千の天使がバスケットボールする

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小菅優さんの「トップランナー」

2007-01-22 23:20:52 | Classic
ブログにおける貴重な”クラ友”であるromaniさま、calafさま、emiさまもおそらく1月21日のNHK「トップランナー」をご覧になっているだろう。
ゲストは、あの昨年のザルツブルグ音楽祭で内田光子さん以来二人目の登場となったピアニスト小菅優さんだ。
1983年生まれの弱冠23歳にして、彼女の音楽暦はすでに華麗といっても過言ではない。
彼女の公式サイトのプロフィール及び番組出演中のお話から簡単にその足跡をたどってみたい。2歳よりピアノ教師のお母さまから指導を受け、9歳からリサイタルを開き、ドイツでショパンのノクターンを演奏したことをきっかけに、10歳よりデザイナーのお父様を日本に残して言葉も全くわからないドイツに留学。(ちなみに彼女は一人っ子。)その後ヨーロッパを拠点に演奏活動を開始して、米国、モスクワ、パリなど演奏地は年40ヶ所にも及ぶと言う。異動は、単身。少女の頃から活躍する音楽家にありがちだが、いろいろな意味で年齢以上に自立している。
2000年、ドイツ最大の音楽批評誌「フォノ・フォルム」よりショパンのエチュード全曲録音に5つ星が与えられたほか、02年には第13 新日鉄音楽 、さらに04年にはアメリカ・ワシントン賞を受賞している。
国内の主要なオーケストラ他、フランクフルト放送交響楽団、フランス国立放送交響楽団、サンクトペテルブルク交響楽団等と共演し、国際的な音楽祭にも度々招かれている。

上記は、これまでの音楽暦のほんの一部である。しつこく言ってしまうが、、、まだ23歳である。
10歳よりドイツに在住し、今では日本語よりもドイツ語で夢を見るくらいということから、日本語の会話は、どちらかというともどかしそうな印象だった。しかし、もしかしたらドイツで育ってためであるかもしれないが、演奏スタイルや物腰からは年齢以上の堂々たる雰囲気が伝わってくる。このぐらいの年齢だったらもう少し精神的にも幼い一般的な日本人女性とは、少し雰囲気も異なる。服装は黒のパンツに、同じく黒いベアトップ型のぴったりした上着に変形ボレロを身につけていた。昨年芸術劇場で見かけた彼女は、ステージから受ける印象よりもずっと小柄で155センチ弱ぐらいの身長だったが、ダイエットしていない健康的な体に、ピッタリした服装が嫌味なく似合っている。パンツにあの上着は難しいと思うのだが、シンプルだがセクシーにまとめていた。日本人は、あまりしないスタイルともいえよう。演奏を背後から撮影した映像を見たが、身長のわりには肩からの筋肉がしっかりついている。

リスト作曲「超絶技巧練習曲10番」を演奏したが、テレビからも卓抜したテクニックとダイナミックな音楽性が伝わってくる。(それにしてもリストは、難曲だ。楽譜を見てみたい。)内田光子さんとは、タイプが全く違うようだ。シゴトのできる女にたまに見かけるように、女性らしいおしゃれに凝ったり時間を費やすタイプにも見えない。ドレスも彼女にとっては、単なる舞台衣装か制服のようなものであり、声楽家や中村紘子さんのように音楽にあわせてたくさんのドレスを着てくる女優タイプでもなさそうだ。ロングでストレートな黒髪は、欧米人に好まれそうだが、むしろ彼女にとっては髪をまとめやすいから伸ばしているようにも見受けられる。

終始笑顔を絶やさない彼女、ピアノに向かう時の音楽と対峙して自由に自分の音楽を表現する彼女、大器の片鱗を見た。彼女はステージであがるということはなさそうだ。50歳になったら映画監督になっているかもしれないという言葉から、意外な一面も感じた。ピアニストになるためにドイツにまで留学したけれど、まだまだ未知の部分、未確定な部分を残しておきたいのだろうか。その会話だけ、唯一まだまだ若いな、という印象をもった。
けれども50歳になって円熟した彼女のピアニズムにふれてみたい、というのが私の願いだ。