「語りおろし」です。91歳の俳人金子兜太さんが、石田陽子さんというインタビュアーに、人生観、戦中のトラック島での体験、俳句への思いを語りました。それが文章化され本になりました。
金子さんの人生観は徹頭徹尾、自然体(というより「ありのまま」)、自己流、放浪漂泊の憧れ。「純粋経験」「即物」という言葉が好きらしいです。
またこうも語っています。幸せという言葉も不幸と言う言葉もない、悔いを残しながらの自己本位、田舎者で喧嘩早い、倫理・道徳・人生観はナンセンス、胡散臭い一流の人、人生の安全弁としてカネは欲しい、組織や社会は嫌いで「人間」がいい、と。
秩父の魂にアイデンティティをもち、(あまりきれいな語ではないが)糞尿を愛し、土を好みます。
最後の章で、戦地で俳句をやめる決意をしたものの、俳句の好きな西澤實陸軍少尉と出会い、奇蹟の「陸海軍合同句会」をつくったそうです。この話が大変よいです。
何ものにも縛られず、ありのままを愛し、言いたいことを言い、歌いたいことを歌い、書きたいことを書き、そのように生きれば「悩むことはない」ということです。
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