千の天使がバスケットボールする

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究極のトリオ・パフォーマンス!!“Bee”

2008-10-31 22:48:17 | Classic
いまだに惜しいことにホスト・クラブなる魔窟に侵入したことがないのだが、この男性たち3人が舞台に登場した瞬間、あっ・・・ホスト・クラブにはまる女性の気持ちがちょっとわかるかも、なんていう感想がうかんでしまった。
彼らは敬愛なる”Beethoven”にBravo!Excellent!Energy!をかけた男衆である。だんご3兄弟風に紹介すると、長男はキャッチフレーズが「人気実力No1.」と言い切っちゃっている「情熱のピアニスト」の及川浩治さん。次男は、「孤高の”カリスマ”」らしいヴァイオリニストの石田泰尚さんで、チェリストの石川祐支さんは「華麗なる超絶技巧」

まず、ヴァイオリニストの石田泰尚さんはスタイリッシュで洗練されたものごしにも関わらず、マイクを持ちながら「えー・・・えー・・・、え~~・・・」のたった3文字で会場を沸かせられる特技?の持主でもある。神奈川県民の★から、「Bee」でのご活躍から一躍全国区に踊り出た石田さんの演奏は、エッジが利いていてその”細部に宿る美”の象徴のような耳から零れ落ちる光を放つ凝ったピアスからも予想されるとおり、音も繊細でまるでベルギーレースのような美音。しかし、石田さんが弾くピラソラのタンゴ・エチュードは、水面に跳ねる光のような繊細さから一転、暗い情熱がゆれる。演奏からも自分をよく知り尽くしている音楽家という印象があり、ステージで歩く姿とお辞儀に、計算された美しさがある。友人が少ないから孤高なのか、カリスマを装いながらも、案外この方はお茶目かもしれない、と私は観た。

素朴な3男風の石川さんは、個性的で道行く人が思わず振り返ってしまいそうな独特のオーラがある兄達に比べ、まだ毒されていない?けなげさがある。ソロに選んだ曲が、「エレジー」と「白鳥」。この選曲も、シンプル。端正で素直な演奏は、今後その成長が楽しみな若手チェリストである。最近どうやら髪型を変えたらしいのだが、高校生風の黒い髪が似合っていると私には思われる。

そして、「Bee」の発起人であり、トリオのまとめ役であるダンディな及川浩治さん。このほぼ満席のサントリーホールでの公演を、一番楽しんでいる雰囲気が感じられたのもダンディ・及川さんである。弦楽器と異なり、ソロで演奏する機会が圧倒的に多いのがピアニストだからだろうか。トリオでの演奏を心から楽しんでいる様子から、人柄の明るさとおおらかさが感じられる。さすがに、マダムの心をつかむだけある。長男としての調整役もかねるバランス感覚にもたけ、今回発見したのが、伴奏者としてもその音楽性がとっても素敵な方でもある。単に上手な伴奏者はたくさんいるが、それだけではない魅力が演奏にあり、ピアノをひきたてつつソリストを盛り立てている。思わず、目ではなく耳がハートになってしまいそうだ。
最近、発作性上室性頻拍症で公演をキャンセルされたようだが、心臓への負担を考えて喫煙は控えた方がよいのでは、とつい余計なことを言ってしまいたくなるのも、これからの「Bee」を楽しみにしているからである。
「究極のトリオ・パフォーマンス」のパフォーマンスを考え抜き、このトリオのコンセプトを明確に打ち出したのが、今回のツアー。
最後のこだわりのベートーベン、スリリングでエキサティングなアンコールの演奏を含めて、彼らのパフォーマンスに酔いしれた秋の夜だった。

-------08年10月31日<サントリーホール>--------

ピアソラ :アディオス・ノニーノ
     :ミケランジェロ’70
     :リベルタンゴ
     :タンゴ・エチュード 第3番
モーツァルト :ピアノ三重奏曲 K.548から第1楽章
ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲第5番 「ゴースト」から第1楽章
(ここで休憩)
ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番から第1楽章
グルック :『妖精の踊り』から「メロディ」
サン=サーンス :白鳥
リスト :ラ・カンパネラ
ラフマニノフ :ヴォカリーズ
リムスキー=コルサコフ :熊蜂の飛行
ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲第5番 「ゴースト」から第2,3楽章

■アンコール
ピアソラ:天使の死
    :リベルタンゴ

■すでに懐かしいコンサート
・「Bee’s 3大協奏曲2007」


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