【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

ジャン=ピエール・メルビル監督「この手紙を読むときは」(フランス、1953年、104分)

2019-08-15 00:03:51 | 映画
メルビル監督の作品。



男女の奇妙な愛のかたち。カンヌの教会で修道女になっているテレーズ(ジュリエット・グレコ)は、両親が突然、交通事故死にあい、祖父の依頼で妹のドゥニーズ(イレーヌ・ガルテル)の面倒をみるようにいわれ、還俗し、文房具店をひきつぎます。

もう一人の人物はマックスという女たらし。自動車重里工場で働いていますが、ホテルに滞在している金持ちの女性イレーヌにとりいろうとしていた矢先、ホテルのボーイ・ビケからイレーヌが離婚を考えていることを知ります。マックスはそこで、イレーヌに専属の運転手になりたいという話をもちかけ、あつかましくもホテルで同居を始めます。

そのマックス(フィリップ・ルメール)は偶然に通りで出あったドゥニーズを誘惑し、うぶな彼女はマックスにほのかな恋心をよせます。

イレーヌはテレーズの文房具店で、便箋を特注します。日にちをおいてドゥニーズはイレーヌの居るホテルの部屋に文便箋を届けにいきますが、彼女は外出中でそこにはマックスが寝転んでいました。マックスに激情がはしり、ドゥニーズをそこで犯します。絶望したドゥニーズは、遺書を書いて、レラン諸島行きの船にのり、海に身をなげて自殺をはかります。ドゥニーズは一命をとりとめますが、テレーズは彼女の遺書を読み、事情を知ります。遺書は「姉さんがkの手紙を読むときは・・・」で始まり、それがこの映画のタイトルに使われています。

一方、イレーヌは行き違いから、自身の車でニースにいく途中、事故死します。それというのも、マックスがその存在がわずらわしくなったビケを殺そうと、ビケにボルトがはずれるように細工したイレーヌの車を貸そうと図ったのですが、思わぬ行き違いからイレーヌがそれに乗ってしまったからでした。マックスはこの事件の容疑者として判事の尋問を受けますが、嫌疑不十分で不起訴になります(ビケは失踪)。

テレーズは妹を自殺に追い込んだマックスを許せず、ふたりを結婚させて問題を落着させようとします。不可解なことに、ドゥニーズはこの姉の案に同意します。マックスは仕方なくドゥニーズに求婚します。祖父は孫娘ドゥニーズに結婚祝いとして金貨100枚をプレゼントします。マックスはこれを盗みだします。あろうことか、マックスが惚れていたのは姉のテレーズで、モロッコでひと稼ぎしにいくが一緒にならないかと強引に、暴力的に迫りますが(その場面が上の画像です)、テレーズはこれを毅然として拒否します。

ここまでの筋はわかります。わからなくなるのはこの後です。

翌日、結婚の約束が破れたドゥニーズと祖父母が田舎に発つのを見送ったテレーズは、突然、レザルクに向かう電車にカンヌ駅から乗り込みます。それはマックスと落ち合うためでした。あれほど、マックスの申し出、勧誘を拒否した彼女がzなぜ、翻意して、マックスと落ち合おうとしたのでしょうか? しかも、座席に座っているテレーズの顔には、希望のかけらもありません。謎です。

映画はこのあと、マックスがモロッコ行きの電車に乗り遅れそうになり、ホームに入ってきた電車の前を横切ろうとしてはねられ、絶命します。

テレーズは再び修道院に戻り、妹の魂の救済と、マックスのあの世での安寧を祈ります。

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