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隣のお姐さんが結婚した。ミシシッピ大学の同級生だっただんなは、やり手のビジネスマン。結婚後、飲食店を次々と店舗を増やして、今や85店のオーナー。インテリアデザイナーとしても活躍する隣のお姐さんは、ふたりのこどもにも恵まれて、歳月とともに豪華で邸宅と素敵な家庭を運営する貫禄のある肝っ玉母さんになった。
リー・アン(サンドラ・ブロック)は、ここ南部でも冬の凍てつくように寒い夜、半袖シャツでとぼとぼとひとりで歩いている黒人の高校生マイケルに声をかけた。正義感が強く、親切な女性。そんな印象のアンは、最初は一晩だけと思っていたのだが、彼のおかれている状況に同情するうちに、服を買い与え、ベットを提供し、部屋と机も与え、とうとうひとりの家族として迎えるようになった。アンが用意してくれたベットは、彼にとっては生まれて初めての自分専用の自分のためのベットだった。そして、巨漢の体を活かしてアメリカン・フットボール部に入部したマイケルは、家族の助けをえて自分の人生を切り開いていくようになっていく。
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You're changing that boys life.
こう感想を述べる友人に、アンはきっぱりと答えたのが次のセリフである。
No, he's changing mine.
そして実際にマイケルに会ったこともない友人が、失礼な心配をするとアンは憤然と席をたち彼女たちに絶交宣言をする。潔く、エネルギッシュで、善意の人、男前のアンの魅力を見事に演じたサンドラ・ブロックの演技と、脇を固める家族や家庭教師のキャラクターとユーモラスな場面が、ともすれば金持ちの道楽に流されかねない安易なアメリカン・ドリームという見方をばっさりはねのけた。最後の大学選びの理由を明快に答えるマイケルのセリフは、心にせまってくる。孤独で貧しくホームレス同然の黒人の少年のサクセスストーリーではなく、家族というチームの結束の強さに視点をもっていったからこの映画は成功したのだろう。
原題:The Blind Side
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック
2009年米国製作
■これも”爆弾”にならなかったサンドラ姐さんの映画
・『あなたは私の婿になる』
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