miniな舞台

観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

今後の観劇予定

直近はナシです… コロナめ!

No.626 「オイディプス」

2019年10月14日 23時10分05秒 | 2019年の観劇記録
2019年10月13日(日) ソワレ シアターコクーン 1階 C列 シモテブロック

オイディプス=市川海老蔵、イオカステ=黒木瞳、コロスのリーダー=森山未來、クレオン=高橋和也、テレイシアス=中村京蔵、操縦士=谷村美月、羊飼い=笈田ヨシ、他。
原作=ソポクレス、翻案・演出=マシュー・ダンスター、翻訳=木内宏昌、美術・衣裳=ジョン・ボウサー、振付=シャーロット・ブルーム、照明=勝柴次朗、音楽=かみむら周平、他。

「父を殺し、母を娶るであろう」という恐ろしい予言から逃れるため、放浪の旅に出た古代ギリシャ・コリントスの王子オイディプス(市川海老蔵)は、旅先のテーバイで他国の脅威を退け法の秩序を取り戻した英雄として請われ、王となる。
オイディプスは先王ライオスの妃イオカステ(黒木瞳)を妻に迎え安寧な日々を送るが、ほどなくしてテーバイ中に疫病が蔓延する。コロスのリーダー(森山未來)を中心に、オイディプスに助けを求めるテーバイの市民たち。オイディプスは国を救うために神託に従い、先王殺害の犯人を捜すが、やがて明らかになるのは恐るべき真実だった…。
残酷で悲劇的な運命がオイディプスに襲いかかる…。
(あらすじは公式HPより)

1幕モノ1時間50分。
近未来なのかな…
不思議なセット。コンクリート打ちっ放しの空間でシモテにはロックの掛かる大きな搬出口のような扉、カミテ壁にはこちらも大きめの出入り口、奥には数段高い所にガラス張りの部屋、その上にはオイディプスとイオカステの寝室。寝室は隠れるように出来ていて、その隠している吊り壁に映像が映せるようになっていた。オイディプス達が さながらユーチューバーのように会見映像を動画配信していたりw

汚染された外の世界があるようで、大きな搬出口から入ってきた市民達(=コロス)は皆防護服を着ていて、入ってくると衛兵に除染される。
カミテの奥には皆が崇め奉る神様がいるらしく、神々しい光に市民達が跪いて神託を請うのだった。
キャストも皆スーツやら普段着で。
だから原作では馬車でも この舞台上では車になったりする。

森山くんのコンテンポラリーなダンスが見られただけでも良しとしようか(^_^;)

ライオスを殺したのがオイディプスだと観客は皆知っているので、犯人がわかっている推理ドラマを見るような印象を受けた。
海老蔵くんのオイディプスはセリフが少し歌舞伎っぽいかな~
スーツ着ているから王っぽさが余り無かった。
イオカステって何歳でオイディプスを産んだのだろう…随分若い時でないと(^_^;)
クレオンの高橋和也さんが次期王としての威厳とタダシイ採決をしてくれたのが良かった。
あとテレイシアス(予言者)の中村京蔵さんが場を締める。

全てを知ったオイディプスは自らの目を突いて失明し、愛する妻は自殺、幼い娘達を置いて追放処分へ。それはライオスを殺した罪として、自らが定めた罰による報い。
追放されるシーンで毒々しかったハズの外から、ドアを開けた瞬間に明るい花吹雪が舞い散り、テーバイが安心して住める新しい街となり、新時代の幕が開いたのだと感じた。

No.625 「最貧前線」

2019年10月12日 22時38分18秒 | 2019年の観劇記録
2019年10月6日(日) マチネ 世田谷パブリックシアター 1階 E列 センターブロック

水戸公演に引き続いて世田谷パブリックシアターで観劇。セットの横に余裕がある(^_^;)
今回前方席が多くて、普段ならとても有り難い!と思うのだが、このセットに関しては2階席か3階席から見たかった、とゼイタクな悩みが。

吉祥丸の乗組員達の熟され方が良くなってきていて2回目の観劇ながら引き込まれた。
前回気づいてなかったのか、吉祥丸の左右にパネルが出る所があったり(より船の中央部分がキワだつ)、船倉の通信室のシーンでは切り取るように上部も隠されていた(なんか水戸では上が開いていたような気がするのだが、気のせいなのかw)
水戸公演で感じたダイナミックな船のハミ出しさえ無かったが、それでも見応えはあった。
船を動かすスタッフさん、本当にお疲れ様です。
ぜひ大和の大千秋楽では舞台の前に出てきて一緒にカテコで労いたいんですけど、どうですかね?

無線士と通信長のシーンで、溝端くんがマッチのナカミをぶちまけてしまい、佐藤さん演じる千田が「後で拾っておきます」とアドリブ。
カンヅメの下りも毎回アドリブなのね♪

No.624 「死と乙女」

2019年10月06日 22時34分44秒 | 2019年の観劇記録
2019年10月5日(土) ソワレ シアタートラム I列 カミテブロック カミテ端

ロベルト・ミランダ=段田安則、ポーリーナ・サラス=宮沢りえ、ジェラルド・エスコバル=堤真一。
作=アリエル・ドーフマン、翻訳=浦辺千鶴、演出=小川絵梨子、美術=松井るみ、照明=原田保、衣装=前田文子、他。

独裁政権が崩壊し、民主政権に移行したばかりのある国では、反政府運動への旧政権の激しい弾圧や人権侵害の罪を暴く査問委員会が発足。
かつて反政府側で戦っていた弁護士ジェラルド(堤真一)は、新大統領から、その中心メンバーに指名されようとしていた。彼の妻ポーリーナ(宮沢りえ)もジェラルドと共に学生運動に身を投じていたが、治安警察に受けた過酷な拷問のトラウマに苛まれ、未だに心身共に苦しんでいた。
ある嵐の晩。岬の一軒家では、ポーリーナが家に近づく見知らぬ車の音に怯えながら、様子をうかがっていた。
すると見知らぬ車からジェラルドが降りてくる。車の故障で立ち往生していたジェラルドは、偶然通りかかった医師ロベルト(段田安則)の車に助けられ、家まで送られてきたのだ。その後、家に招き入れられたロベルトの声を聞き、ポーリーナは凍りつき、やがて確信する。 この声、この笑い方、この匂い…。
この医師こそ、監禁され目隠しをされたポーリーナを執拗に拷問し、美しいシューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」の旋律を流しながら、繰り返し凌辱した男だと…。かくしてポーリーナの激しい追及と復讐が始まった。
必死に潔白を訴えるロベルトと、妻の思い込みを疑い翻意させようとするジェラルド。
それぞれの心の中にあるのは、狂気なのか真実なのか。
記憶の暗闇にのみ込まれた3人の結末は…?
(あらすじは公式HPより)

チリで起きた独裁政権を戯曲化した作品。

舞台セットはジェラルドとポーリーナ夫妻の家のリビングがナナメにセットしてあり、カミテ側に客間と水回りと覚しきドア、奥には夫婦の寝室と玄関側への通路、中央からシモテにかけて大きな磨りガラスのサッシとバルコニー。最シモテはバルコニー部分が外に出ているという設定。

本当にポーリーナが被害を受けていたのか、と思うほどの錯乱ぶりで、しかも段田さん演じるロベルトが常識的に見えるのでw
でもロベルトが2回目に夫妻の家に来た時、ジェラルドが政府の職に就いたのを知り、確実に自分が「した」事が露見しないだろうか、自分が不利にならないだろうかを確認しに来たのだ、と感じた。

だから私的にはロベルトは「した」と思う。ラストシーンのシューベルトのコンサートで、ポーリーナを見つけ、一瞬ニヤっとしたロベルトで確信した。

ジェラルドは自分の地位が妻の行動によって脅かされるのも解っていたし、妻の反逆を止めたいけど妻の言うことも案外(?)聴いてあげるのね…

「誰かが断ち切らなければ」。許しを与えろ、とジェラルドは妻に言うけど、「いつも私なの?」とポーリーナ。弱いものが泣きを見るのは常の世なのか…

この小川江梨子さんの演出は良かった。
キャストと脚本によるのだろうか…
まだ良く解らない。

No.623 「怪人と探偵」

2019年09月24日 22時26分54秒 | 2019年の観劇記録
2019年9月16日(月・祝) マチネ KAAT神奈川芸術劇場 1階 18列 センターブロック ややカミテより

怪人二十面相/安住竜太郎=中川晃教、明智小五郎=加藤和樹、北小路リリカ/田口慶子=大原櫻子、小林芳雄=水田航生、花崎マユミ=フランク莉奈、北小路邦麿=今拓哉、邦麿の妻=樹里咲穂、松吉/楢崎平吉=有川マコト、灰色の服を着た巨漢/森田守=山岸門人、羽柴壮二=中山義紘、大野敏夫=石賀和輝、ねこ夫人/浪江はな=高橋由美子、中村警部=六角精児、他。
原案=江戸川乱歩、作・作詞・楽曲プロデュース=森雪之丞、テーマ音楽=東京スカパラダイスオーケストラ、作曲=杉本雄治(WEAVER)、音楽監督=島健、演出=白井晃。

昭和34年(1959年)東京麻布。
元子爵北小路家の令嬢・リリカと安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表の日、北小路家の大広間では、華やかな仮面舞踏会が催されていた。パーティの最中、不思議なことに、誰も気づかぬうち、大広間の柱時計には怪人二十面相の犯行予告状が貼り付けられる。『3日後10時北小路家の家宝「パンドーラの翼」を頂戴する』
指定の日時、二十面相の犯行を阻止するために、探偵・明智小五郎が北小路邸を訪れる。明智を一目見た北小路家の令嬢のリリカは明らかにショックを受ける。
明智も動揺を抑えている。実はリリカには暗い過去があり、明智とリリカには深いつながりがあったのだ。
10時を告げる鐘の音と共に、予告通り怪人二十面相が現れ、「パンドーラの翼」は爆発、明智は負傷し、二十面相がリリカを連れ去ってしまう…。
(あらすじは公式HPより)

久々KAAT。
テーマ音楽のスカパラが小気味良い。
しかし1ナンバー(シーン)が長すぎて、だんだんとキビしくなってくるような…
まぁぶっちゃけ三角(四角?いや五角かしら)関係なんだけど、怪人・明智・リリカの各心情がもう一歩かなぁと思う。

色々ツッコミ所満載なのだが(^_^;)
チカラワザな部分も「まぁ、いいかな?」と思わせる(おいw)

先日のミュージカルコンサートで聴いた「世界で一番綺麗な宝石」と「真実の鏡」は聴き応えがあった。
他もリプライズをうまく組み合わせて曲はいいなぁと思ったが、歌詞が説明的だったような。
竜太郎とリリカの婚約パーティーが仮面舞踏会でさ~。マスカレードなのよね~。違う演目(2つも)がよぎるよね~

一方通行な愛が絡み合い、お互いがお互いの事を思う面もありながらも勝手な愛情(愛憎も、かな)もあり。
カズキマンのアクション!アッキーのマントさばき、櫻子ちゃん良し(ジュリエットできるわ!)
水田くん、二十面相からの予告状を歌い上げる、という重要な役どころ(小林少年…青年かw)
明智の探偵事務所スタッフ花崎さん(フランク莉奈ちゃん)、ゆがんだ愛ゆえの凶行か。
北小路ご夫妻(今さん、樹里さん)がイイね!樹里さん和服で踊る踊る。
あと久々の高橋由美子さん!あの衣装が似合う方は貴重!もっと御活躍期待したい!
それと六角さんが思った以上に(失礼)お上手でした。

やっぱり新作ミュージカルって難しい。
なかなか諸手を挙げて「いい!」と思える新作(特に純日本産)には出会えないのが残念。

No.622 「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」

2019年09月20日 22時36分35秒 | 2019年の観劇記録
2019年9月15日(日) マチネ 世田谷パブリックシアター 1階 N列 カミテブロック ややセンターより

シャーロック・ホームズ=柿澤勇人、ワトスン博士=佐藤二朗、ヴァイオレット・ファーランド=広瀬アリス、ミセス・ワトスン=八木亜希子、マイクロフト・ホームズ=横田栄司、ハドスン夫人=はいだしょうこ、レストレイド警部=迫田孝也。音楽・演奏=荻野清子。
作・演出=三谷幸喜、美術=松井るみ、照明=服部基、音響=井上正弘、衣裳=前田文子、映像=ムーチョ村松、他。

ホームズとワトソンがベーカー街221bで同居を始めたのは、1881年の1月といわれています。これは、彼ら名コンビが出会ってから、「緋色の研究」で描かれた最初の事件に遭遇するまでの数ヶ月間の物語。
ホームズはまだ二十代の若者。
人間としても探偵としても未完成のシャーロックが直面する、人生最初で最大の試練とは?
(あらすじは公式HPより)

今回の三谷作品も超満員で立ち見の観客多数。
チケット取れて良かった~♪

シャーロック・ホームズといえばジェレミー・ブレッドってな世代で(^_^;)
この作品中にもホームズの「事件」が色々と混ぜ込まれていたようですが、1つ位しか解らなかった(汗)

記憶力・洞察力は人一倍凄いシャーロック。でも落ち着きが無く他人の事に余り興味がなく、今で言う所のADHD気味なのかな…
そんな役をカッキーが愛すべき役で演じてくれました。
大きな愛(?)で包み込むワトスン博士が佐藤二朗さんで本当に良かった!
ワトスン妻役の八木亜希子さんもお上手でした。
2幕初めの余興… 唐突に始まるワトスン夫妻の歌謡ショー♪
売れない女優のヴァイオレット(劇中で「ヘンリー五世」のワンシーン、本家本元 横田栄司がいる前でw)アリスちゃんの少しヤサグレた感じも良し。
空気読めないレストレイド警部の迫田さんてば!
ホームズ&ワトスンが住んでいる家の管理人ハドスン夫人はいださんもホンワカ(でも言う時は言うw)
圧の強いホームズの兄マイクロフト役のよこちん!出オチ!
幼い頃から期待をかけられ、それに応えなければ、と育ってきたんだろうな…
それに比べ自由に生きている(ように見える)弟が羨ましくもあり憎らしくもあり、心配でもあったんだろう。

2幕の見所はシャーロックとマイクロフトが対決をするのに「ランタン」というカードゲームをするのだが、舞台上部のスクリーンが効果的に使われ、シャーロックのアタマの中は今どういう風に推理をしているのだろうか?が視覚的に良く解るようになっていた。

シモテ端の荻野さんのピアノも優しい。
マダガスカルカメレオンの顔マネ、見たかったわ~(キャストがマヂウケしているので、きっと日替わりなんだろう。よこちんの腕が鳴るわねw)

兄弟対決が終わって、さあそろそろ終演かしら?と思ったら、もう一つワトスン夫妻のゴタゴタがあり、ホロリとさせられた。

No.621 「最貧前線」

2019年09月17日 23時54分58秒 | 2019年の観劇記録
2019年9月14日(土) ソワレ 水戸芸術館ACM劇場 1階 H列 センターブロック ほぼセンター

船長:菊池太平=内野聖陽、艇長:大塚少尉=風間俊介、通信長:柳准尉=溝端淳平、漁労長:及川辰吉=ベンガル、無線士:千田長政=佐藤誓、賄い夫:上野寅蔵=加藤啓、砲術長:大堀兵曹長=蕨野友也、水兵:上村二等水兵=福山康平、水兵:小野田一等水兵=浦上晟周、機関士:佐々木逸平=塩谷亮、見習い:太田はじめ=前田旺志郎。
原作=宮崎駿、脚本=井上桂、演出=一色隆司、美術=松井るみ、映像=上田大樹、ステージング=田井中智子、アクション=渥美博、他。

太平洋戦争末期、昭和19年。
横浜の港では福島の漁船吉祥丸が出航を待っていた。ほとんどの軍艦を沈められた日本海軍は、来襲するアメリカ軍の動静をなんとか探るべく、漁船を駆り出して海上で見張りをさせようとしたのだ。
特設監視艇となった吉祥丸を率いるのは艇長の大塚、そして小さな船には通信長の柳や若き将兵たちと、元々の漁船の船長である菊池や漁師仲間が乗り込んだ。
実戦経験はあっても漁船での航海に慣れない軍人たちは、クジラを敵潜水艦と間違えたり、嵐の予兆を察知できなかったりと、海の職人である漁師たちと ことあるごとに対立してしまう。
やがて軍人たちは漁師たちの見識に一目置くようになり、互いの間には徐々に信頼関係が芽生えていった。
しかし、戦況は厳しく、吉祥丸は海の最前線ともいうべき南方の海域にわずかな武器を携えて派遣されることになってしまう。
果たして、吉祥丸は帰って来られるのだろうか――。
(あらすじはプログラムより)

はるばるやってきました。水戸。
「最貧前線」が生まれた所で観る!
水戸芸術館は素敵な作りでした。まぁバブルの残り香(ハコモノ的)はかなり漂うが、市民の皆様が有意義に使ってらっしゃったので、いいなぁと思った。

ACM劇場は凄いコンパクトな劇場で、東京グローブ座より小さく、世田谷パブリックシアターのミニチュア版のような空間。
1階の中央部分はなんと6列しかなく、馬蹄形に3階まで客席が作られていた。
その2列目どセンターで観劇。
ち、近い!近すぎる!
特に吉祥丸がナナメに配置されたり、船首が客席に向くダイナミックなクライマックスシーンなどは目を見張る!
船のセットは3層仕立てで、一番下が船底(機関室・無線室・倉庫等)その上が甲板とブリッジ(船長役の内野さんはココにいる率が高い)、さらに上に監視用の見張り台が。この見張り台はものすごく高いので、かなりの時間見上げる事になり、クビが痛かったorz
場面転換や説明時には紗幕に宮崎駿さんのイラストが映し出され、波飛沫のプロジェクション・マッピングなどはデジタル。
一方、影の主役と言うべき吉祥丸は作業着姿の黒子スタッフさんが人力で身体全体を使いグルグルと回してくれる。
そのデジタルとアナログの融合!
これは体感しないでどうする?という位の舞台装置、そしてキャスト達の熱演、動きと相まって船上の揺れをリアルに感じさせられるモノとなっていた。

こんな小さな漁船さえも戦争の最前線へと繰り出されたという事実。
井上ひさしさんも、このような余り知られていなかったであろう悲劇を書いていらっしゃったが、今 現代を生きている私たちや、もっと若い世代にも伝えておかなければならないと思った。
そして「平和が何より」「命を大切に」これが一番だと思う。人を人と思わない、命はリセットボタンを押せば生き返るものではない、そういう時代になりつつある(もうなっているのだろうが)現代だからこそ観る価値のある作品。

それと仲間を信じて、足りない所は補いながら長い航海を乗り切る漁師達の結束力。
チカラで押さえても何も良くはならない。
艇長の大塚も最初は理解すら示さなかったが、徐々に漁師達の考えや生き方に同調し、最後は「生きて帰る」事を大切にしてくれたのが良かった。

敵艦に撃墜された仲間の船を水葬で見送るシーンは胸が熱くなった。
そして2幕のコンソリとの対決シーン。
手に汗握る迫力の中、内野さん演じる船長の命がけの機銃操作。す、すごい!
もう観てる私はクチが開いたままです…

人望の厚い船長♪
軍人としてはさすが一流の艇長
脚を痛めている通信長、無線室で通信士とのシーンは何となくタイタニックみ。
酸いも甘いも知っているベンガルさんの漁労長
無線士の佐藤誓さんもアドリブ満載でカワイイ
また見習いの前田旺志郎くんが上手い!

ラストはホッコリする終わり方で良かった。
そして平和になって良かった。

カテコ2回目で早くもスタンディング、4回ありました。
この地で観劇できて本当に感謝です。

もしまだ観るのを悩んでいる方がいらっしゃるなら、一見の価値はあると思います。
600回以上舞台を観ている私が太鼓判押します。内野さんが出てるとか、ソレ置いておいても(おいw)

No.620 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

2019年09月01日 21時56分41秒 | 2019年の観劇記録
2019年9月1日(日) マチネ EX THEATER ROPPONGI B2階 O列 センターブロック ほぼセンター

ヘドウィグ=浦井健治、イツァーク=アヴちゃん(女王蜂)。
作=ジョン・キャメロン・ミッチェル、作詞・作曲=スティーヴン・トラスク、翻訳・演出=福山桜子、日本語歌詞=及川眠子、音楽監督=大塚茜、歌唱指導=冠徹弥、他。

愛と自由を手に入れるため性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。幾多の出会いと別れを経験し、傷つき倒れそうになりながらも己の存在理由を問い続け、「愛」を叫び求める姿を描く。
(あらすじは公式HPより)








久々EXシアター六本木行ってきました。

今回は1回上に上がってから劇場に入り、階段で下がってモギリしてもらって、また下がる、みたいなメンドクサイ事になってました。
入場時のドリンク代500円もナニゲに痛いんだよね~(^_^;)←交通系ICカード払いもOKでした。
ペットボトル(350ml。2種類)もあったから良かったけど。

開演前は舞台セットの撮影可です。
5分前位から音合わせ兼ねてのセッションみたいなのが始まるのですが、そこまでは撮影、SNS等での拡散OKだそうです。
バンドメンバー5人(ギター2、ベース、ドラム、キーボード)。

何回か上演されているヘドウィグですが、まったく未見。映画も未見。(^_^;)
知っているナンバーは「ミッドナイト・レディオ」のみw

今回の客層は作品ファンと、浦井ファンと、女王蜂ファンが入り乱れていた。
ミュージカルというよりはライブに近い。ヘドウィグのライブを観に来た感。

初見の感じからぶっちゃけて言うと、この作品は好き嫌いが別れそう。というかこの演出版と言っておいた方がいいのかな。
曲はイイです。

まー。浦井ヘドウィグ登場シーン…
おもわず「ミス・サイゴンみ!」と思ってしまった私は脳ミソが侵されていますw(アメリカン・ドリームだよww)←解る人には解る!
ゲネプロの写真を見た時に、「お…」と思ったのですが(笑)、実物は見ているとだんだん可愛くなってくる、という。
ラスト近くの黒い衣装が似合ってました。
あ、今回も(?)パンイチあり升。

イツァークのアヴちゃん初見です。ほそっ!
歌声のバリエーションが凄い。そしてラストシーン!おお~さすが!そしてあの脚!

ヘドウィグはどこでボタン掛け違えてしまったのかな~。やはり手術失敗した所かしら…
なんか切なすぎる…
プロデュース力はあったのかも知れない。
自分にもカタワレ見つかるのかな~

客席が盛り上がる時はキチンと立って、それ以外はキチンと座る、みなさま ちゃんとしてます♪

作品の中で聴く「ミッドナイト・レディオ」は単発で聴くよりも響きました。

1幕休憩ナシ1時間50分。

No.619 「ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~」

2019年08月19日 22時46分19秒 | 2019年の観劇記録
2019年8月18日(日) シアタークリエ 16列 シモテブロック

テレンス・エイブリー=岡田将生、エリザベス・プリチャード=木村多江、ヴァネッサ・エイブリー=峯村リエ、ジェフリー・エイブリー=相島一之、ジョン・ベイリー/ギボンズ医師=立川三貴、アイリーン・ハナウェイ=前田亜季、ハロルド・プリチャード=益岡徹、エドガー・プリチャード=宏田力。
作=アレクシ・ケイ・キャンベル、翻訳=広田敦郎、演出=上村聡史、美術=長田佳代子、照明=沢田祐二、音響=加藤温、衣裳=半田悦子、他。

1937年、イギリス・ヨークシャー州。裕福な炭鉱主のハロルド・プリチャード(益岡 徹)の元に、ある日エイブリー一家が訪ねてくる。かつては家族同士で仲良くしていたのだが、10年前にハロルドの一人息子・エドガー(当時12才)が、ブラッケン・ムーアという荒野の廃抗に落ちて亡くなった事故をきっかけに疎遠になっていた。
それ以来、エドガーの母親・エリザベス(木村多江)は家の中でふさぎ込んでおり、彼女を励ますためにエイブリー一家はプリチャード家に数日、滞在する予定だった。エリザベスはエドガーの親友であったエイブリーの一人息子、テレンス(岡田将生)と再会すると、亡き息子への思いを溢れんばかりに話し出した。
しかしその日から毎晩、うなされたテレンスの恐ろしい叫び声が、屋敷中にこだまするようになる。テレンスはエドガーの霊が憑依し、何かを伝えようとささやいてくると言う。やがてエドガーの霊に憑りつかれたテレンスは、事故現場であるブラッケン・ムーアに向かう。そして事故当時の知られざる真実が、少しずつ明らかになっていく――。
(あらすじは公式HPより)

毎回だけど(笑)予習はあらすじのみをざっくりと読んだだけで観劇。
ゾワゾワひやひやして観られたから良かったかもw

セット・音響・衣装も良くてね~
それと岡田将生くんが!見目麗しい!
「ハムレット」よりこちらの作品の方が合ってるかも知れない。
買ってないけど、友に見せてもらったプログラム代金の半分は岡田将生氏の麗し代だろう♪

なんとなく「人形の家」を彷彿とさせる内容だった。
プリチャード家の当主ハロルドの、全部自分の思った通りにならなければ気が済まない感じとか、鬱々と暮らす妻エリザベスの解放…
ラスト、一人になってしまったハロルド。
いや、あれ一人じゃない…のかなw(やっぱりエドガーが操ったよね~。そうよね~)

テレンスはエイブリー家に育ってよかったな、と思う父と母!
ま~峯村リエさんが良す♪
理解力のある父・相島さんのスタンスもいい。
木村多江さんは舞台で拝見するのは初めてだと思うけど、こういう影と憂いのある役をやらせたら右に出る人はいないんじゃないかと思う。
ラストシーンさっぱりしてて未来が見えて良かった。
2役の立川さん、医師役の軽妙さが一服の清涼剤の様。
また医師役で、発作を起こしたテレンスを診察にくるんだけど、「二人だけにしてください」というセリフで友が萌ぇまくってましたw
プリチャード家のメイド前田亜季ちゃんも いい配役でした。

これはネタバレを知ってから観るのも楽しいと思うが、一発勝負の初見のドキドキソワソワも また良し。
良い舞台が観られました♪

番外 「Brand New Musical Concert 2019」

2019年08月11日 23時13分32秒 | 2019年の観劇記録
2019年8月11日(日・祝) マチネ 東京オペラシティ コンサートホール 2階 シモテブロック シモテ端

中川晃教、加藤和樹、伊礼彼方、田代万里生、イ・ソジョン、藤岡正明。コーラス=山野靖博。
指揮=井村誠貴、演奏=ブランニューチェンバーオーケストラ。




もう何年も新国立劇場には出没しているが、東京オペラシティの方はお初。
コンサートホール(タケミツメモリアル)、このバブリーな建物がまた凄い!
まるで合掌造りのようなホール内の作りも凄いし、天井から吊された反響板や存在感がありまくりのパイプオルガン!
滅多に来られないホールに興味津々。

そんな中で、このメンツでミュージカルコンサートって贅沢すぎる!
各キャストが合間を縫っての集結だったからなのか、8月10日ソワレと8月11日マチソワのたった3公演しかない!
その内、本日は田代万里生くんがゲストということでイソイソと出かけましたが正解!

何しろカズキマン以外が皆様クセが強いwww
マリマリでさえも(?)最近井上芳雄の毒が回ってきたのか(笑)なかなかのツッコミ具合(特にイ・ソジョンさんに対する質問とかw)

伊礼くん職業貴族、藤岡くん職業労働者(笑)
マリマリ本物貴族!カズキマンはさながらヤキゴテ俳優だな。アッキー神の子!

だいたいが藤岡・伊礼の自由さとアッキーの天然っぷり(人のハナシを聴いていない)これに尽きる(爆)
それとカズキマン以外の年齢が皆様似たり寄ったりなので、同期ならではのアットホームさも。
急に中学時代のハナシになり、伊礼くんが一番上だから中学3年で、中川・藤岡が2年生、マリマリが1年生かな… カズキマンは小学生だったので「ランドセル」と呼ばれてました。
伊礼くんは長ラン、藤岡くんはボンタン(^_^;) なのにマリマリは「タキシード作ってました♪」とサワヤカに言う!

とにかくトークが面白すぎる!
そして歌ウマさんが揃ってる!

今回初出の「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」からの『バタフライ』(田代万里生)、「怪人と探偵」から『真実の鏡』(加藤和樹)、『世界で一番綺麗な宝石』(中川晃教)。
どちらもキャストと合っていて良かった。
やはり「ジャージー・ボーイズ」のメドレー(マリマリとカズキマンが取り残されてましたけどw)と、「フランケンシュタイン」メドレーは最高だった。

アッキーとソジョンさんの『愛していれば分かりあえる』(モーツァルト!)は随分とアダルティーにアレンジされてた♪
伊礼くんの『スターズ』(レ・ミゼラブル)はスペイン語!
さらに伊礼くんの『最後のダンス』(エリザベート)の濃さったら(^_^;)
ソジョンさんは『命をあげよう』(ミス・サイゴン)感情がこもっていて素敵。

その他久々に聴くナンバーやら、初めて聴くナンバーやら、とにかく盛りだくさんで約3時間が あっという間でした。

No.618 いのうえ歌舞伎<亞>alternative「けむりの軍団」

2019年08月08日 21時39分19秒 | 2019年の観劇記録
2019年8月4日(日) マチネ 赤坂ACTシアター 1階 O列 シモテブロック シモテより

真中十兵衛=古田新太、飛沢莉左衛門=早乙女太一、紗々姫=清野菜名、雨森源七=須賀健太、嵐蔵院=高田聖子、残照=粟根まこと、美山輝親=池田成志、他。
作=倉持裕、演出=いのうえひでのり、衣装=前田文子、音楽=岡崎司、他。

大名・目良家が統治する、とある国のお話。
軍配士としてさまざまな主君のもとで目良家と戦ってきた <真中十兵衛(まなかじゅうべえ)/古田新太> は、今は仕官する先もなく浪人として暮らす日々を送っている。ある日、賭場でテラ銭泥棒騒ぎを起こした <美山輝親(みやまてるちか)/池田成志> のとばっちりで、彼とたまたま同行していた十兵衛は子分二人をヤクザに人質にとられてしまう。五日の間に捕まえて戻らないと子分の命はないと脅され、仕方なく輝親を探すハメになる十兵衛。
一方、目良家の城内では、同盟を組む厚見家を守るために当主・則治(のりはる)のもとに正室として嫁いでいた、 <紗々姫(ささひめ)/清野菜名> が、その同盟を反故にされたとして厚見の家臣である <雨森源七(あまもりげんしち)/須賀健太> らと共に目良家を出ようとしていた。それを阻むのは則治の母であり、目良家で一番の権力者でもある <嵐蔵院(らんぞういん)/高田聖子>と、目良家家臣で侍大将の <飛沢莉左衛門(とびさわりざえもん)/早乙女太一>。源七以外の厚見家家臣は莉左衛門らに斬り殺されるが、紗々姫と源七はなんとか城外へと逃げていく。
とある木賃宿で十兵衛は輝親を発見するが、そこに紗々姫と源七も居合わせたことで、目良家の追っ手たちと一悶着を起こす。その場にいた百姓、浪人たちが皆、目良家に恨みを持つ者ばかりだったことも功を奏し、十兵衛の機転、輝親の口八丁ぶりと無謀な行動で追っ手を追い払うことに成功。その様子を見た紗々姫から厚見の城まで自分を送り届けてほしいと頼まれ、悩む十兵衛。
その頃、一向一揆を扇動していると言われていた夭願寺(ようがんじ)では、厚見家の蜂起を知った住職の <残照(ざんしょう)/粟根まこと> が、もともと目良家から目をつけられている自分たちが生き延びるためには紗々姫を亡き者にするのが得策として、十兵衛たちが潜む酒屋の蔵を襲う。目良家の兵に変装した僧兵たちが姫に刀を向けることに違和感があった十兵衛は、村祭りの男衆たちが蔵の裏手に大勢集まっていたことを利用して援軍が来ていると思わせ、僧兵たちを退却させる。またもや、十兵衛のとっさの働きに感心する紗々姫。
その直後、夭願寺を疑って残照のもとを訪れていた嵐蔵院ら目良家一行。この時のいきさつを聞いた莉左衛門は、紗々姫を守っているのは煤煙党(ばいえんとう)ではないか、との考えを口にする。煤煙党とは目良家に激しい敵意を持つ集団だが、とっくの昔に滅んだはずだと言い、信じようとはしない嵐蔵院。互いに腹に一物がありながらも、目良家と夭願寺は共に協力して姫を追うことにする。
無事に城まで姫を送り届けることができれば、厚見家の軍配士として仕官させると言われて十兵衛の心は揺れ動く。しかし子分の命の刻限まであまり時間が残されていないため、すぐにでも輝親をヤクザのもとに連れて行かなければならないのだ。さあ、どうする、十兵衛!!
(あらすじは公式HPより)

久しぶりに回らない!
でもアラウンドシアターの経験が活きた演出になっていたような。映像使いもそうだけど、なんか回りそうな気になる。

ストーリーが広がりすぎて、1幕終わりはどうやって回収するのだろうかと思ってしまった(^_^;)
音楽劇…なのかな?ダンスも歌もあり、もちろん殺陣も満載。
殺陣といえばモチのロンで早乙女太一君!そして川原正嗣さん!かっこいい!ずっと観ていたい!
清野菜名ちゃんも見事なんだよね~
ふるちんも絵になるしな~

ラスト、はしょって説明(?)で済ませてしまった所と、十兵衛と莉左衛門との関係性、莉左衛門と長雨(宮下今日子さん。ええっ八嶋智人さんの奥さんだった!)との関係(最期は告白して終わって欲しかった印象)が少し解りづらかったのが残念。
莉左衛門があそこまで凶行に走ってしまった理由がアレだけなのか?

須賀くんも髑髏城からのコチラで、立派な青年になりましたw(ふるちんから「子役あがりのくせに!」と言われてましたが)
粟根さんのナマグサイ坊主もイイ。プラス右近さんも♪

なるしーパイセンが自由すぎて(笑)
どこまでが脚本でどこからがフリーダムなのか解らないけど、身体張って頑張ってるパイセン!(うっすらバッテンが観たくなった)

いつもよりも余計(?)なシーンが少なかったからか、上演時間が短め(いや普通になっただけなんだけど)。