【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

浄瑠璃寺(京都散歩[24])

2010-04-01 00:39:56 | 旅行/温泉


              
 駆け足で、京都、奈良をまわってきました。といっても今回は、遷都1300年記念の奈良が中心です。

 京都で訪れたのは奈良に比較的近い、浄瑠璃寺と平等院の2ケ所です。今日は、浄瑠璃寺の紹介です。

 浄瑠璃寺の所在は、木津。JR京都駅から、同じくJR奈良線に乗り換え、木津でいったん降り、そこからまた乗り換えて、加茂で下車します。路線バスが浄瑠璃寺まで走っていますが、本数が少ないので、タクシーに乗りました。

 浄瑠璃寺は地味なお寺ですが、落ち着きのある風情のある古刹です。9体の阿弥陀如来像で有名です。この辺りは当尾(とうの)台地と呼ばれ、京都の最南端です。簡単に行くことができると思っていましたが、それなりに奥深いところです。

 本堂(1107年の建立)に入ると、この9体の阿弥陀如来像が横一列に安置されています。そこから九体寺(くたいじ)の通称があります。平安時代には、阿弥陀堂というと、9体の阿弥陀を並べることが自然で、京都あたりには35ヶ所ほどあったそうです。浄瑠璃寺はその頃に建てられたもののなかで現在も残る唯一のものです。

 ひとつの本堂に九体の阿弥陀如来を置くという考え方は「九品往生(くおんおうじょう)」という思想によります。「九品往生」とは、極楽往生(人が現世から阿弥陀如来のいる西方極楽浄土へと生まれ変わる)には、仏の教えを正しく守る者から、極悪人まで9つの段階ないし種類があるという考えを指しています。なぜ9体なのかと言うと、人間が生前に行った善行を仏教では9段階に分け、それを迎えに行く阿弥陀如来が異なるということになって「いるようです。

 境内には、池を中心とした浄土式庭園と、平安末期からの本堂および三重塔があります。あいにく三重塔は、修理中でホロを被っていました。ここに薬師如来が本尊として祀られています。

 浄瑠璃世界とは西方極楽浄土に対して薬師如来が東方に司る浄土という意味合いです。薬師如来の安置される三重の塔がそこで「過去」を示します。そこから人は押されるように、浄土式庭園を展望すると、その先は現世。そして本堂にいらっしゃる阿弥陀如来像(西方極楽浄土の教主)が未来。浄瑠璃寺の全体はその異次元空間です。

 京都のお寺は、その歴史をたどると有力な貴族や権力と有形無形に結びついていることが多いのですが、浄瑠璃寺はそれらと無縁で人々の信仰による寄付によってつくられたそうです。そういうこともあって、虚飾なく落ち着いた雰囲気の古刹です。好感がもてます。