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著者による「怖い絵」シリーズの3冊目です。「怖い絵」の2と3とを注文していたのが3が先にきたので、こちらから読むことにしました。
「怖い絵」1と同様、怖さにはいろいろな質がありますが、いずれにしても怖い絵がズラリと並んでいます。
・ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』
・レーピン『皇女ソフィア』
・伝レーニ『ベアトリーチェ・チェンチ』
・ヨルーダンス『豆の王様』
・ルーベンス『メドゥーサの首』
・シーレ『死と乙女』
・伝ブリューゲル『イカロスの墜落』
・ベラスケス『フェリペ・プロスペロ王子』
・ミケランジェロ『聖家族』
・ドラクロワ『怒れるメディア』
・ゴヤ『マドリッド、1808年5月3日』
・レッドグレイヴ『かわいそうな先生』
・レオナルド・ダ・ヴィンチ『聖アンナと聖母子』
・フーケ『ムーランン聖母子』
・ベックリン『ケンタウロスの闘い』
・ホーガス『ジン横町』
・ゲインズバラ『アンドリュース夫妻』
・アミゴーニ『ファリネッリと友人たち』
・アンソール『仮面にかこまれた自画像』
・フュースリ『夢魔』。
つくづく感じたのは著者の絵を観る目の確かさ、詳細さ加減です。ケンタウロスの闘いの様の記述などは、この奇怪な動物の闘争の凄まじさが伝わってくる描写です。どの絵についても、絵そのものを観て、わたしの気がつかなかったものが、著者の記述で振り返ってみると、実はしっかり書かれている、ことに気づかされることばかりでした。
一例をあげれば、皇女ソフィアが監禁された部屋の右手にある開閉できない窓の外に見えるのはソフィアの味方だった銃兵隊長の首つり死体だったとは・・・(p.25)。確かに見えます。
ホガースのジン横町に描かれている人間についての著者の指摘も微に入り細に入りで勉強になります。解説も面白いです。
アミゴーニ『ファリネッリと友人たち』では去勢歌手であるカストラータの役割と背景に関する考察があり、得がたい情報でした。