なんともだっさいタイトル、、、ではある。
それもそのはず、1960年代の韓国の農村を舞台に、ソウルから赴任してきた新米のカン先生(イ・ビョンホン)を中心に、彼が想いを寄せる同僚の美しい年上の女性教師ヤン先生(イ・ミヨン)、カン先生に恋をしてしまった家庭の事情で17歳にして小学校に通学するホンヨン(チョン・ドヨン)、そして個性的な教師たちやわんぱくなこどもたちがくりひろげる一年間の小さな小さな物語である。
どこか遠くで観たようなのどかな景色、どこかで聴いたようなオルガンの調べ、おまけに新米の先生にいたずらをする手口や運動会、学芸会の様子はかっての日本の生活によく似ている。ここには南北朝鮮問題の悲劇もない、行き過ぎた学歴社会ゆえの入試カンニング事件もない、テレビも勿論インターネットもない、ただ善良で素朴な人々のつつましい暮らしと生活だけが寄り添うようにあるだけだ。
しかも純朴で誠実なカン先生、毅然とした態度で自らの教育理念を通すヤン先生の気高い佇まい、恋をしているという自覚もない一途なホンヨン、あまりにも定番な人物描写と物語なのだ。それにもかかわらず、最後まで弾むような想いとせつなさを味わったのは「初恋」というものが何処の国でもどんな時代でも普遍的な人間の感情であるということ、そして当時26歳にして17歳の小学生を見事に演じたチョン・ドヨンをはじめとした韓国の俳優たちの演技力にみせられたためだろうか。
(イ・ビョンホンのファンだったら下宿先の庭でこっそり下着を大急ぎで洗濯していたところを、人のよいおかみさんに見つかってしまい、洗濯物をむりやりとりあげられてしまった場面などは必見である。)
さて、彼らの恋の顛末はどうなったのか。
それは一枚のLPレコードに象徴されている。
そして最後の最後まで、楽しめる映画でもある。
「我が心のオルガン」1999年******************************************************
監督:イ・ヨンジュ
出演:イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、イ・ミヨン
韓国映画の好きな方、お試しあれ★
文字通り色々な役ができますよね。
コメディエンヌでもあり、シリアスな役でもあり、な女優さんです。
17歳でもすごいですが、12歳の本当の小学校6年生の役と言われても通用する感じだと思いました。
とても良い映画だったと思います。