【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

高島俊男『漢字語源の筋違い-お言葉ですが・・・⑦-』文藝春秋、2003年

2011-12-17 00:18:12 | 言語/日本語

                          
 こんなに言葉にこだわったら二進も三進もいかないのではないか。しかし、こだわらないで過ごしていたら能天気すぎはしまいか。とにかく、言葉、漢字の蘊蓄の書です。

 例えば、「大臣」という語。これは「王様の家来」という意味。したがって、日本は「天皇」という名の皇帝がいる国だから「大臣」という語を使うのはまだしも(それでも象徴天皇制なのだから、「王様の家来」というのは憲法規定から言えばおかしいです。著者はそこまで言っていませんが・・・
)、フランスの外務大臣、ドイツの農業大臣という言い方はおかしいのではないかとうのです。中国の「外交部」のことを「外務省」というのは変ではないか、と書かれています。

 「内閣」の「閣」は小部屋の意、したがって「内閣」は厳密に言えば「秘書室」という程度の意味だそうです。なるほど。

 明治の初めまで日本人の男子の名前には「実名」と「「名乗」があり、前者は公家、武家の男子が元服のときにつける名で、訓で読み、読み方はどうでもよかったそうです。「名乗」は通称で音で読むのだそうです。それで徳川慶喜は「けいき」であって、「よしのぶ」が正しいことにはならないそうです。西郷「隆盛」とその弟「従道」は明治になってから間違いでその名になったそうです。

 「円」はなぜ「YEN]なのか。それは「円」は「えん」と発音されたのではなく、「いぇん」だったからだそうです。アイウエオの「エ」は平安時代からずっと江戸時代まで「イェ」と発音されていたからで、明治4年5月の太政官布告「新貨条例」で日本の貨幣単位を「円(圓)」とすることが定められたときには、「円」のローマ字表記は「YEN」だったらしいです。

 日本の暦と西暦は年の変わり目も違うし、一年の日数、月数も時々違い、ひと月の日数も違うので「文久二年(1862)」といった表記は正しくないのだそうです。

 さらに時代小説など読むと、江戸時代の人たちの会話に」、当時絶対使われていなかった「連絡」とか「報告」といった言葉がでてきてぎょっとしたこともあったらしいです。

 いやいやいろいろなことを学びました。

 


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