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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

始まった再構築協議会 どうする赤字ローカル線(下) 住民生活確保の正念場

2024-04-13 07:07:08 | 公共交通・安全について
始まった再構築協議会 どうする赤字ローカル線(下) 住民生活確保の正念場
島根大学法学部 関耕平教授に聞く

再構築協議会を進める上での問題点と地域社会の関係について、関耕平・島根大学教授(財政学・地方財政論)に聞きました。

全国初となる再構築協議会は、JR西日本、国、沿線自治体が「前提を置かず」議論し、3年以内に結論を出すとされていますが、同地域で6年前に廃止された三江線(三次-江津)の再現が起こってしまう危機感が強まっています。




三江線_03
三江線_03 posted by (C)きんちゃん
三江線は廃線になる1年前の2017年8月に訪れています。江津本町で撮影。

甍街道から三江線_02
甍街道から三江線_02 posted by (C)きんちゃん
江津本町甍街道からの三江線。

三江線 橋脚
三江線 橋脚 posted by (C)きんちゃん
第二江津橋りょう。2012年7月に塗装されています。

廃線へお膳立て
専門家は、再構築協議会の枠組みが、「廃線にむけて極めて巧妙な仕掛け」となっていると指摘します。沿線自治体にとって天文学的な額の当該区間の赤字や上下分離方式(運行=上、インフラ=下、を分ける)による自治体負担額の試算を示し、鉄道存続を求めるのならこれらを負担すべきだと「廃線やむなし」に誘導することです。
三江線では、廃線の動きが表面化してわずか11カ月後に正式に廃止届が出されました。その間のJR西日本と自治体の間の議論は、「存続を求めるのならば財政的な負担を」と要求するJRに対し、天文学的な数字に自治体が白旗をあげるという構図でした。
こうした議論が展開していく再構築協議会の枠組みが全国に広がる懸念を持ちます。協議会は事業者(JR)の申し出で国が設置するとされており、今後は廃線へのお膳立てが整えられる事態が全国化していく可能性が大きい。
一方、「前提を置かない」で議論するという建前はあるわけです。議論のなかで、沿線自治体、なによりも県(岡山、広島両県)が「鉄路廃止は許さない」との点でしっかりまとまることが求められます。
こうした自治体の姿勢を求めるためには住民の意思が重要です。「鉄道に乗っていないから」というあきらめムードはどこにでもあると思いますが、自動車中心では高齢化社会のなかで住民の交通権や移動権は保障されません。中長期的な目で見てもここは地域の存続と住民生活確保にむけた正念場として踏ん張ってほしい。

財政の姿勢問う
赤字を強調して「乗らなかった沿線住民も悪い」という構図に持っていくのがこれまでの鉄道廃線の論理です。しかし赤字の背景には、道路整備だけをしてモータリゼーションが加速化していった国全体の政策や、農山村の人口減に歯止めがかけられない地域政策の失敗があります。
道路に比べて2桁少ない鉄道関連予算を大幅に拡充しなければいけない。インフラ投資の在り方として鉄道をしっかり位置づけなければ。インフラは社会基盤なので、赤字や黒字という論理だけで考えてはいけないのは当たり前です。
鉄道廃線が地域にとってどれだけ大きな痛手になるのか。交通手段だけでなく駅舎など地域のシンポルがなくなることなどの意味も考える必要があります。中国山地では「再生のフロンティア」とよばれる新たな動きがみられ、出生率増加やーターン者の増加などの成果をあげている地域が続々と出てきています。それに冷水を浴びせて良いのでしょうか。
廃線問題では、採算性や効率性だけではまわらない地域や産業にたいして私たちがどう向き合うのか、さらにそういった地域を切り捨てさせない国や財政の、姿勢・あり方をどうやってつくっていくのかが間われます。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月8日付掲載


全国初となる再構築協議会は、JR西日本、国、沿線自治体が「前提を置かず」議論し、3年以内に結論を出すとされていますが、同地域で6年前に廃止された三江線(三次-江津)の再現が起こってしまう危機感が強まっています。
専門家は、再構築協議会の枠組みが、「廃線にむけて極めて巧妙な仕掛け」となっていると指摘。沿線自治体にとって天文学的な額の当該区間の赤字や上下分離方式(運行=上、インフラ=下、を分ける)による自治体負担額の試算を示し、鉄道存続を求めるのならこれらを負担すべきだと「廃線やむなし」に誘導すること。
議論のなかで、沿線自治体、なによりも県(岡山、広島両県)が「鉄路廃止は許さない」との点でしっかりまとまることが求められます。
道路に比べて2桁少ない鉄道関連予算を大幅に拡充しなければいけない。インフラ投資の在り方として鉄道をしっかり位置づけなければ。インフラは社会基盤なので、赤字や黒字という論理だけで考えてはいけないのは当たり前。

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