この号の内容は下記のとおりですが、「道」と「昼下がりの情事」は、とくに印象に残っています(「素直な悪女」のみ未見)。
「道」は本当に映画らしい映画と思いました。フェデリコ・フェリーニ監督、奥さんのジュリエッタ・マシーナとアンソニー・クィーンが主演です。人生がそこにあったのです。二つの孤独な魂の遍歴を旅芸人の日常生活のなかに描いた秀作です。聖なる心をもつ女と、獣のような男が織りなす物語・・・。相容れぬ二人がゆく「道」にあるものは・・・。ニーノ・ロータのメロディを奏でるトランペット・・・。
「昼下がりの情事」はビリー・ワイルダー監督の作品。これも人生の奥深さを感じさせます。そして何と言っても、オドリー・ヘップバーンとゲーリー・クーパーの大人の愛です。いや、親子ほどにも離れた男女の愛です。わたしには星の数ほどにも恋人がいた・・・と見栄をはるアリーヌ(オドリー・ヘップバーン)、その言葉を上手に受け止めた実業家のフラナガン(ゲーリー・クーパー)。恋を夢見る若い女性と、人生を知りつくしたはずの成熟した男との軽快なロマンスが見どころです。
<コンテンツ>
・「道」([監督物語]周囲の反対を押し切って、妻マシーナをヒロインに起用)
・「昼下りの情事」([監督物語]映画に人生の機微をちりばめた監督ビリー・ワイルダー)
・「戦場にかける橋」([俳優物語]日本人初のハリウッドスター、早川雪洲)
・「汚れなき悪戯」([映画音楽]少年と僧侶たちの日常を歌った「マルセリーノの歌」)
・「素直な悪女」([シネマ物語]“サタン”と呼ばれながら1億ドルを稼いだ作品)
【シネマの神話】
・巨匠フェリーニに嫌われ、大スターに成長したアンソニー・クイン
・“BB(ベベ)”やドヌーヴの官能的魅力を開花させた監督ヴァディム/ほか
・1950年代の名優たち・名画の舞台 『戦場にかける橋』カンチャナブリー(タイ)
・銀幕の主人公たち ブリジット・バルドー
・社会ニュース この年の日本1957年[昭和32年]1~6月
・昭和32年の日本映画 喜びも悲しみも幾歳月
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