【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

田辺聖子「女の長風呂Ⅱ」文春文庫、1977年

2010-05-20 00:50:31 | 小説
  中山千夏さんが「解説」で、田辺さんの文章が手厳しい内容のわりにふんわりしたものになっている要因として、「笑い」「大阪弁」「カモカのおっちゃん」があることをあげています。そして、田辺さんの独自のスタンスというものをうまくまとめているので引用すると・・・・、

 「田辺さんの内部には、様々な形の権力に対する憎しみと、人間が皆同じ平面に立って優しさを取り交わすことのできるような社会を求める気持ちが、燃えている。/だが真面目の恐ろしさを知ってしまった少女である田辺さんは、体力を増した女たちのように、髪をふりみだして相手につかみかかろうとはしない。まるい玉子も切り様で四角、なのだ。思えばこれは虐げられつつ男を動かしてきた伝統のある『女の知恵』であり、カラカイに託して権力を批判してきた『庶民の知恵』である」と(pp.252-253)。

 全く、そのとおりです。ひとつ、付け加えると、難しい日本語を上手に使う作家だと思う。「繁文縟礼(にしばられる)」、「不羈狷介」「苛斂誅求」「状元三馬」「粗笨」「腫痬」「偕老同穴」等々。漢字の勉強もできます。
女の長風呂(2)

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