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今から40年ほど前の映画がこんなシチュエーションではじまるのだが、当時としては画期的だったのではないだろうかと思われる。都市生活者はともかく、保守的な人間も多いアメリカだ。ジョン(ダスティ・ホフマン)は、インエリア・デザイナーの独身男性。以前は美人のモデルと同棲したこともあるが、今は寂しくも気楽な一人暮らし。職業柄、ウエストサイドのリバードライブの部屋には、螺旋階段であがる屋根裏部屋もあり、白で統一したインテリアはモダンでおしゃれ。朝はゆで卵にトースト、珈琲を淹れて、ランチタイムにはオーガニック店で購入した卵を使って、彼女にチーズパイの手料理もふるまう。音楽は、朝はブラスバンド、昼はクラッシク、夜はジャズとなかなかの趣味人。家具、服装、行動パターンと驚くばかりに今時のお洒落な男の子と同じだ。
一方、メリー(ミア・ファロー)の方は画廊勤務。女の友達とイーストサイドでルームシェア。実は、最近、不倫の関係にあった政治家と別れたばかり。そんなふたりが、初対面のバーですっかり意気投合してその勢いでベットイン。しかし、目覚めて冷静になれば、相手のことをよく知らないじゃないか。お互いに緊張しつつ、防衛線をはりながら相手の素性を伺いながら様子をさぐっていく様子がおかしくもキュートだ。さり気ない会話の中に、男と女のそれぞれの本音のひとりごとが入るのだが、気になりつつもなかなか率直に心を開いて・・・とまではいかない。相手を知ること、その最終系にSEXがあるのだが、ここではある意味、相手の肉体上のすべてを知ったのだが、肝心なことを何ひとつ知らない。本作は、従来の恋愛映画がプラトニックな感情からはじまるのとは逆に、SEXからはじまる恋愛映画である。そして、映画の最後で、初めてお互いの名前を知る。
いかにも不倫の恋でもしそうな危うさとちょっと人がよさそうな魅力が、ミア・ファローの持ち味。いけないことをしちゃっても、ショートカットの金髪とキュートな雰囲気が行動のダーティさをふりはらう瑞々しさに溢れている。実生活でも、この方は、あのフランク・シナトラと結婚⇒離婚、速攻であの指揮者のアンドレ・プレヴィンと結婚⇒離婚、(若い時のアンドレ・プレヴィンを先日NHKで観たのだが、とってもかっこよかった!!)、お次はこのあたりからはゴシップネタとしてリアルタイムで知っていたあの映画監督のウッディ・アレンと同棲⇒別離。その間、ローズマリーはこどもを胎内に宿す恐怖なんかなんのそのとばかりに4人のこどもを次々と出産。全くタイプが異なりながら、才能がありそれぞれの分野で知名度抜群のトップにたつ男性と恋をする。非常にもてる女性のようだ。本作でも、ショートカットのボーイッシュな髪型に少女っぽいフリルがついたミニのワンピースが妖精のような雰囲気をかもしだしている。男はこんなファニーフェースの弱いのか?彼女のワンピースと全く同じようなフリルのついたワンピースを私も持っていて、かなりお気に入りだったことや高校時代の早熟な友人がこの映画を好きだったことを思い出した。
それはともかく、ふたりが出会ってから24時間の物語。しかも、男女の機微を巧みに描いた室内劇のようでもあり、現代でも充分にスノッヴでおしゃれな「名作」として色あせていない。友人が気に入るわけだ。
監督: ピーター・イエーツ
1969年米国製作
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