていくのではないかと思う

コメント
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